朝ごはんは卵を2個使ってスクランブル・エッグを作ったが、フライパンを洗って水をよく切らないまま使ったので、油がはねてストーブもまわりの床も油だらけになった。失敗失敗。
気を取りなおし、向かった先はインカ帝国最後の皇帝アタワルパが幽閉されていたという「部屋」。部屋というよりは小屋ですな、外見は。
温泉に入っているところをフランシスコ・ピサロ率いるスペイン軍に捕らえられたアタワルパは、幽閉されたこの部屋の中で手を頭上に伸ばし、その高さまでこの部屋を金銀財宝で埋める代わりに自分の解放を要求したという。しかしアタワルパはさんざん利用されたあげくに結局は処刑されてしまい、400年以上も続いたインカ帝国は滅亡したのだった。
インカ帝国は北はコロンビアから南はチリ北部まで5000キロに及ぶ大帝国だったのだが、後継者問題で内紛が生じ、スペイン軍はそのスキをうまくついたらしい。ちなみにピサロ率いるスペイン軍は精鋭ではあるものの、わずか200人しかいなかったという。私はてっきりヨーロッパから大量の兵士がドンブラコと船に乗って押し寄せたのかと思ったら、そうでは無かったのね。インカの兵士は収穫の季節になると戦線を離脱して畑に行ってしまったりして、そういうこともスペイン軍にとって有利に働いたらしい。
いずれは大軍が来たかもしれないが、ピサロが勝利を収めたのは予想外のハプニングが味方したからだ。ちょっとした偶然の上で歴史は成り立っているんだなあ。
その後はインターネットをやり、午後から例の温泉、その名も「バーニョス・デル・インカ(インカの温泉)」へ。
温泉へはカハマルカの中心街から頻繁にコレクティーボ(乗合タクシー)が出ている。15分ほど揺られると、郊外の温泉に着く。
温泉は思ったよりもモダンな造りだった。入り口で入場料を払うのだが、ここの温泉はすべて個室。普通のと上級のがあるらしいが、1ソルしか変わらないので上級の方にした。チケットを受け取り、湯畑の向こうの建物へ。
中に入ると長い廊下の左右に個室が並んでおり、ドアの前のベンチには順番待ちの客が座っている。しまった、今日は日曜日だ。思ったより客が多い。
ラテン社会では得てしてそうだが、ここでも客は一列に並ぶなどどいうことはしない。個室が空いたら近くにいる人がサッとドアの前まで行き、次にそこを使う権利を得たことを主張する。ドアの前でしばらく待つと清掃係のお兄さんが来て、1回1回浴槽を掃除してくれるのだ。シャワーが無いから体を洗うのも浴槽の中。よって1回ごとに湯を入れ替えるシステムなのだ。贅沢でしょ。
待つこと約10分。思ったよりも早くマイ・個室をゲットしたカズヒロは、さっそく浴槽に湯をためる。ノブをひねると、怒涛の勢いで熱い湯が出てくる。こりゃすごい湯量だ。しかし湯は無味透明、あまり温泉という感じはしません。
個室の大きさは3畳ほど。ドアを開けたところが脱衣場になっていて、その向こう、段を下がったところが深い浴槽になっている。湯量は自分で調節できるが、深さ1メートルぐらいまではためられそうだ。
ゆっくり湯につかろうと思ったのだが、熱い。お湯はぬるめにしたつもりなのだが、小さな個室は湯気の逃げ場が無く、ムンムンとすごい熱気でサウナのよう。個室も清潔なんだけどあまり情緒が無く、こう言うと大変失礼なんだけど、病院か何かの施設の風呂か、以前テレビで見た競馬馬の風呂のような感じがする。やっぱり温泉は露天がいいですな・・・。
しかし久しぶりの風呂は気持ち良かった。20分ほどであがり、またコレクティーボに揺られて街に帰る。
中華料理屋で昼ご飯とともにビールを飲んだら、また気分が良くなって眠くなった。部屋に帰り、3時間ほどぐうぐうと昼寝する。温泉にビールに昼寝。いい身分だなあ。
夜は部屋で日記打ち。さて、体調もまずまず回復したし、明日はここを出るか・・・。
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