27日は、関西人のカオリちゃんとキョウコちゃんの最後の日だったからというわけではないが、かき揚げを作って食べた。ここでかき揚げを作るのは3回目なのに、やっぱり準備した材料が多すぎて、翌28日は同じ生地を使ってお好み焼きになった。いつも同じパターンである。
28日の早朝に2人が出発して、残る日本人はライダーの4人となった。新しい日本人が来たら、「この宿は何なんだろう?」と思うことだろう。物置には市川君のバイクも眠っているし・・・。
小梅さんと得政さんは、あと2、3日はバイクを整備をして過ごすらしい。小梅さんのXTはサビがひどいし、得政さんのXRバハはスプロケットとチェーン、ガソリンフィルターの交換が必要なのだ。
最後に交換してからまだ15000キロしか走っていないが、僕もスプロケットとチェーンを交換することにした。あと1万キロはいけそうなのだが、今ここで換えておくと日本まで交換する必要がない。予備を持ち続けるのも重いだけなので、荷物を減らす意味でもやっておくことにしたのだ。
そしたら久しぶりの作業に操作を誤り、チェーンカッターを壊してしまった。小梅さんも持っていたので助かったが、1人だったらちょっと面倒なことになっていた。やっぱりここでやっておいて正解だったのだ。
ついでにフロントのブレーキパッドも交換して、全部で一日作業になってしまった。
29日、僕はごり君に付き合ってアテネ郊外にあるハーレーダビッドソンのショップに行ってみた。彼のハーレーはアテネの手前200キロで壊れてしまい、ロードサービスのトラックに載せられてこの店に運ばれてきたのだ。
走行中にリアホイールを破損してしまい、そのまま20キロ先の町まで走りきろうとしたところ、今度はスイングアームが壊れてしまったという。予想外の大ダメージだ。
新しいホイールはアメリカからすぐに届いたが、スイングアームは一ヵ月経っても来ない。ごり君はイスタンブールから日本にバイクを送り返すつもりなので、ホイールさえ直せば壊れたスイングアームのままでもたどり着けないことはない。僕や小梅さんたちが近いうちにイスタンブールに向けて出発するので、ごり君はシビレを切らし、スイングアームが来ないのならホイールだけを直すように言いにいったのだ。
すると、店員は「実は中古のスイングアームが手元にある」と切り出した。金額は新品の半分でいいが、レシートが出せないという。僕たちの推測によると、今までそのことを言わなかったのは、それが正規に仕入れた部品ではなくチューンした客かなにかが置いていったもので、本当は売ってはいけないものだからだ(まさか盗品ではないと思う)。一ヵ月待っても来ないのを可愛そうに思い、特別に売ることにしたのだろう。
もちろんレシートがもらえないのをごり君が気にするわけがなく、話はすぐにまとまった。あと2、3日のうちに彼のスポーツスターは直るらしい。
さて、小梅さんと得政さんのカップルは僕と同様、今夏ロシアを横断して日本に帰る。
僕たちがハーレーショップに行っている間、彼らはロシアのロードマップを探しに行き、大きな本屋で西ロシアと東ロシアに分かれた詳しいものを買ってきた。一時帰国したときにも買ってきたのだが、あまり詳しくないので満足できなかったらしい。しかし見せてもらうと僕には十分だと思うので、いらなくなったその地図を安く譲ってもらうことにした。
彼らはロンリープラネットのモンゴル編も買ってきた。現在、外国人に開放されているロシア〜モンゴル間の国境は列車で通過するしかないが、近いうちに道路の方も開くそうだし、そうでなくても列車にバイクを載せてモンゴルに入国することは可能なのだ。
そんなわけで29日の夜は「得政さん特製コロッケ」を食べながら、ロシアの地図やモンゴルのガイドブックを広げ、今後の計画を話し合った。ごり君だけ近々日本に帰るつもりなのだが、僕たちの話を聞き、ちょっと揺らいできている。
僕は「ライダーならライダーらしく、日本まで走って帰ろう!」と、自分が冬の間バイクをほったらかしにしてバックパッカーになっていたのを棚に上げて説得を試みているが、はたしてごり君の運命やいかに・・・?
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