旅の日記

モンゴル編その5(2002年8月20〜24日)

2002年8月20〜22日(火〜木) くるくる回って風邪をひく(Mongolian amusement park)

 このままダラダラしていては人間のクズになってしまう!いかんいかん!
 ということで、20日はなぜかみんなでウランバートルの遊園地に行くことになった。遊園地に行くことが果たして前向きな行動であるかはわからないが、「あづさや」にいて本ばかり読んでいるよりは少なくても健康的な気がしたのだ。

 予想していた通り、ウランバートルの遊園地はしょぼかった。まるで約20年前、閉園間際の二子玉川園のようで、サビだらけの乗り物ややる気のない係官の態度が哀愁を誘う。
 僕たちはまずジェットコースターに乗った。料金は500トゥグリグ(約55円)。車は一人乗りだから、一列になって代わりばんこに乗らなくてはならない。
 ジェットコースターの醍醐味はアップダウンのスリルだが、15メートル四方にすっぽり収まってしまうようなサイズだから、カーブを曲がるときに車がレールから外れて落ちるんじゃないか、というスリルの方が大きかった。自分で無理やり笑顔を作って「わあ、楽しいなあ」と気分を盛り上げないとやってられないのだ。

 はじめにジェットコースターを持ってきたことは失敗であった。これ以外の乗り物はことごとくクルクルと回る、「回転系」のものばかりだったのだ。
 僕たちは次に、直径25メートルほどの回転する円盤に乗って、その内壁に遠心力でへばりつくという乗り物に乗った。一昔前の日本の遊園地でも見られたヤツだ。
 僕たちは右回りに十分すぎるほど回り、約2分後、降りた僕たちは降りた気分がまったくしなかった。

 そのまま僕たちはフラつく足取りで次の回転系へ。今度は直径2メートルの筒に押し込まれ、縦にグルグルと回った。このダメージはボディーブローのように、じわじわと確実に効いた。僕はリンパ腺のあたりが酸っぱくなって、口にツバが溜まるようになった。うぐぐ・・・。

 おかげで次に乗った観覧車からの風景も霞んで見えた。コーヒーカップのように観覧車の中央にもハンドルがついており、昔はそれを回すとクルクルと回ったのだろうが、幸いにも今はサビついていて動かない。回るようなら、きっと回すバカが出ていただろう。

 みんなはその後に出口のない立体迷路(本当に出口がないらしい。結局、自分が入った入口まで戻るしかないのだ)をやったり、少年少女を押しのけて滑り台をやっていたが、僕は青い顔をして池のほとりで待っていた。
 その池の手こぎボートが傑作だった。土砂を運ぶはしけのように巨大で、底面積は4畳半ほどもある。デート中のカップルが額に汗を浮かべて一心不乱にこいでいる姿は、まるで国境の川を命がけで渡っている亡命者のようだ。

 気分は悪くなったけど、2000トゥグリグ(約220円)で半日遊べ、なかなかいい気分転換になった。
 しかし、別に遊園地が悪いんじゃないけど、僕は風邪をひいてしまった。もともとモンゴルは寒暖の差がはげしく、空気が非常に乾燥しているから粘膜が痛みやすい。おまけに今年はウランバートル近郊で山火事まで起きていて、その煙も流れて来ているという。僕は一晩でのどがやられ、続いて鼻水も止まらなくなった。

 そんなわけで、結局つづく21日と22日は宿で安静に過ごした。その間に落合信彦の「20世紀最後の真実」を読み、あれだけ旅した南米で知らなかったことがこんなにあるんだなあ、と思ってしまった。この本を先に読んでいれば、街の見方が変わっていただろうに。

 さて、みなさんは「おいオノレ、いつまでウランバートルでダラダラしとんのじゃい。さっさとウラジオストクまで走ってゴールせんかい。オノレのダラダラ日記はもう読み飽きとんのじゃ!」と目を三角にしているかもしれません。それは・・・ごもっともでございます。はい。
 しかし、僕はモンゴルでもう一花咲かせるつもりなのでございます。さて、その花とは・・・。


3日間の走行距離           0キロ(計81021キロ)

出費                   7090Tg 飲食費
     2200Tg インターネット
     200Tg トイレットペーパー
     2000Tg 遊園地
計     11490Tg(約1240円) 宿泊         あづさや
インターネット    New@COM


2002年8月23〜24日(金、土) 湖に行こう(The second tour)

 ・・・もう一回、モンゴルでツアーに行こうと思ったのだ。
 ゴビ砂漠も良かったけど、ロシアに戻る前に別の場所も見てみたい。僕はモンゴリアン板垣やチイ兄、そして最近「あづさや」にやってきて、その強烈なキャラクターで一気に台風の目となった名古屋の大学院生、進之介 なんかと一緒に「あづさや」の車をチャーターしてツアーを組むことにした。

 しかし希望する行き先、期間はみんなバラバラ。僕とチイ兄はせいぜい2泊3日あたりがいいんだけど、それだとウランバートルの西400キロの古都ハラホリン(カラコルム)周辺か、思いきりウランバートル郊外の近場になってしまう。一方、モンゴリアン板垣と進之介は4泊5日かけてモンゴル中西部の湖にガツンと行こう!と主張するのだ。
 酒を飲みながら話し合いが数回持たれたが、議論はいつも堂々めぐり。答えは永遠に出ないかと思われたが、そんなとき、「あづさや」に2人の女の子がやってきた。僕が出た大学に通うという、ショウコちゃんとサキちゃんである。

 彼女たちは湖に行きたいと言った。するとどうだろう。「よしよし、やっぱりモンゴルは湖なのだ!4泊5日なのだ!」と僕は手の平を返すように湖派に寝返り、渋るチイ兄を説得した。こうして僕たちは男の悲しき性とともに議論の収束を見たのだ。
 そんなわけで、僕たちは男女6人で8月25日から4泊5日かけて、モンゴル中西部にあるテルヒーン・ツァガーン湖(通称ホワイト・レイク)に行くことになった。

 その前日、24日はサキちゃんの21回目の誕生日だった。普段は宿でゴロゴロしている輩も(というより、俺のことなんだけど)、「ケーキだ!」「酒だ!」と大騒ぎし、ツアーの準備とともに慌しく動き回るのだった。
 さて、今回のツアーはどんなことになるのやら。


2日間の走行距離           0キロ(計81021キロ)

出費                   2000Tg 飲食費
     1200Tg インターネット
     5650Tg ツアー用の食材
     63$ 宿泊費(14泊分)
計    
8850Tg(約960円)
     63$ (約7560円) 宿泊         あづさや
インターネット    New@COM