トルコは、かつてヨーロッパを震撼させたオスマン・トルコ帝国や、それ以前に盛衰した国家、文明の足跡が日本の約2倍の国土に詰まった、見応えのある国である。ていねいに見て回ったら、あっという間に一ヵ月は経ってしまうだろう。
ゆっくりしたいのはヤマヤマだが、急げばギリシャで再会できそうな人が何人かいる。早くバイク旅も再開したいし、今回は「お約束」のポイントだけを押さえてダーッと横切ることにした。
まずは何といってもカッパドキアである。アンタクヤから約300キロ北だが、直通バスがないのでカイセリという都市で乗りかえることになる。
そんなわけで午前9時発のカイセリ行きに乗る。トルコはバス網が非常に発達していて、便利に、そして快適に国内を移動できるようになっている。シートはゆったりしているし、車内はきれいだし、2時間に一回は車掌さんがお茶やコーヒー、お菓子を配ってくれる。(そしてエジプトの腐れバスのように、後から法外な金額を請求するようなことはないのだ)
カイセリは位置的にいうとちょうどトルコのヘソにあたり、まわりを山に囲まれている。そこまでの約8時間、車窓から見えるのは白樺が生えた近くの山と、雪を被った遠くの山だ。峠のドライブンで休憩したが、バスから出ると肌寒い。曇天に細かい雨が降っているせいもあるが、北上してきたことを実感した。
午後5時にカイセリに着く。目指すカッパドキア行きのバスは1時間半後にあるというので、それまでバスターミナルでスープとパンの軽食を食べて過ごした。
トルコのバスターミナルは「オトガル」という。バス網はトルコ全土をカバーしているから、直通がなくても、乗り換えを繰り返してどこまでも行ける。バスを降りると、大体、バス会社の客引きや親切な人が次の目的地までのバスまで連れていってくれるし、そうでなくても、バス会社のオフィスの前には各方面の行き先や出発時間が大きく書かれている。
「オトガル」に行けば、お手軽にトルコの旅ができるのである。(つまんねー)
結局、カッパドキアのギョレメという村に着いたのは午後8時だった。カッパドキアの拠点となる町や村はいくつかあるが、ここは中でも静かな方で、それでいてバックパッカー向けの安い宿がたくさんある。
スコットランド人が切り盛りし、ヨーロッパ人に人気があるという「ペンション・キョセ」にチェックインする。シーズン中にはなかなか泊まれないそうだが、今日は3人入れる相部屋に僕1人だけだった。
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