旅の日記

ブラジル・パンタナール編(2000年9月17〜21日)

2000年9月17日(日) スワベな一日(A smooth day)

 少々睡眠不足だが、今日はいよいよサンパウロ出発の日。がんばって起き、支度を始める。
 牛次郎は昨日エンジンをかけておいたので、問題なく始動した。ペンション荒木の前につけて膨大な荷物を積みこんでいるうちに、他の宿泊者たちが様子を見に来た。
  一時帰国する前、牛次郎には私を含めて4人乗っていた。そのうちの一人、猪飼さんは都合があってバスで先に行ったので、今回は3人で旅立つこととなったが、大量に食料を買いこんだので3人で寝泊りするのがやっとの空間しかない。「荒木」で他の乗客を探そうとも思ったが。3人で良かったかも。

 そして昼ごろ、みんなに見送られてペンション荒木を後にする。向かう先はサンパウロのはるか西、ボリビアとの国境付近に広がる自然の宝庫「パンタナール湿原」。これからは少しずつ、牛次郎の旅の出発点であるエクアドルに近づく格好になる。サンパウロはいわば折り返し地点、今日からの道のりは復路だ。牛次郎、キトまでかんばって走っておくれ。

  先日、四柱推命の先生を訪ねた時にサンパウロの街の脱し方は把握していたので、道に迷う事も無くスムーズにパンタナール方面にのびる高速道路に乗ることができた。後はただ、ひたすら走るだけ。道路は片道2車線のきれいな舗装路で、たまにある料金所が面倒だが、適度なアップダウンが気持ちいい。
 夜10時ごろ、サンパウロから約500キロ走ったアラカトゥバの町のガソリンスタンドに到着。ブラジルのガソリンスタンドには当たり前のようにシャワーがついていて、ガソリンを入れなくても当たり前のように貸してくれる。いちいち確認を取らなくても、ガソリンスタンドの端で寝ようが、料理をつくろうが、全然OK。ガソリンが日本並みに高いというのを除けば、ブラジルは車で旅しやすいところなのだ。
 今夜はスタンドの隅でカレーライスを作り、シャワーを浴びて牛次郎の中で就寝。ひさびさの車中泊だが、ちゃんと眠れた。今日は故障もなく、とてもスワベ(スムーズ)な一日だった。これが続いてくれれば良いが。


出費                  120R  ペンション荒木10泊分
計        120R(約7070円)
宿泊         アラカトゥバのスタンドに停めた牛次郎


2000年9月18日(月) 故障の日々のはじまり(Beginning of the break downs)

 スワベな日々が続くように、という願いは空しく、牛次郎は故障を繰り返すようになった。

 18日、朝から約200キロ走ったトレス・ラゴスという町のガソリンスタンドに入る際、運転していたウメさんがブレーキの異常に気付いた。いつも調子の悪い左後輪のブレーキがロックしたまま、戻らない。ブレーキを引きずって走っているのだ。
 早速、スタンドでジャッキアップしてブレーキをバラす。ブレーキのドラムは触れないくらいに熱くなっていたが、苦労しながら外してみると、ブレーキのピストンがシリンダーから出たまま戻っていない。ブレーキというものはペダルを踏むとその力でブレーキオイルがブレーキシリンダー流れ込み、シリンダーの左右についているピストンが押し出されてブレーキシューをブレーキドラムに押しつける仕組みになっているが、普通はブレーキを緩めるとピストンが戻るはずなのに、それがどこかでひっかかって戻らないでいるのだ。
 スタンドにはメカニックがいなかったので、ウメさんと二人でブレーキを分解し、組みなおす。サンパウロは涼しかったが、ここらはもう真夏の暑さだ。ジリジリと太陽が照りつける中、油まみれになって作業を終える。試しに走ってみると、ブレーキを引きずる現象はなくなり、 効きの方も何とか及第点、といった感じまで直せた。これならだましだまし走れる。

 スタンドでシャワーを浴び、走り出す。遅れを取り戻そうと暗くなっても走りつづけていたが、今度は左前輪から「バタコン、バタコン」とすごい音が聞こえてきた。左前輪のホイールは私の一時帰国中にクラック(ヒビ)が入り、一度溶接をしてもらったらしいのだが、そこが再発したようだ。真っ暗な荒野の中、牛次郎のバッテリーに接続したライトを頼りにスペアにタイヤに交換するが、その灯りに大量の羽虫が集まり、体中にたかった。それこそ、虫唾が走る思いだった。
 しかし、トラブルはまだ終わらない。トレス・ラゴスから200キロ走ったリバス・ド・リオ・プラドの町に入ったときに、ブレーキが「ヌケた」。ブレーキの踏み応えがなくなり、効かなくなったのだ。もう夜も遅く、修理屋もやっていないので、そこの町のスタンドで一泊することにした。


出費         なし
宿泊         リバス・ド・リオ・プラドのスタンドに停めた牛次郎


2000年9月19日(火) ミシュランタイヤのファンになる(Kind people of Brazil)

  翌朝、朝一番で町の修理工場へ行く。事情を説明するが、ここでは無理で90キロ西へ行った大きな街カンポ・グランジへ行けとか、部品が無いから、とか言って修理に取りかかってくれない。仕方なく、工場の隅を借りてふたたびウメさんと二人で左後輪のブレーキの分解、組みつけを行う。工場でヒマそうにしていたトラックの運転手も手伝ってくれて、ブレーキの左右のピストンをスペアで持っていたものに交換する。その時、ブレーキシリンダーのエア抜きの穴に布が詰まっていて、エア抜きの作業が出来ないことに気付く。ブレーキオイルが通っているブレーキパイプに空気が入ると効きが大変悪くなるので、ブレーキの作業をした後にはシリンダーにある空気抜きの穴にはまっているボルトを緩め、空気を抜かなければならない。これがエア抜きの作業だが、その穴に布が詰められており、その上からボルトが締められているのだ。これではエア抜きができん、と深いことを考えずに布を取り除き、エア抜きをしてブレーキを組みなおした。

 とりあえずブレーキは効くようになったので、午後に出発する。90キロ行ったカンポ・グランジはマトグロッソ・ド・スル州の州都で、思ったよりもモダンな街だった。ここでミシュランタイヤの大きな代理店があったので入ってみる。昨夜交換したホイールには放射線状に綺麗にヒビが入っており、もう使用限界。スペアタイヤも磨耗してツルツル。ここで両方とも一気に換えようと思ったのだ。
 ミシュランタイヤの代理店はとても綺麗で、揃いの制服に身を包んだスタッフが次々と現れるピカピカな車のタイヤ交換をこなしていた。中南米は階級社会の国が多く、普通、このような中〜上流階級の人間が出入りするような場所に我々のようなオンボロ車に乗った小汚い連中が行くと、それこそ足元をみるような対応をされることが多いのだが、ブラジル人はおおらかで温かい人が多く、この代理店でもオーナーらしきダンディな人が親切に相談にのってくれた。通常、この代理店では中古のタイヤやホイールはあまり扱っていない様子なのに、知り合いの所へ電話をして中古ホイールを1本取り寄せ、代理店の裏から中古のタイヤを2本探してきてくれた。値段は作業賃込みで70レアル(約4100円)。破格のサービスだ。やはりブラジル人は良い人が多い。人に大変親切で、お礼を言われても「気にすんな」ってな感じでジェット浪越ばりにグイと親指を突き出すのだ。とても気持ちのいい人たちである。
 これでミシュランタイヤのファンになってしまった。売ってもらった中古のタイヤはファイアーストーンだったが。

 大きなスーパーで生鮮食料品を買い足し、準備万端でカンポ・グランジの街を後にする。パンタナール湿原は300キロ先だ。
 しかし、トラブルの神様は我々を退屈させない。150キロ進んだアキダウアナの街で、みたび、ブレーキの調子がおかしくなった。夜も遅かったので、スタンドの裏の木の下で泊まる事にする。
 夕食はスーパーで買った新鮮なマグロをごはんに載せて茶漬けにしたが、マグロの漬け汁に私がラム酒を入れすぎたので、食うと酔う茶漬けという、「酔った後に茶漬け」という方程式を覆す代物になってしまった。ウメさんたち、ごめんなさい。


出費         なし
宿泊         アキダウアナの木の下に停めた牛次郎


2000年9月20日(水) 艀(はしけ)船と牛次郎の関係(A barge brings a bad luck)

 牛次郎の中で泊まることの難点の一つに、暑さがある。防犯上、ドアも閉めきり、窓も開けられる場所が限られているので、日のあたる場所に停めておくと、朝8時ごろにはもう寝られない暑さになってしまう。真夏の車内に取り残され、暑さで死亡してしまう子供の気持ちがよく分かるのだ。エアコンは無いのか、という愚問はやめてほしい。 しかし昨夜は木の下に停めたので、いつもよりぐっすりと快適に眠ることができた。

  起きてまずやったのは、ブレーキの修理。ブレーキを踏むと、ボルトがはまっているにもかかわらずシリンダーについている例のエア抜きの穴からピューっとブレーキオイルが吹き出すのだ。やはりあの詰まっていた布は外すべきでは無かったのか。でも、それじゃエア抜きできないじゃん。
 別の布を詰め込んだり、別のボルトをはめたり、液体ガスケットを試したりするが、その度にブレーキオイルを浴び、失敗であることを知らされる。 2時間の格闘の末、結局、布を詰め、ボルトに液体ガスケットを塗って締め込むという複合作戦でブレーキオイルの漏れは止まった。いやー、疲れた。

 気を取りなおし、出発。ここまで来ると道は片側1車線、大湿原パンタナールにさしかかる。
 200キロほど走ったところで、パラグアイ川という大きな川に出た。橋はまだ建設中なので、艀(はしけ)船に乗って対岸に行かねばならないが、ここでイヤな記憶が甦る。ご記憶の読者もいるかと思うが、以前、マナウスの手前で艀船に乗ったすぐ後、あの「死体を運ぶ事件」が起きたのだ。聞けば私が一時帰国中、マナウス〜ベレン間のアマゾン川を艀船で下った後も、エンジントラブルでウメさんたちは苦労したらしい。どうも艀船に乗るとイヤなことが起きるような気がするのだ・・・。

  果して、その予感は当たった。対岸に渡り、凸凹のひどい舗装路を走っていると、突然、牛次郎のエンジンが止まった。プラグケーブルを引きぬき、ヘッドに近づけてセルを回すが、火花が散らない。これは電気系統のトラブルだ。
 牛次郎のハンドル下には、無数のコードがむき出しになってからまっている。中には切れているものもあるし、繋がっているものもある。ヒューズも数本、裸で壁にへばり付いているが、切れている様子も無い。早い話、何が何だかわからん。だめだ、こりゃ。
 一番近いガソリンスタンドは艀船を降りたすぐ後、牛次郎が止まった地点から約2キロほど戻ったところにある。一時はそこまで押そうかと本気で思ったが、牛次郎をUターンさせるだけで大変な体力を消耗した。こんなの2キロも押せるか!
 通りかかる車を止めて引っ張ってもらおうと思ったが、止まってくれた車は普通の乗用車で、大きな牛次郎を引っ張るのには無理があった。結局、私一人が止めた車に乗りこみ、スタンドまで救助を求めに行く。
 車中からは綺麗な夕陽が見えた。これが穏やかな気持ちで見られたら・・・。
 スタンドに着いたのはいいが、引っ張る車も無いし、メカニックもいない小さなスタンドなので、持ってこられても困るという。仕方なく、艀船の発着場まで引き続き乗せて行ってもらう。艀船の発着場のまわりはちょっとした集落になっており、そこの土砂の集積場にいたミキサー車が牛次郎を引っ張ってくれることを快諾してくれた。ただし、集落に修理工場は無い。明日、誰かが90キロ先のコルンバまで行って修理工を呼ぶか、電話で呼び付けるかしなければ・・・。

 とにかく、湿原の真ん中で止まっている牛次郎を引っ張ってこなければ。ミキサー車に乗りこみ、牛次郎が止まったところまで行く。着くと、ウメさんたちはビックリした目で見ていた。まさかミキサー車で迎えに来るとは思っていなかったらしい。
 ミキサー車と牛次郎をクサリで連結し、パラグアイ川のほとりまで牽引してもらう。クサリが短かったのと、エンジンをかけないと牛次郎のブレーキは効きが悪いので、大変緊張した。これでこの旅、2度目の牽引。

  艀船の発着場にあるレストランの前まで牛次郎を引っ張ってもらい、そこで泊まる覚悟を決めるが、蚊がすごい。パンタナール湿原の真ん中、しかも川の近く、蚊が生息するにはもってこいの場所なのだ。暑さをがまんして長袖、長ズボンの格好になる。着替えるわずかな間でも数ヵ所を刺され、止まっていた蚊をつぶすと真っ赤な血が出てきた。
 レストランにはシャワーが無い。こんな所で夜を明かすのか、とブルーな気分になっていると、どこからともなく一人のおじさんが牛次郎に寄って来た。どれどれ、見せたまえ、みたいな感じで、牛次郎のエンジンやハンドル下の無数のコードを調べて行く。
 はじめは「分かるのか?」と心配だったが、調べるところは的確だった。プラグケーブルやディストリビューターなどを調べ、異常が無いのを確認すると、おじさんの関心はハンドル下の無数のコードに。我々が蚊と格闘している間も、おじさんは一本一本ていねいにコードを見ていき、そして外れていたコードの中から、それが繋がっていなければエンジンがかからないという一本を発見!うおお、こんな根気、俺らには無かった・・・。
 つなげてセルを回すと、元気よく牛次郎のエンジンは目を覚ました。聞くとおじさんは艀船のメカニック、どおりで詳しいわけだ。お礼をしたいと我々がいうと、「コーラ代だけでいいよ」というのだが、あまりの感動に20レアル(約1200円)あげる。牛次郎が直ったのももちろん嬉しいが、なによりもこの蚊地獄から抜け出せるのが嬉しい。

 そこから90キロ走り、ボリビアとの国境近く、コルンバの町に到着した。適当なガソリンスタンドをみつけて隅でスパゲティを作っていると、スタンドのレストランのご主人が店のテーブルと椅子をわざわざ持ってきてくれた。こんな事、フツー考えられるか?なんて良い人たちなんだ、ブラジル人。
 
 明日はここからパンタナール湿原の真ん中を通る未舗装路を走り、大自然を満喫する予定。野性のワニは見られるだろうか?


出費         なし
宿泊         コルンバのスタンドに停めた牛次郎


2000年9月21日(木) パンタナールの大自然(The great nature of the Pantanal)

 朝起きたら、牛次郎が傾いていた。右後輪のタイヤが見事にパンク。近くにパンク修理屋があったので助かったが、今日も幸先が悪い・・・。
 
 しかしパンクは10分で直ったので、気を取りなおしてパンタナールの深部へ突入する。
 ブラジルの自然の宝庫がアマゾンだけと思ったら、甘い甘い。ブラジルの西部には日本の本州ほどの大きさの「パンタナール湿原」が広がっており、動植物の種類でもアマゾンをはるかにしのぐそうだ。昨日まで走っていたサンパウロ方面からコルンバまで伸びる国道もパンタナールを貫いているが、もっと自然が見たければ、やはり国道から外れて深部へ行った方がいいらしい。今日はコルンバから数キロ戻り、国道から左へ折れてパンタナールの中を走る全長100キロほどのダートに挑戦することに。牛次郎にダートは過酷だが、耐えてくれ!

 ダートに入って最初の30キロはアップダウンの激しい路面の険しい道だったが、その後は「大湿原」と呼ぶのにふさわしい平地となり、走りやすくなった。ときおり道は川や沼地を越えるが、そこにかかっている橋は木製で、その上からは周囲の様子がよく見えるのだ。
 最初の橋でウメさんが釣りに挑戦したが、下の川では魚がそこら中で跳ねているにもかかわらず、収穫はなかった。やはりエサがパンのみというのがつらかったか。試しにパンをまき餌のように川にまいたが、集まったのは鳥だけだった。
 さらに進むと、どんどん動物や鳥の数が増えてきた。橋の上から下を除くと、当たり前のように小型のワニが数匹水の中にいて、ジーッとしている。一度、幸運にも全長2メートルほどの大型のワニが悠々と泳いでいる姿が見られ、コジラのようで格好が良かった。

 世界最大のネズミ科の動物、カピパラもたくさんいた。大きさは犬ぐらい、ずんぐりむっくりで色は茶黒、ネズミというよりは小型のカバというような感じでかわいい。臆病で、人間の気配がするとすぐドタドタと走って水の中に潜ってしまうので、残念ながら写真は撮れなかった。ちなみに、左の写真は小型のワニである。どこに居るのかって?よく見て!

 50キロほど走ったところで、昨日艀船で渡ったパラグアイ川に出た。あまりにも暑いので売店でビールとかジュースとかを飲みまくって休憩する。ここは釣り人の聖地らしく、釣り人向けの宿や船がいっぱいあった。ここに滞在して釣りに興じるのも良さそうだったが、金がかかりそうなのとあまりにも暑くて蚊が多そうなので、パス。川を渡ることにする。

 さて、ここでも当然橋は無く、艀船に乗らなければならない。イヤ〜な予感がしながら、対岸へ。
 そして、今回もその予感は当たった。まず、ウメさんが左前輪のパンクに気付いた。バルブ付近からシューッとわずかに音がする。しかしスペアタイヤも持っているし、空気が完全に抜けるまでまだ時間がかかりそうだ。今日で2度目のパンクだが、このトラブルに関しては悠長に構え、再び観光をしながら進む。
 しかし!しばらく進むと、今度はクラッチがぶっ壊れた。踏み応えがなくなり、踏んでもスカッと空しくペダルが動くだけ。油圧ピストンやパイプの問題みたいだが、何しろ大湿原のダートの中で、しかもうだるように暑い。自力での修理は早々にあきらめ、クラッチ無しで修理屋があるところまで私の運転で走ることに挑戦する。

 1回目の発進はギアを入れたままセルを回して見るが、ダートでは抵抗が大きいのか、走り出してくれない。仕方なくニュートラルでエンジンをかけ、回転を見計らって力づくでギアを1速にブチ込む。入ったとたん、牛次郎は身震いして急発進、その後も回転を合わせて2速までシフトアップし、そのまま延々と30キロほどの速度で走る。
 速度が出ないから、窓をあけても風が来ない。暑さと緊張で、汗まみれになって走る。30キロほど進んだあたりで左前輪のタイヤの空気圧が限界に達し、スペアに交換する。ジャッキアップしようとするが、油圧ジャッキのストロークが足りず、タイヤが浮かない。仕方なくタイヤの下の砂を掘り、スペアをはめる。ウメさん曰く、「俺ら、キャメルトロフィーに出ても優勝できるかも・・・」

 スペアに交換した後も、例の方法で発進し、進む。サンパウロ方面〜コルンバの国道に戻る10キロ手前にガソリンスタンドがあったが、修理はできないと言うので、国道へ戻ってサンパウロ方面へ左に折れ、そこから110キロ先のミランダの町までクラッチ無しの走行が余儀なくされる。
 10キロ進んだところで国道とぶつかり、あとは舗装路なのだが、ここで面倒にも警察の検問があった。困ってるんだから、止めるなっちゅーに。
 検問から発進するときには、警官に勧められたとおりギアを1速に入れてセルを回すと、舗装路が幸いしたのか重い牛次郎が前に押し出されて発進できた。あとはミランダまで信号もない一直線。

 舗装路では3速を維持して、5、60キロほどのスピードで走る。もうすっかり暗くなり、高いエンジン音とあいまってスピード感だけはある。110キロ先のミランダまで約2時間かけて到着するが、着いた時にはもうヘトヘトだった・・・。
 ミランダの町に修理工場はあったが、夜も遅いので明日の朝にしてくれという。ただ、工場の前庭で寝る事は許可してくれた。今夜はみんな疲れていたので、自炊はせずにレストランで遅い夕食を食べ、すぐに寝た。

  今日もトラブル続きだったが、それでもパンタナールは素晴らしかった。もっと南米でも注目されていいと思うのに。


出費                   1.1R  ジュース
            5R  夕食(計り売りレストラン)
計        6.1R(約360円)
宿泊         修理工場の前庭に停めた牛次郎