旅の日記

ペルー・ワンチャコ海岸編(2000年11月27〜28日)

2000年11月27日(月) アシの船の海岸(Coast of the totora boats)

 昨日昼寝をしすぎたので、昨夜はよく眠れなかった。しかし朝、天気は快晴だった。山の天気は変わりやすい。実際、カハマルカでは晴れと雨がコロコロ入れ替わる。晴れているうちに山を下らねばと思い、眠い体にムチ打って朝食を食べ、カハマルカを後にする。

 今日の目的地はペルー第3の都市トルヒーヨの海側、ワンチャコ海岸だ。カハマルカから直接トルヒーヨに向かう道もあるが、あまり状態が良さそうでないので、同じ道を戻ってパンアメリカン・ハイウェイを目指す。
 しかし、天気が良いので景色は来た時とまるで違って見えた。緑まぶしいアンデスをDRは快調に滑り降り、2時間半ほどで海岸に沿って南北に走る道路に出た。

 そこから1時間あまりパンアメリカン・ハイウェイを南に飛ばすと、トルヒーヨに差し掛かった。目指すワンチャコ海岸はトルヒーヨの市街に入る手前で右、海の方に曲がって10分ほど走ったところにある。 ワンチャコ海岸は昔ながらのアシで作られた小船(トトラ船)を使った漁が見られるところで、美しい砂浜があり、ちょっとしたリゾート地でもある。
 私は知っている。約9ヵ月前、この海岸で水着の姉ちゃんを見ながらビールを飲んで過ごすという、夢のような日々を送ったライダーがいることを。同じライダーとして、いや男として、ワンチャコ海岸を見ずしてペルーは語れまい。待ってろ眩しい太陽と姉ちゃん!じゃなかった、トトラ船!

 しかし!ワンチャコ海岸で私を待っていたのは、鉛色の空と閑散とした砂浜だった。シーズンが違うのか、町も人の姿がまばらで、とても寂しい気がした。海から吹いてくる風は冷たく、晴れていたカハマルカの方がよっぽど温かい。
  昨夜、9ヵ月前にここの情報をくれたライダーのメールを見返して見たが、「世界中からライダーが集まる」というホテルの名前が書いていないので、海沿いの適当なホテルにチェックインする。ちょっと高めだが部屋からは太平洋が見渡せて気分がいい。

 早速砂浜に出て見ると、水着の姉ちゃんこそいないが、トトラ船はたくさん置いてあった。夕方にもかかわらず何艘かはまだ漁をしていて、素人が乗ったらすぐに転覆しそうな細い船の上に器用に座り、手にオールと魚を持った漁師の姿が見えた。魚を捕まえるには基本的に網を使うらしい。
 海沿いにはシーフードのレストランが並んでいたが、値段の高いところが多く、安いランチを出すところを探して昼食を食べる。

 夜になると体調が悪化した。風邪は全然治ってないらしい。
 夕食を食べに外にでるのが億劫なので、部屋で炊き込みごはんを作って食べる。米にいわしの缶詰と醤油をぶっこんで炊くだけなのだが、醤油が足りなくて薄味になったものの、結構おいしかった。日本ではまったく料理をしない私だが、最近少しレベルアップした気がする。

 日記を書くのもつらかったが、寝る前にパソコンを立ち上げ、ちょっとゲームをした。そしてもう1回メールを読み返すと、9ヵ月前、かのライダーから来たメールにはちゃんとホテルの名前が書いてあった・・・。ごめんイトケン、違うところ泊まっちゃったよ・・・。


本日の走行距離        308キロ(計25952.1キロ

出費                     3S    朝食(サンドイッチ)
     38S  ガソリン
     30S 宿代
     5S 昼食(魚フライのランチ)
     17.1S テレカ、卵など買物
計       93.1S(約2870円)
宿泊        Hostal El Malecon


2000年11月28日(火) チャンチャン遺跡を見る(Chan Chan ruins)

 ベッドが違うと眠りも違うもので、ここのホテルのベッドは大変具合がよろしい。おかげで朝11時までぐっすりと眠り、だいぶ体調も回復した気がする。昨夜は抗生物質も飲んだし。

 朝ご飯を食べ、バイクで向かった先はチャンチャン遺跡。ワンチャコ海岸とトルヒーヨの中間あたりに位置するこの遺跡は、12世紀あたりからインカ帝国に滅ぼされるまでこのあたりで栄えたチムー王国の首都跡。今回のワンチャコ海岸滞在中の観光のメインだ。

 期待を胸に、入り口へ。すると入場料の窓口の近くにいたおばさんが、国際学生証を見せると半額になることを教えてくれた。そうだ、こういうときのために学生証を作ったんだ。すっかり忘れていた。ありがとう、おばさん。というわけで入場料の10ソルは5ソルに。5ソル(150円)あれば、ペルーでは昼食が食べられる。

 チャンチャン遺跡はかなり広大(20平方キロ)だが、見学できるのはその一部。まわりを日干しレンガの高い塀に囲まれた宮殿の部分がそうで、ところどころに残された鳥や魚をモチーフにした浮き彫りがきれいだ。同じ模様を正確に繰り返すのが特徴らしい。

  

 こういう模様を見ていると職業病だろうか、パソコンの画面の壁紙にピッタリ・・・などと考えてしまう。というわけで、そのうち壁紙の素材が貯まったらHPで公開します。実は現在、私のパソコンの画面はナスカの地上絵のパターンになっています。かつて、メキシコ巨石文明の巨大な石の頭の時もありました。皆様、乞うご期待!

 チャンチャン遺跡の跡は、近くにある博物館に。ここは遺跡から出土した品々が展示してある小さな博物館で、入場料は遺跡と共通。遺跡の入場券を見せれば入れるのだ。
 しかし、私の心をくすぐるものは無かった。実は私、博物館というものは苦手なのである。よっぽどのモノ(大英博物館の「ロゼッタストーン」やメキシコ国立人類学博物館の「太陽の石」くらい)でないと、じっくりと見られない勝手な性格をしているのだ。土器や衣類とか見てもあんまりピーンと来ないというか・・・遺跡そのものだとデカさや迫力で「おお!」と思うのだけれど・・・。
 というわけでほんの15分ほどで出てくると、博物館の前でたむろしていた数人のガイドのうち、日本語を話せるオヤジに「あれ?もう出てきたのお?おかしいねえ?」と笑われた。こっちも「見られたか」って感じで、なんかおかしかった。

 さて、チャンチャン遺跡の入場料にはもう二つ、 「エメラルドのワカ」というのと「虹のワカ」というのが含まれている。「ワカ」といっても「若!わがままが過ぎますぞ!」という爺やのセリフとは関係なく、ピラミッド型の建造物のことらしい。
  まずは博物館から近い「エメラルドのワカ」に向かうと、住宅街の真ん中に50メートル四方の壁に囲まれて、その小さなミラミッドはあった。保存状態はあまり良くないが、名前の通りエメラルド型のレリーフが美しく、これも壁紙に使えそうだ・・・。

 次に「虹のワカ」へ。これもいきなり住宅街の真ん中にあった。こっちの方が「エメラルドのワカ」より状態が良く、複雑なパターンのレリーフが見事だった。結構気に入ってしまったので、三脚を使って一緒に写真を撮る。
 「エメラルドのワカ」でもそうだったのだが、ここも高さ7、8メートルで幅が1メートルほどしかない、手すりも何も無い塀の上を歩かねばならず、ちょっと恐かった。日本だったら、まずこんなところは歩かせないだろう・・・。

 さて、これでチャンチャン遺跡の料金に含まれているものは全て見た。あとトルヒーヨ近郊には「太陽のワカ」と「月のワカ」というのがあるが、昼頃から観光を始めたので時間が無くなってしまった。今回はあきらめるか・・・。

  ワンチャコ海岸へ戻り、レストランで昼食を食べてホテルに帰る。今日は夜になっても調子がいい。良かった良かった。夕食は材料があまっているので、昨日と同じ炊きこみごはんで我慢。でも、明日は超うまい日本食がリマで待っているはずなのだ・・・ウヒヒ・・・。


本日の走行距離       56.6キロ(計26008.7キロ

出費                    30S    宿代
     6S  朝食(卵、パン)
     5S チャンチャン遺跡入場料
     39.6S ガソリン
     5S 昼食(フライドチキン)
     2.5S ジュース
計       88.1S(約2720円)
宿泊        Hostal El Malecon