朝起きたら、風があって涼しいものの、青空が広がっていた。これなら念願の「スクリ川シュノーケリング下り」が実行できそうだ。
ツアーの予約時間は午後1時半なので、午前中は宿でゆっくりしていく。すると、ツアー会社はガイドの不足を理由に1時半のツアーは催行できない、とか言う。ぶーぶー文句言うが、通訳してくれたブラジル人の観光客によると、ここはガイドがいないと何もできないところだから仕方がないという。
午後3時にまた来い、というので町をブラブラしていると、ツアー会社で通訳してくれたブラジル人が「やっぱり行けるらしいので、ツアー会社に戻れ」と呼びにきてくれた。戻ると、現地でガイドが待っているから自力で車で行けという。簡単な地図を書いてもらい、約20キロ離れたスクリ川までダートを走る。
現地に着くと、ツアーの発着場所となる事務所でウエットスーツやライフジャッケット、シュノケールの道具を貸してもらい、ガイドとともにいざ川へ。
川までは歩いて15分ほど。そこまではジャングルの中を通る遊歩道になっており、ガイドは涌き水がでている池などを紹介しながら案内してくれた。
そしてスクリ川へ到着。途中の遊歩道の湧き水の青さに感動し、写真を撮ったのがアホらしくなるほど本番のスクリ川は美しかった。何でも水は湧き水で、地中をろ過されながら通ってきたために非常に透明だという。そして川の底は白い砂であり、日光とあいまって水を青く見せているのだ。
10人乗りくらいの小船に乗り、しばしガイドの説明付きで川を下る。スクリ川は幅5、6メートル、深さは最大でも3メートルほどの小川だ。 無数の淡水魚が生息しており、警戒することなしに船のまわりに集まってくる。大きいもので体長40センチほど。水が透明だから、まるで手が届くように見える。
15分ほど船で下ると、ブイが水面に浮いているところに出た。ここから水に入ってシュノーケリングで下るのだ。準備のできた者から水の中にザブンと入る。
水に潜ると、口をパクパクさせて泳いでいる魚の様子や、川底の水草らしきものを食べている魚の様子が良く見えた。太陽が出ているので、川底まで照らされて美しい。水族館なんかよりもはるかに美しい自然の小川に、実際に潜る事ができるのだ。何て贅沢なのだろう。
川はゆったりと流れており、泳ぐことなく流れに身を任せて下る。行程は約2キロ、一時弱の「浮遊」だ。しかし、行程の半分を過ぎたあたりから寒くなった。入った時は思ったより水は冷たくないと感じたが、水温は20度前後、ウエットスーツを着ていても1時間浸かっているのはつらい。途中から歯をガチガチいわせながら下る。
スクリ川はとても美しかったが、別の川と合流する地点に来て、そこがゴールと判ったときには「ようやく」といった感じだった。もっと気温が高い日なら満喫できたのに・・・。
元の事務所に戻り、ホットチョコレートと暖炉で体を温める。以上でツアーはおしまい。あいかわらず、「お代は町のツアー会社に戻ってお支払い下さい」。人を疑わんのか、ここの人は。
寒いのが難点だったが、それは今日は風があって涼しかったから。それを十分すぎるほど上回る感動が、スクリ川にはあった。ボニートの町からは、昨日訪れた「青の洞窟」や今日の「スクリ川」以外にも数々の小川や滝を訪れるツアーが発着する。シュノーケル以外にも乗馬、ラフティング、マウンテンバイクなどのアクティビティが可能だ。
にもかかわらず、ボニートは外国人にはあまり知られていない。「地球の歩き方」や、私の持っている版の「ロンリープラネット」にも載っていない。町から各方面へ伸びる道も大半がダートで、交通の便も悪い。だから、町にはまだツーリストは少ない。観光地にありがちな、現地の住人がスレているということも無い。ここはハッキリ言ってオススメである(今のうちは)。ここのためにブラジルに来るほどでも無いが、パンタナールに来たついでや、サンパウロから西方面、あるいはその逆をたどるルートを取る場合には、ぜひ加えてほしいスポットなのである。
でも、いずれツーリストが増えると、ここも変わってしまいのだろうか・・・。
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