15日には体調がマシになったので、みんなとガラタ橋へ釣りに行った。
ガラタ橋は旧市街と新市街を結ぶ、イスタンブールでも最も往来の激しい橋である。長さ500メートルの欄干には釣り人がいつも並び、今日は陽気もいいので自分の陣地を確保するのが大変だった。
椎名誠は「イスタンブールでナマズ釣り。」という本の中で、この橋から日本製の最新釣具を用いてトライしたが、その結果は芳しくなかった。それで我々はどうするかというと、橋の上に出ている露店の釣具屋さんに行き、約150円の釣り糸と仕掛けのセットを買うのである。以上、おしまい。エサも要らないのだ。
仕掛けにはハリが4つと重りがついているだけで、ウキもない。橋の上から手を伸ばし、木片に巻かれた釣り糸をほどいて10メートルほど下の海面に「ボチャン!」と仕掛けを落とす。そのまま糸が止まるまで降ろして行き、水底についたら少しだけ糸を戻す。そして楽団の指揮者のように右手を動かして仕掛けを水中で上下させるのだ。
これが昨日、みんなの先陣をきって約30匹の収穫をあげてきたごり君とまるちゃん(ちびまるこちゃんに似ているからそう呼ばれている)の、「地元のヒマなおっさん漁法」なのだ。
「エサもつけないで本当に釣れるのだろうか?」と思ったが、その5秒後、早くも愚かな小魚がハリにひっかかり、ビクビク!というアタリが指先に伝わった。やはり地元のおっさんは色々と知っているのだ!
おっさんたちは同じような仕掛けを竿につけ、多いときは一度に7匹も釣り上げている。釣れるのは長さ10センチほどの小さなアジばかりだが、それでもみんな足元に置いたバケツを一杯にしている。
こんなに釣ったら魚がいなくなっちゃうんじゃないか?と思うほどの勢いであり、そもそも、この魚に学習能力はないのだろうか?という疑問もわいてしまう。
しかし我々の心配をよそに小魚たちは釣られ続け、9人で170匹という大漁に終わった。小物でもこれだけ釣れるとけっこう楽しい。
その夜は小麦粉からうどんを打ち、昨夜のカレーライスで余ったルーからつゆをつくってカレーうどんにした。そして小魚は唐揚げにしたが、170匹なんてとうてい食べきれる量ではない。そこで我々はどうすることにしたかというと・・・
|