旅の日記

アメリカ・メサベルデ〜ブライスキャニオン編(1999年10月3〜6日)

1999年10月3日(日) メサベルデでスピード違反(Mesa Verde National Park)

 今日は長居したモアブの町を後にする日。まずはジープを返さねばならないが、昨日のハードランで内側も砂だらけ。捨てるつもりのトレーナーでこまかし程度に内装を拭き、レンタカー屋へ。さて、精算は・・・ゲッ、128ドル!。まあ、十分に楽しんだから、仕方ないか。
 ジープの返却を無事済ませ、我々が向かった先はメサベルデ国立公園。ここは、何と古代遺跡が見物。アメリカでですよ。しかも世界遺産に登録されている。古代と言っても、13世紀くらいのものらしいが。
 実は、メサベルデの存在は我々は知らなかった。山口氏に次の目的地は?と聞いたら、メサベルデという答えが帰ってきた。メサベルデ?と思って地球の歩き方を見たら、おや、面白そうじゃないの。ってな訳で、モアブの南東約200キロのメサベルデへ。
 アップダウンの多いハイウェーを飛ばし、昼過ぎにメサベルデのゲートシティ、コルテスに到着。適当なモーテルにチェックインして荷物を起き、早速メサベルデ国立公園へ。
 公園のゲートを抜けると、高い山を一気に駆け上がる、刺激的なワインディングロード。こりゃ、日本なら走り屋のメッカになっとりますがな、と私も興奮気味で飛ばします。すると、下ってきた山口氏とすれ違った。「俺の真似してここへ来たな」と思ったことだろう。さらに登ると、コーナーの入り口でパトカーとすれ違った。危ないとこだった(と、そのときは思った)。
 ビジターセンターで、バルコニーハウスという崖につくられた住居跡を見て回るツアーを申し込む。この住居跡は、レンジャー引率のツアーでなければ見ることができない。
 ツアーは午後4時からというので、急いで集合場所へバイクを飛ばす。すると、途中の駐車場で背後からサイレンの音が一瞬だけした。後ろを見ると、パトカーがいる。バイクを止め、「私を止めました?」ときくと、そうだという。「あなた、さっき25マイル制限の道路で55マイル出していたでしょう」だって。ゲッ、すれ違った際にスピードガンが作動していたのね。30マイルオーバーって、48キロじゃん。日本なら一発免停、罰金5万円コース。おまわりさんは私の国際免許証を持ってパトカーへ。無線でしばし話してから戻ってきて、「今後は気をつけるように」だって。オー、アメリカンポリス太っ腹。ラッキー。
 その後は耕運機並みの安全速度でツアーの集合場所へ。このツアーは10メートルのはしごを登ったり、狭いトンネルを通ったりするアクティブなツアーで、断崖に西暦1200年ごろに作られた住居跡を見学する。レンジャーに引率されて崖を登って行くと、何もこんな所に家を作らなくても、という場所に石と木の骨組みで作った村落の跡が。何でもこの遺跡を作った人たちはこの山の上の土地を耕し、800年ほどこの地に定住していたそうなのだが、西暦1300年後半ごろに忽然と姿を消したそうだ。なぜこの地を捨てたのか、全くの謎だそうだ。
 公園を観はじめたのが遅かったので、ツアーを終えたらすぐ夕方になった。もう一箇所、スプルースツリーハウスというもっと大きな住居跡を見て、コルテスの町へ戻る。明日の午前中もメサベルデに来るつもりだ。

本日の走行距離  309.6キロ(計5425.5キロ)

出費         128.57$ ジープレンタル代(カード)
             16.43$ ガス(ジープ用、カード)
              4.61$ ガス(カード)
              5.07$ 昼食(バーガーキング)
                 5$ ガス
             38.01$ モーテル(カード)
               3.5$ バルコニーハウスツアー参加料
              9.25$ 夕食(アービーズ)
計          210.44$

宿泊       UTE Mountain Motel



1999年10月4日(月) 宿を探して闇をさまよう(Monument Valley)

 コルテスの町を後にし、再びメサベルデへ。クリフパレスという最大規模の遺跡を見るレンジャー引率ツアーに参加する。昨日のツアーほどはしごを登ったりしないのだが、150も部屋があるという遺跡は見ごたえがあった。レンジャーのおばさんの説明も、昨日の人よりていねいで分かりやすかった。
 午後1時半にツアーが終わり、一服したあとモニュメントバレーを目指して走り出す。途中たいした町も無く、ロクに休憩をとらないまま午後6時にモニュメントバレーに到着。夕陽に染まるビュート(岩山)がきれいだった。本来ならバレー内を見て回る未舗装路があるのだが、荷物満載では行く気がしないし、もう一泊してもどってくるほど心をくすぐるものは無かった。30分ほどで早々に立ち去る。
 モニュメントバレーの先、約20キロのケイエンタという町で泊まる予定だったが、モーテルの相場が高い。どこも小奇麗な高級モーテルで、一泊税込みで100ドルを超すとのこと。とてもそんなとこには泊まる気がしないので、さらに先にいくことに。
 しばらくいくと、道の右側にポツンと一軒、モーテルがあった。金額を聞くと、電話なしの部屋で59ドル+税とのこと。さらに先にいけばもっと安くなるだろう、と思ってここを後にしたのが間違いだった。
 すでにまわりは暗くなり、気温が下がり始めた。DRのライトをハイに切りかえると、光軸が振動でずれたのか、普通のライトより下を照らしている。仕方ないので、街灯もない暗闇の中のハイウェーをローライトで走る。1時間少しはしると、テューバシティという町に着いたが、ここもモーテルが2軒しかなく、一方は100ドルを超え、安かったもう一方は満室だった。マクドナルドで夕食を食べながらどうするか考える。ここはインディアンの居留地の中の町なので、マックの店員も客も、みんなインディアンの人たちだ。正確にはネイティブアメリカンだが。
 仕方なく、次の町を目指して走り出す。時刻は午後9時半を回っていた。30キロほど走ったキャメロンという町でモーテルを一軒発見。税込み84ドルとのことだが、ここから先はもうグランドキャニオンだ。もう10時近いし、今日はここで泊まることとする。結局500キロ以上走ってしまった。

本日の走行距離  523.3キロ(計5948.8キロ)

出費            3.5$ クリフパレスツアー参加料
              4.51$ ガス(カード))
              6.14$ ガス(カード)
               6.5$ 夕食(マクドナルド)
                84$ モーテル(カード)
              4.26$ ジュース、パン(カード)
計          108.91$

宿泊       Cameron Trading Post

「久美子の言わせて!」
はじめて夜バイクで走った。少しこわかったけど星がいっぱいみえた。ひゃ〜きれいだった。流れ星もみえた。あ、でもあれはほんとに流れ星だったのだろうか?願い事を3つ、しかも3回づつ繰り返し願えたからなぁ。なんかゆっくりゆっくり流れていったんだよね。飛行機かな?と思ったんだけど光が点滅してなかったから、いっぱい願い事をしときました。かなうといいけど。



1999年10月5日(火) グランドキャニオンを一日で観る(Grand Canyon)

 昨日距離を稼いだおかげで、昼過ぎにグランドキャニオン(サウスリム、谷の南側)に到着した。実は、期待薄だったんですね。ここは。世界を巡ったライダーの方たちから、グランドキャニオンはたいしたことない、と話を聞いていたので、そんなもんかいな、と思ってきたら、そんなもんだった。何箇所かある展望台から谷を見下ろすが、正直言ってキャニオンランズで見た景色の方が良かった。
 これは谷の下まで降りなきゃ意味ないでしょう、ってことで調査を開始。谷の下へ行って帰ってくるのは日帰りでは無理なので、谷底で宿を確保しなければならない。唯一あるファントムローンチという宿は数日先まで一杯とのことで、キャンプ場もしかり。やっぱり予約なしでいきなり、ってのは無理でした。涼しくなってハイキングするには良いシーズンなので、どこの駐車場も混んでたもん。何日かかけてキャンセル待ちに挑戦しても良かったのだが、そこまで心は動かされなかった。山口氏は谷底に降りることが大きな目標だった。彼はうまくやっただろうか。
 仕方なく、夕刻まで待って赤く染まるキャニオンを見てここを後にすることに。バイクを置いてシャトルバスで西側の展望台へ。すると、日が傾き山々の凹凸が浮き彫りにされ、さっきとはうってかわって表情豊かな景色となってきました。捨てたもんじゃないじゃない、ここも。といってももう一日はいないけど。
 日が落ちるまで谷を見たあとは、約200キロ離れたペイジという町を目指して昨日に引き続いてのナイトラン。幸い同じ方向に向かう車が多いので、同じペースの車の後ろについて走る。
 ペイジの町についてモーテルを探していると、「ホステル」という看板が。プライベートルームに空きがあったのでチェックイン。3つの部屋で風呂、キッチンなどを共有するシステムだが、他に客がいないので貸切状態。しかも部屋の中に洗濯機、乾燥機があったので久しぶりの洗濯日和。
 ザイオン国立公園を目指してここまで来たが、久美子が近くにあるブライスキャニオン国立公園も面白そうだと言う。地球の歩き方を見ると、なるほど、楽しそう。よっしゃ、明日はブライスキャニオンだ。

本日の走行距離  327キロ(計6275.8キロ)

出費            1.5$ ジュース
             12.27$ 昼食(チキンポットパイ)
              1.75$ 絵葉書
              6.14$ ガス(カード)
                35$ ホステル代
             12.84$ 夕食(カップ麺、パンなど、カード)
計            69.5$

宿泊       ペイジの町のホステル(正式名称忘れた)

「久美子の言わせて!」
今日も夜走行。流れ星いっぱい。ロマンチック〜!とひたっていると、前で奴はびびり運転。夜は遠くまで見えないのでカーブや凸凹道がわかりづらいようだ。なのでそういうところにさしかかるとびくっとびびるのだ。あぶないけど結構おもしろい。
夜寝る頃になったらちょっと具合いが悪くなってきた。気を利かしたのか、伝染りたくなかったのかカズはひとり共同リビングにある豪華なソファーの上に寝袋で睡眠。私は一人でベッドを占領。これでよかったのだ。なぜなら夜中に事件発生。激しい痛みが腹を襲う!久美子ピンチ!幸い貸切だったということと、トイレが部屋の目の前にあったので急いで部屋を出る。トイレのドアに手をかけ開けたのは憶えてるが、その後の記憶がない。寒いなぁ、腹いたいよぉ。あれっ?夢かなと思って起きるとトイレと廊下の間の冷たい床に寝転がっていた。とりあえず引き続きお腹が痛かったのでトイレに入りベッドへ戻る。朝冷静に考えた。昨夜はあまりの痛みに、貧血か気を失ってしまったようだ。恐るべし腹痛大魔王。



1999年10月6日(水) ブライスキャニオンで想像以上の楽しさ(Bryce Canyon National Park)

 ペイジを後にしてブライスキャニオンを目指すが、横風がひどい。朝は晴れていたのに、あっという間に風が雨雲を運んできた。ときおり小雨がぱらつく空模様となり、また標高も高くなってきたので寒い。カナダ以来の寒さだ。
 午後3時ごろ到着。ここはニョキニョキと細い岩山が無数に立っている公園で、その間を歩いて回ることができる。一昔に流行った、立体迷路のような感じ。今までの公園と比べると、こじんまりとしている。
 とりあえずビジターセンターへ行って見る。すると、昨晩の最低気温はマイナス2度だって。どうりで寒いわけだ。標高も2000メートル越えているし。フランス人の観光客の集団が寒い、寒いと騒いでいた。白人が寒いんですもん、日本人ならなおさらです。
 天候が回復するまで、いったん公園を出て宿を探すことに。すると公園の入り口のすぐそばに30ドル+税というモーテルを発見。こんな観光地で今までの最低記録。即チェックイン。すると、部屋は綺麗なのだが10匹ほどハエが飛んでいる。そこで虫捕り名人久美子登場。紙コップで次々とハエを捕らえ、外で逃がす。こりゃもう少し修行を積めば、箸でつまめるようになりますよ。こんどから武蔵と呼ぼう。
 晴れ間がのぞくようになったので、夕方に再び公園へ。ナハボトレイルという一時間ほどのトレイルに挑戦。すると、どうでしょう。岸壁の中のくねくね道はまるでインディジョーンズの世界のよう。トレイルの長さもちょうど良いし、想像以上の楽しさ。こりゃ明日も来なきゃだわ。
 夜は暖房の効いた部屋でヌクヌクと絵葉書を書いたり、日記を付けたり。外が寒い分、ぬくいと幸せですな。そろそろ前タイヤの減りが気なりだした今日この頃。リアのチンシンタイヤも減りが早いなあ。ロスまでもってね。

本日の走行距離  295.3キロ(計6571.1キロ)

出費            5.5$ ガス
              2.16$ コーヒー、アップルパイ(マクドナルド)
              8.85$ 昼食(ハンバーガー、カード)
              8.78$ 夕食(パン、果物、カード)
計           25.29$

宿泊         Bryce Canyon Resort

「久美子の言わせて!」
さむーい。再びはなたれ小僧参上。なんじゃこの寒さは。カナダ以上だ。寒い選手権1位。とりあえずモーテルの部屋へ入り暖をとろうと思ったら部屋の中にハエが沢山いる。ぶんぶん飛びまわっている。絶対夜ねむれない。と思って蚊取り名人である私はえいっやぁと片っ端からハエを捕まえ外へ逃がした。奴もがんばったがまだ修行が足りないので2,3匹がやっとだった。そもそもなぜ蚊取り名人かと言うと数年前、家族旅行をした時にやはり部屋に蚊が異常にいたのだ。蚊取り線香をたいてもなかなか効かなく、痺れを切らした姉が「久美子殺せ!」と命令。末っ子である私は逆らえず、次から次へと蚊を退治。姉から蚊取り名人なるものを襲名。虫捕り名人ではない。