旅の日記

アメリカ・イエローストーン編(1999年9月21〜25日)

1999年9月21日(火) イエローストーン突入、そして貴重な出会い(Yellow Stone)

 ボーズマンを後にし、かの有名なイエローストーンへ。途中谷あいの道を登っていくのだが横風がすごい。
昼頃公園の北口ゲートに到着。イエローストーンでは背の低い草が黄色く色づいており、すっかり秋の雰囲気。でも天気は快晴、汗ばむほど暑い。
 そのまま道沿いに南下すると、最初のみどころ、マンモスホットスプリングスに到着。温泉が山の斜面から湧き出しており、そこら一帯に噴出物が白く段々畑状に堆積している。まるでロウソクのようだ。遊歩道に沿って見て回る。
 すると、駐車場にジェベル250と日本人らしきライダーを発見。話し掛けて見ると、私と同じくタービュランスにバイクの輸送を依頼し、バンクーバーから入った山口さんだった。話は聞いていたが、まさか出会えるとは。彼も1年弱の予定で世界一周をする予定だそうだ。
 山口さんの宿泊しているユースの場所を聞き、夜の再会を約束して別れる。昨日の残りのパンを昼食に食べると、地球の歩き方に載っていた露天風呂へ。日本人ですから、やっぱ観光には温泉がないとねえ。
 問題の名も無き風呂は、マンモスから北へ2、3分ほど走った、ガードナー川沿いにあります。風呂といっても、温泉が川に流れ込んでいるところを石でせき止めただけの、着替えるところも何も無いワイルドな風呂。これがわずか数センチ移動しただけで冷たかったり、熱かったりと、ちょうど良いころあいの場所を見つけるのが大変。だが、慣れてくると、あったまったら涼しい方へ移動しクールダウン、寒くなったらまた熱いほうへと移動、と繰り返し、秋色に染まった草花と川を眺めながら長湯ができました。
 風呂で一緒になったアメリカ人父娘と仲良くなり、話すうちにネバダのカーソンシティーに行くことがあれば、彼らの家に泊まらせてもらうことになった。父親の名はジェフ。再会が楽しみだ。
 風呂からあがったら、すっかり夕方になっていた。ウエストイエローストーンの町のユースを目指す。途中ムースを見たり、バイソンを見たりと、自然を満喫。ユースの手前でUターンしようとしたらグラっとバイクが傾き、腰の痛みからもふんばれず痛恨の立ちゴケ。幸いダメージ無し。
 目的のユースはモーテルも兼ねており、ダブルで一泊37ドルとお得。作りもログハウス調で、若干ゴージャス(ユースにしては)。夜山口氏と再会し、ロビーで11時半まで旅の話しに花を咲かせた。彼はアメリカを回ったあとヨーロッパ(おそらくポルトガルとのこと)へ渡り、インドまで走るそうだ。彼はボーズマンのバイク屋でタイヤを注文しており、来るまでここに滞在するらしい。我々もここでもう一泊するつもり。

本日の走行距離  219.7キロ(計3078.2キロ)

出費           5.29$ ガス(カード)
              1.54$ 水、りんご
             39.59$ ユース(カード)
             11.94$ 夕・朝食(冷凍食品やビール、カード)
計           58.36$

宿泊      Madison Hotel&Motel

「久美子の言わせて!」

ユースへ行く途中、Uターンしようとしたらこけた。カズの「うわー。ちょっと・・。まって。あー」という声と共に地面へ倒れた。足が挟まった。痛いよ-。左側にゆっくり倒れたからそんなにひどくなかったけど・・・。カズが「大丈夫。どっちの足挟んだ?」って。おいおい、右足挟んでたらわたしゃものすごく器用な人じゃないか。こら〜。『運転は気をつけよう』なのだ。



1999年9月22日(水) イエローストーンのグランドキャニオンへ(Grand Canyon)

 ユースの同じ部屋が今夜も空いていると言うので、連泊決定。これで宿の心配をせずにゆっくりイエローストーンを見て回れる。
 まずは北の方にある、ブラックテイル・ブラトゥーという全長10キロほどの一方通行のダートへ。道は楽しかったのだが車が多く、中には遅いくせに道を譲らない輩もいたので腹がたった。砂ぼこりをいやというほど浴びせられた。
 その後は南下し、タワーフォールという滝に寄って、イエローストーンのグランドキャニオンと呼ばれるところへ。ここは滝が2段に別れており、それぞれ水の落ちるすぐ横まで歩いて見に行ける。写真はロウワーフォールという、下の方の滝。こっちの方が落差が大きい(90mくらい)。ただし、そこまで歩いて下り、また駐車場まで登ってくるのが結構疲れる。そこまで見ないと、あまり行った意味がないとも思うが。
 上のほうの滝、アッパーフォールの駐車場から出るときにまたもや立ちゴケ。久美子が足を挟まれる。DRは荷物を積んでいなくとも重い。
 その後は近くのマッドボルケーノというところへ。ここは泥の温泉がゴポゴポと、あぶくを立ててそこら中から涌き出ている温泉場だ。本来なら遊歩道を歩いて奥の温泉まで見に行けるのだが、その遊歩道をバイソンの群れが占拠し、行くことができなかった。でも巨大なバイソンを間近に見られて満足。
 宿に帰る途中、今度はオオカミを見る。モノホンだ!これはちょっと見れませんよ。ここまで来ると、もうそこら辺にいる鹿くらいじゃ、なんとも感じなくなります。
 宿に帰って飯を食べていると、山口氏が9時半ごろに帰ってきた。開口一番、「事故りました!」。話を聞くと町のすぐ手前で、80キロのスピードでエルク(へら鹿)に突っ込んだらしい。しばらく気を失っていたのか、気がつくと周りに警察や、バイカーたちが集まっていたそうな。そのバイカーたちが警察を呼んでくれたらしい。不幸中の幸いか、体、バイクともに大きなダメージは無く、ジャケットの肩に穴をあけ、ヘルメットの左側を擦った程度。でも、事故のあとで興奮しているので、落ち着いてきたらまた痛いところが出てくるだろう。オーストラリアでもそうだったが、野性動物の多い地域での夜間走行はやはり怖い。いきなり暗い道路の真中に居たりするから。山口氏は、警察に「もしエルクじゃなくてバイソンだったら、死んでいただろう」と言われたそうだ。恐るべし、野性動物。
 ネット接続が出来ればもう一泊するのになあ、と思って、音響カプラーを使って全米共通のフリーダイヤルのアクセスポイントへ公衆電話から接続を試みると、3回目であっけなく接続できた。初めて音響カプラーが役に立った。まだまだイエローストーンも見たりないし、明日もここに泊まることに決定。

本日の走行距離  253.4キロ(計3331.6キロ)

出費           1.61$ アイスクリーム
             39.59$ ユース(カード)
             11.13$ 夕・朝食(冷凍食品やビール、カード)
計           52.33$

宿泊      Madison Hotel&Motel

「久美子の言わせて!」
 
今日もこけた。また足痛いよう。冷静な私は足を挟んでいたにもかかわらず、教習所で習ったとおり、まずエンジンをきる。カズはバイクを起こしていた。幸い怪我はない。
 あいかわらずバイクの後ろで寝る私。いい気持ちで寝ているとカズがヘルメットを
ペシペシ叩く。こんにゃろーと思うがまたすぐ熟睡。どうもヘルメットのとんがったとこでカズの肩を啄木鳥のように連打していたらしい。カズ キレルの巻。混んでるとエンジンブレーキがかかって、がくんがくんと体が前にいくから私が悪いわけじゃないのさ。いつものお返しだ。ざまあみろ。デビル久美子




1999年9月23日(木) 間欠泉三昧(Old Fathful)

 今日は間欠泉が集中しているガイザー地区へ。まずは一番有名、そして大規模な間欠泉であるオールドフェイスフルへ。間欠泉は定期的に熱水を噴出するが、その大まかな予想時間はビジターセンターに掲示してある。
 オールドフェイスフルは、ビジターセンターの目の前にある。一番の見所とあって、まわりは観光客でいっぱい、日本人もたくさんいる。だが、予想時間になっても噴き出す気配はない。前後10分ほどの誤差はあるというものの、10分たってもほんのチョロチョロ程度。となりにいた日本人家族の男の子(ヒロシという)が「まだ?これで本番?もうあきた」などどうるさい。前に座っていたアメリカ人カップルがあきらめて席を立った瞬間、プシューと勢いよくオールドフェイスフルは活動を開始した。高さ30メートルぐらいだろうか、天高く熱水を噴き上げ、まわりは拍手喝采。ヒロシは満足しただろうか。
 そのほかの間欠泉もいくつか点在しており、ていねいに歩きながら見て回る。面白いのは、みな地下でつながっているので、ひとつの間欠泉が噴き出すととなりにあった池の水がなくなったりすることだ。これが日本なら、温泉旅館が立ち並んでいるのだろうなあ。
 かなり時間をかけて見たので、本日の観光タイムはこれで終了。夕方宿に戻り、コインランドリーへ。そして乾燥機が回っている間にバイクを洗う。3000キロ分の垢だ。
 夜はエルクにクラッシュした山口さんに精をつけてもらおうと、ステーキをごちそうする。モンタナ牛もアルバータ牛に負けず劣らずおいしい。舌鼓を打ちまくったあとは、宿に帰ってビールで乾杯。明日もここに泊まる気配。


本日の走行距離   108キロ(計3439.6キロ)

出費           6.21$ ガス(カード)
             43.93$ 夕食(ステーキ、カード)
              7.19$ ビール(カード)
計           57.33$

宿泊      Madison Hotel&Motel

「久美子の言わせて!」
 
オールド・フェイスフル・ガイザーの噴出を見た後、周辺の間欠泉を見るためトレイルにでた。結構距離があり、噴出時間もそれぞれ違うので少々早く歩いたりした。トレイルは比較的平地をまーっすぐ歩いた。一番奥のモーニンググローリー・プールまで行くとふたりともだいぶへたっていた。といっても帰らなければいけないので、またてくてくと歩き始めた。 いくら疲れているからといっても30・40年連れ添って子供もようやく自立し、「ばあさんやこれから老後を楽しみましょう」という老夫婦じゃないんだから、歩きながら楽しくお話しましょうよ。私から声をかけなくなってから、1マイル(1.6キロ)いやもうすこしかな?びっくり。前に歩いている人は楽しくおしゃべりしてるのに。まぁいいけどさっ。もっと体力つけろー!なのだ。 



1999年9月24日(金)  滝を下る(The Lower Fall)

 朝起きたら、小雨が降っていた。バンクーバーを後にしてから初めての雨天。即刻延泊決定。
 午前中は久美子は睡眠、私はホームページの更新。午後になって少し晴れ間が出たので、久美子が行きたがっていたアンクルトムズトレイルへ。グランドキャニオンのロウワー滝の滝壷まではしごを下って行くと言う難所だそうだ。
 途中雨に降られながら到着。緊張しながらトレイルを下っていくがはしごはいつまでたっても現れず、鉄の階段をひらすら下るのみ。しかも滝壷まで行かず、途中で終わっていた。まあ、滝を間近で見られて良かったが。書いていることが違うぞ、地球の歩き方。
 雨が強くなってきたので、マッドボルケーノの奥を見に行く予定を中止して宿に戻る。夜はテレビで「椿三十郎」を見ながら冷凍食品を食べる。まさにTVディナー。明日はいよいよ長居したイエローストーンを後にする。

本日の走行距離   140.8キロ(計3580.4キロ)

出費          79.18$ ユース二泊分(カード)
              8.94$ 昼食(ケンタッキー、カード)
               4.6$ ガス
              6.98$ 夕食(冷凍食品、カード)
計            99.7$

宿泊      Madison Hotel&Motel



1999年9月25日(土)  さよならイエローストーン、こんにちはエリック(Meeting Eric)

 今日はイエローストーンとお別れの日。山口氏に見送られて4泊お世話になったユースを後にする。
 天気は曇り。雨こそ降りはしないが、寒いのなんの。イエローストーンの南に隣接するグランドティトン国立公園を通るが、目当のグランドティトン峰は雲に霞んでほとんど見えず。写真を撮ることもなく、ソルトレイクシティを目指す。
山を下ってきたので暖かくはなったが、横風がすごい。右に左に振られながら、斜め走りで距離を稼ぐ。
 夕方、ソルトレイクまで240キロほど残したモンテペリエという町に到着。安いモーテルを見つけチェックインすると、隣の部屋の前に青いBMWに乗った男が止った。推定身長190センチ、体重110キロのエリックという男だ。「これからメシかい?」などど、いかにも一緒に夕食を食べたげなので、こちらから誘ってディナーへ。
 話を聞くと彼はネバダ在住、今日ツーリングを始めて一日で500マイル走ってここまで来たと言う。「それはすごい距離だね」というと、彼は24時間で1500マイル((2400キロ!)走ったことがあるが、彼の友人で38時間でサンフランシスコからニューヨークまで走った奴にはかなわないと言う。だいたい80〜90マイルで巡航し、時には140マイルくらいで飛ばすこともあるという。
 43歳、トラックの整備士、バツイチのエリックは親切にも夕食をおごってくれた。ごはんの後は部屋に来いというので、ジュース持参で突入。バイクの話をしたり、アメリカの見所を教えてもらったりした。彼はガンマニアでもあり、持っていたコルトガバメントを見せてもらった。でも、私に渡す際、ちゃんと弾は抜いていた。
 話に花が咲いたが、いつ切り上げればいいか分からない。「そろそろ寝ますわ」と切り出しても、「僕は遅くなってもかまわないよ」という。遠慮なのか本心なのか分からないまま長居してしまった。明日の朝もエリックと朝食を食べる予定。リアタイヤが限界に近いので、ソルトレイクシティで探すつもりだ。

本日の走行距離   395キロ(計3975.4キロ)

出費           4.82$ ガス(カード)
              1.22$ ホットチョコレート
              3.13$ ガス(カード)
             35.26$ モーテル(カード)
              1.00$ ジュース
計           45.43$

宿泊       Budget Motel

「久美子の言わせて!」
 
旅をしているといろんな人に出会う。今日もエリックと出会った。彼はBMWのバイク乗っていてとてもいい人だった。なぜかというとディナーをおごってくれたからだ。その後、もう少し部屋で話をしようと盛り上がり、私達はエリックの部屋へ行く。(隣の部屋)
 そしてさらに話は盛り上がり(といっても私は聞いているだけ)何度か帰ろうとしたがHOW〜?HOW〜?と質問が続く。カズだけ残して帰ろうかと思った。がちょっと怪しい叔父様だったのでがんばって部屋に残った。なぜ怪しいかって、それはクレイジーフェスティバルの写真を見せてくれたからである。写真には男の人や女の人が脱ぎまくり、あらゆるものを露出しているからである。チンチ○なんてあたりまえ。あーびっくらこいた。写真を見て固まる二人だった。なのでエリックは私?それともカズ狙いかも?とよからぬ想像をしたから逃げなかったのだ。それと笑顔で見せてくれたけど本物のピストルも携帯していた。さすがアメリカン。明日もブレックファーストを一緒するのだ。明日もエリックのおごり?いい人だ。