6日、ごり君がクロアチアに向けて出発してしまった。愛を誓いあった、私を置いて。
「ごり君!土日は国境が閉まっているぞ!そしていつ何時、アメリカがクロアチアを空爆するかもしれん!」(ウソ八百の、引き止め工作」
「冗談じゃないッス。俺はもう、ここを出るッス。今度はトルコで会いましょう」
ごり君は以前、ここで1ヶ月も沈没していたことがあるのだ。いいかげん出発したいと思うのも、無理はない。
ハーレー・スポーツスター1200につけたスーパートラップ管を轟かせ、彼は走り去っていった。・・・ごり君、また会おう。
午後は鉄道のターミナル駅、「西駅」に隣接された「シティーセンター」 というショッピングモールに行ってみた。ブダペストでも最大級のモールで、ガラリ張りのモダンなビルには無数のブティックやらレストランやらが詰まっている。土曜日ということもあって、若者で溢れかえっていた。
そしてその帰り、「世界一美しい」と噂されるマクドナルドを発見した。古いレンガづくりの西駅の一角で、あの黄色い「M」マークが無ければ、その重厚な外観からはとてもマクドナルドとは思えない。
美しいのは外観ばかりでない。一歩足を踏み入れれば、そこはまるでベルサイユ。天井は高く、大きな窓から射し込む秋のやさしい陽射しが宮殿風の店内を包んでいた。そこらへんの客席で、モーツァルトとマリーアントワネット
がビックマックをほおばりながら「オホホ」と笑っていても、なんの違和感もないような空間である。
そしてマリーアントワネットは言うのだろう。「パンが無いなら、ポテトを食べなさい!」(これ、わかります?)
しかし、美しさと快適さは必ずしも同居しない。やさしい秋の陽射しは良いが、空調が悪いために店内は蒸し暑い。コーヒーを飲みながら貴族ごっこでもしようと思ったが、そのために汗をかくほどでもないので、写真を撮っただけで退散した。
結局、宿の近くのごくフツーのマクドナルドに入った。貴族の気分は味わえないが、ホットチョコレートを飲みながら村上春樹の「国境の南 太陽の西」を読んだ。この前は「ノルウェイの森」を読んだし、最近、春樹づいているのだ。
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