というわけで皆様、新年、新世紀、明けましておめでとうございます。本年も「RideTandem」、全力投球でがんばりますのでよろしくお願いします。
朝5時すぎ、目覚ましが鳴る前に寒くて目が覚めた。空は白み始めているが、天気は悪そう。酒も残っていてそのまま寝る誘惑にかられたが、ここまで来て目標を達成できなくては男がすたる。気合を入れて起き、カメラととっておきのチョコレート「スニッカーズ」を持って、昨日の頂に上る。この「スニッカーズ」を持っていったことが後であんな結果になるとは、この時は知るよしも無かった。
ちなみにアキラさんも初日の出を見ると言っていたが、昨夜は午前2時まで踊っていたらしく、彼は寝るという選択肢を選んだ。
息を切らして頂上まで来たが、東の空は黒い雲に覆われて日の出どころか、明るさがまるで感じられない。雲の少ない西側の空の方がよほど明るい始末だ。いつ日が出たのかもよくわからないまま、空の鉛色はすこしずつ明るくなっていった。まあ、この明るみを21世紀の夜明けとしておこう。
景色を見ながら、持ってきた「スニッカーズ」をかじる。食べたことのある人はおわかりだろうが、「スニッカーズ」というチョコレート・バーにはキャラメルが詰まっており、そしてキャラメルは温度によって硬さが変化する。チチカカの朝は寒く、私の「スニッカーズ」も予想以上に硬くなっていたのだ。
かじった瞬間、バリッという感触がして、口の中に硬いモノが転がった。しまった!と思っても時すでに遅く、私のさし歯である前歯は根元からポロリと取れてしまったのである。
・・・ああ、情けない。眼鏡は壊れるし日の出は見られないし、おまけに歯は取れる。まあ、この歯が取れるのは初めてじゃないし、くっつければ済む事だから、ホームページ上のおいしいネタとしておこう。
それにしても、それ以上そこにいても意味がないので、おばちゃんの家に戻って寝る。
再び目を覚ますと、部屋にはポテトフライと白米という朝食が運ばれていた。前歯の無いイヤな感触を味わいながらポテトだけを食べ、集合時間になったのでおばちゃんに連れられて港に下る。
そして島民に見送られて出航したボートは、数キロ離れたタキーレ島に向かった。すぐそこに見えているのだが、ボートが遅いので着くまでに4、50分
はかかった。このころより天気は急に良くなり、青空が広がるようになった。
タキーレ島はアマンタニ島より一回り小さいが人口はむしろ多く、レストランなんかもあってより観光地である。ただし島の中心となる村までは船着場から遠く、斜面を登って30分ほどかかった。昨日の今日なので、肉体的につらい。
途中、見晴らしの良い高台からさっきまでいたアマンタニ島がよく見えた。アキラさんにシャッターを押してもらう。
やがてタキーレ島の中心となる村の広場に来たが、静かで良いところだった。近くのレストランでツアー全員で昼食を食べる。この昼食代は料金に含まれておらず、ジュースも入れて11ソル(約350円)と高かったが、レストランの庭に張られたタープの下で、青空とチチカカ湖を見ながら食べるトルーチャ(マス)はたいへん美味しかった。
食後は島の反対側に下る。ウメさんたちがよく、タキーレ島の人はヒソヒソ声で話すと言っていたが、その意味がよくわかった。反対側の船着場に向かう道には民芸品を売る少年少女がたくさんいたが、なぜか「買ってください」という声が、蚊の泣くようなヒソヒソ声なのだ。「なんで声をひそめるの?」と聞いても、恥ずかしそうに笑ってどこかに逃げていってしまう。なんてシャイな人たちなのだろう。
島の反対側に回ってきたボートに乗りこむと、ツアーはプーノに戻るのみとなった。記念にアキラさんと関根勤(めんどくさいので、もうそう呼ぼう)と一緒に写真を撮る。
帰りもやはり3時間半ほどかかった。昼寝をし、松下幸之助の本を読み終えると、暗雲垂れ込めるプーノに到着した。最近のプーノは本当に天気が悪い。
アキラさんをはじめ、みんなに別れを告げてホテルに戻る。ツアー参加客のうち、実に3分の1ほどが同じホテル「Los Pinos」だった。今回のツアーはガイドといいメンバーといい、最高に近かった。
体調は万全に回復し、食欲も出てきた。雨の中、夕食を食べにでるが、チキン屋でチキンを食っていると店にぜんまいじかけのおもちゃが入ってきた。良く見ると、それは関根勤と奥さんだった。再会をよろこび、一緒に夕食を食べる。彼はイタリアのボローニャに住んでいるというので、そのうちに行くことを約束し、メールアドレスを交換した。今回は夫婦旅だそうだが、彼の子供がどんな動きをするのか、イタリアでぜひ見てみたい。
夜は部屋で日記打ち。明日は歯医者と眼鏡屋を探さねば。出発は1日延期だな。
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