ここまでくればブカレストはもう目と鼻の先だ。急ぐ必要もないので、ホテルをチェックアウトした後、シナイアの町からカルパチア山脈を登るロープウェイに乗ってみた。
シーズンではないので、残念ながら頂上の2000メートル地点までは運行していなかったが、1400メートル地点からの眺めでも十分に素晴らしかった。レストハウスでチョルバ・デ・ブルタ(酸味の効いた牛の胃袋スープ)を食べながら、うっすらと色づいた山々を眺める。
冬はスキー客で賑わうらしく、シナイアの町では新しいホテルがいくつも建設中だった。あと1、2ヵ月もすれば滑れるようになるのだろう。私も、いつまでも東欧でグズグズしている場合ではないのかもしれない。
ブカレストなんて近い近い!と、余裕をかましてローカル列車に乗ったら、たっぷりと4時間もかかってしまった。列車の切符を買ってからブカレスト行きのマイクロバスがあることを発見、そっちの方がはるかに速かったろう。
夜7時半、オレンジ色の電燈で照らされたブカレスト北駅に到着。とりあえずは宿の確保と、村上さんがメーラ村に来る前にお世話になっていた海外青年協力隊で看護婦として来ている大西さんのアパートに行ってみたが、連絡の行き違いで彼女は旅行中だった。
よって今晩は隣の部屋に住む、やはり看護婦の桜井さんの部屋に泊まることになった。いきなりお邪魔した上にワインを2本半、各種おつまみや海苔つきのおにぎりまでご馳走になり、すっかり良い気分でブカレストの一晩目を過ごした。
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