旅の日記

エクアドル・キト編その12 (2000年11月16〜19日)

2000年11月16日(木) 本を読んで待つ(Waiting for the money)

 今日は牛次郎の買主からの連絡をずっと待っていた。
 出かけたのはメシを食べたときと、郵便局に行ったときだけだった。ちなみに郵便局から絵葉書を3枚出したら、料金2.52ドルと3で割りきれない数字だった。あとで気付いたのだが、これでいいのか?
 後はパソコンに向かうか、本を読んでいた。最近手をつけたフレデリック・フォーサイスの「戦争の犬たち」も読み終え、いよいよ読むものも無くなったが、結局電話は来なかった。
 明日、また催促に行こう。


本日の走行距離         0キロ(計24079.6キロ

出費                     1$    朝食(野口カフェのホットサンド)
     2.52$ 切手代
     1.8$ 昼食(チキン)
計        5.32US$(約565円)
宿泊         Hostal Sucre


2000年11月17日(金) さよなら牛次郎(Farewell to the van)

 今日牛次郎の代金をもらわなければ、明日からまた週末になってしまう。これ以上は待てないので、今日がダメだというなら牛次郎を返してもらって、明日、車市で自力で売却する覚悟をきめ、買主のところに催促に行く。

 まず売買の中に立っている整備士のところに寄り、彼と一緒に買主である弁護士の家に行くと、平日にもかかわらず、予想外に本人がいた。そして今日の午後、金を払うから名義の変更をしたいという。あれ!肩透かしをくったようにスムーズ。
 ウメさんとKさんは調子を崩してホテルで待っていたが、名義変更には二人のサインが必要なので、タクシーで呼んできた。そして代金の1000ドルと引き換えに弁護士の用意した売買契約書に二人がサイン。手続きは以上で終了。無事、牛次郎は新しい主のものになりました。

 で、これが新しいご主人。どっちが牛かわからないようなガタイだが、とっても良い人で、この人なら可愛がってくれそう。でも、後から整備士に聞いた話によると、彼は牛次郎にちょっと手を加え、転売する予定だそうだ。まあ、確かに金にはなりそうだ。さすが弁護士、自由になる金も持っているし、目の付け所も良い。

 というわけで、牛次郎と永遠の別れになった。
 最初の出会いから5ヵ月半、車と持ち主の関係にしては短いが、その間の密度はとても濃かった。我々はこの車で移動し、食事し、そして眠った。5ヵ月半の生活の中心が、この車だった。
 度重なる故障に憎んだこともあった。この故障が直らずに完全にオシャカになったら、それはそれで楽だ、もう悩まずにすむ、と不謹慎にも思ったこともあった。しかし、その度に牛次郎は復活をとげた。まるで彼自信がキトに戻りたがっているかのように。
 ひょっとして我々が牛次郎を選んだのではなく、牛次郎の南米一周の旅に我々が選ばれたのかもしれない。1974年式の牛次郎は今年で26歳。そのうちのわずか5ヵ月だったが、彼の人生の一部を知れて本当に良かった。幸い牛次郎はスクラップ行きなどにならず、これからも働き続ける。「牛次郎」としてではない、彼の人生の新しいページが刻まれて行くのだ・・・。

  牛次郎と別れた我々は、整備士の車で新市街まで送ってもらった。
  もうキトにいる理由は無い。ウメさんたちは旅行代理店に行き、月曜日のスペイン行きのチケットに予約を入れた。しかしスペイン行きのチケットは片道より往復の方が安く(得てして航空券というのはそういうものだが)、ウメさんたちは片道しか使わないのに、往復分買わなくてはならない。しかも月曜日の往路の席は取れたのだが、使いもしない復路の予約がどの日でも取れず、チケットの発券が出来ないという。チケット発券のためだけに、使わない復路のウエィテング・リストに名を連ねることになった。明日、復路の席が取れたか、確認のためにまた来なくてはならない。
 私も月曜日にキトを出よう。先はまだまだ長いのだ。

 その後は牛次郎の売却金が入ったのをいいことに、ステーキハウスで豪華な夕食を食べる。ちょっとしょっぱかったが、塩味の肉はとても美味かった。物価の安いキトにいるうちに、どんどん美味いものを食べておこう。  


本日の走行距離        0キロ(計24079.6キロ

出費                  0.30$    トロリーバス
     1$ タクシー
     -250$ 牛次郎売却金
     6$ 夕食(ステーキ)
     0.2$ インターネット
計       -242.5US$(約-25700円)
宿泊         Hostal Sucre インターネット    Papaya net


2000年11月18日(土) クリスマスの気配(Christmas is coming)

 今日は久しぶりにHPのアップロードをしに、SSIというショッピングセンターへ行った。他のラテン諸国がそうであるように、カトリックの国であるエクアドルにとってクリスマスは一年の中で最大のイベントである。まだ11月半ばだが、SSIの壁には巨大なサンタクロースの人形がひっついていたし、続いていったキセントロというショッピングセンターでも、内部の吹きぬけと外の駐車場にイルミネーションの光った巨大なツリーが飾られていた。日本のように四季がはっきりしない南米でも、こういうものを見ると時の流れを意識する。
  キトを出るとしばらくは近代的なショッピングセンターともお別れだ。残り少ない時間をウインドーショッピングをして過ごす。

  予定通りに月曜日が出発となると、明日が最後の日だ。心残りのないようにしなければ。


本日の走行距離        0キロ(計24079.6キロ

出費                  0.15$    トロリーバス
     0.5$ タクシー
     1.6$ インターネット
     1.28$ 水、トイレットペーパー
     2.2$ 昼食(ラザニア)
計       5.73US$(約620円)
宿泊         Hostal Sucre インターネット    Net Place


2000年11月19日(日) 最後の晩餐(The last supper)

 キト最終日は夕方までホテルで「牛次郎の旅ダィジェスト」を書いて過ごし、それから最後のインターネットと夕食のため、ウメさんたちと新市街に出た。

 最後の晩餐はおとといのステーキハウスにまた行こうと話していたが、結局5ヵ月前によく通っていた中華屋になった。ステーキを食べたと仮定してその分のお金を中華に使ったら、一品料理が何種類も食べられて満足だった。
  5ヵ月ぶりの店にはなぜか日本人のボーイがいて、彼の作った日本語のメニューもあった。年のころは40前後だろうか、ここでの月給は日本の日給にも及ばないが、働いていて楽しいからいいのだそうだ。話し方といい、笑えないギャグといい、何かとても変わった男性だった・・・。

 夜はウメさんとKさんと、酒を飲みながら遅くまで話した。この半年間、あたりまえのように続いていたことだったが、今夜で最後なのだ。明日別れるという実感はまだ無い・・・。 


本日の走行距離        0キロ(計24079.6キロ

出費                  0.15$    トロリーバス
     0.5$ タクシー
     0.95$ インターネット
     4$ 夕食(中華)
     0.44$ 洗濯洗剤
計       6.04US$(約640円)
宿泊         Hostal Sucre インターネット    Net Place