旅の日記

ハンガリー編その3(2001年10月1〜5日)

2001年10月1日(月) 2重攻撃だった!!(Another Virus!!)

 今日、スズキDF200に乗った市川君がテレザハウスにやってきた。彼はオーストラリアを回ったあと、アジア横断をしようとフランスにバイクを送り、ここまで走ってきたのだ。
 「あのー、やっぱり今の状況でアジア横断、ムリっすかねえ」(市川君)
 「・・・ムリじゃない?」(テレザハウスのみんな)
 というわけで、例のテロ事件のおかげで行き場を失ったライダーが、ここに3人集結!

 さて、パソコンのシステムを入れ直したのは良いが、パソコンを買った98年末の状態に戻ってしまったので、必要なソフトをインストールしなおさなければならない。
 必要最低限のソフトはCD−Rに焼いてあるし、電子メールやデジタル写真のバックアップもとってあるので、大きな被害は無い。それらを入れ直して、インターネット屋に向かった。

 まずはウィルスに感染したことをホームページ上で知らせ、私から不審なメールが来た場合は削除するよう、連絡が取れる人にはメールを送った。すでに数人から「青山さんからメールが来ましたが、文字化けして読めません」というメールをいただいたのだ。それはウィルスが勝手に送ったメールなのよ!
 システム入れ直しでインターネットエクスプローラーのバージョンが4.0に戻ってしまったので、マイクロソフトのサイトから最新の6.0をダウンロードする。そして念のため、トレンドマイクロ社のホームページから「ウィスルバスター2001」の体験版をダウンロードし、機能させるためにパソコンを再起動すると・・・

「ウィルスTROJ_SIRCAM.Aを検出しました。駆除不能なので、隔離します」

 ・・・・頭が真っ白になった。頭脳のホワイトアウトである。
 システムを入れ直したばかりで、なんでもうウィルスがいるの?しかもニムダじゃなくてTROJ_SIRCAM.Aって?
 早速インターネットで調べると、ニムダとは全く別のウィルスだが、やはり日本で猛威を振るっているウィルスらしい。しかし、システムを入れ直したばかりで何で感染しなくちゃならないのだ?メールも受信していないし、見たサイトはマイクロソフトとトレンドマイクロのだけだぞ。
 「ニムダ」と「TROJ_SIRCAM.A」のダブル・アタック。例えが悪いが、自分のパソコンに旅客機が2機突っ込んだような気分だ。

 とりあえず、それ以上インターネットをやってもウィルスつきのメールを勝手にばらまくだけなので、宿に帰った。本来なら宿でパソコンと向き合って対策を練りたいのだが、テレザハウスには清掃のための「魔のロックアウト」があり、午後1時から5時までは外出しなければならないのだ。

 午後に歯医者の予約があったが、歯をいじられても、美人の歯医者さんと話をしても、パソコンのことが頭を離れない。
 旅行代理店の看板の前で足が止まった。成田往復の航空券、約64000円・・・ブダペストは航空券が安いことでも有名なのだ。
 いっそのこと日本に帰ろうか?ウィルスに対応するには、海外モバイラーは不利すぎる。情報をインターネットや電子メールに頼らなければならないのに、そのパソコンが使えないのだ。
 ・・・しかし、これしきのことで日本に帰るわけにはいかない。何とかここで解決しなければ。

 悪いことは重なるもので、今日はポジフィルムを入れて景色を撮っている35ミリカメラ、コニカのビッグミニも壊れた。フィルムの巻き上げができなくなったのだ。俺はカメラ運がつくづく無いなあ。

 夜はごり君が日本で買ってきたルーで、カレーパーティとなった。市販のルーだが、さすがに料理人の村上さんがつくると全然違う。じっくり寝かせたような深い味になった。
 しかしカレーを食べても、悩み多き年頃の私。・・・どうしよう?


本日の走行距離           0キロ(計66129.3キロ)

出費                 1130Ft   インターネット
     380Ft 昼食(中華)
     27950Ft 歯医者(さし歯)
     200Ft 地下鉄
     900Ft ビール
計     30560Ft
(約13100円) 宿泊         テレザハウス
インターネット    Cyber Bridge Internet cafe


2001年10月2〜3日(火、水) パソコン復活!(Winning a battle against the viruses)

 2日朝、昨日と同じ手順でシステムを再インストールし、必要なソフトを入れ、インターネット屋にいった。そして同じようにマイクロソフトのサイトからインターネットエクスプローラー6.0を、トレンドマイクロのサイトから「ウィルスバスター2001体験版」をダウンロード、そして再起動。
 しかし、やはり「TROJ_SIRCAM.Aを検出しました」とメッセージがでる。いったいどの段階でウィルスが入り込むのだろうか?

 その日の午後は、ごり君と温泉にいった。
 バックパッカー界でいうブダペスト3大名物といえば、安い歯医者と航空券と、そしてホモ温泉。ハンガリーには温泉が多いのだが、時によって同性愛者の社交場と化し、それはそれは、とてもHPでは書けないような光景が繰り広げられるばかりか、小柄で肌のきれいな日本人男性諸氏は誘われることが多々あるという。
 だが、それは特定の温泉の特定の曜日で、通常はノンケも安心して入れる。今日行ったのはルダシュというところで、そんな危険は全くない。ちなみに一番危険なのは金曜日のキラーイ温泉らしい。

 16世紀に建てられたというこの温泉は、ドーム状の天井から射し込むわずかな日光だけで照らされた、うすぐらい空間だった。
 入り口で配られるふんどしを腰に巻き、ややぬるい湯に浸かりながら、また色々と考える。何がいけないのだろう?

 よし、こんな時はあの人に電話しよう。風呂からあがって早速テレホンカードを買い、日本に電話してみると・・・

「・・・はい、ウメハラでございます」(誰だ?このウメさんの名を語る、すました声の男は。こんなヤツ、ウメさんではない!)
「あ、ウメさん?俺、青山」(一応、言ってみる)
「ああ、青山さん?ウィルスに感染しちゃったんだって?」 (あいかわらず、酒飲んで「ウシシ」と笑うウメさんの声には、とても聞こえない)

 しかし、話をしてみるとまぎれもなく本人だった。電話で声も変わるものよのう。
 ウメさんに症状を説明し、インターネットで調べてもらうことにした。そして1時間後、ふたたび電話をしてみると、あの手順ではウィルスがネット経由で入り込む余地はなく、入るとすれば、それはその前の段階だろうという。
 「青山さん、システムを入れなおしたあと、何かソフト、入れていない?」
 ・・・あー!そういえば、CD-Rに焼いた「ニムダ」の発見/駆除ソフトを入れている!あのCD-Rは「ニムダ」を駆除した直後に焼いたもので、その時すでに「TROJ_SIRCAM.A」が潜んでいたとすれば、ソフトと同時にウィルスも焼きつかれた可能性がある。そして当然、そのCD-Rからソフトをインストールすれば、ウィルスもくっついてくるではないか!

 ということは、私は9月27日、ネット接続した1、2時間のうちに「ニムダ」と「TROJ_SIRCAM.A」の2種類のウィルスに同時に感染したことになる。そんな偶然ってあるのか!?
 私は添付ファイルのついたメールも受信していないし、特に新しいホームページを見たわけでもない。インターネット屋の他のパソコンも、問題無くその後も機能しているようなので、ネットワーク経由というのも考えにくい。果たして、どういうルートで感染したのだろうか?

 ウメさんには私のホームページのウィルスチェックもお願いした。そして判定は「シロ」、ホッとした。ホームページまで汚染されていたら厄介だからだ。

 全然関係ないが、その夜、ごり君は隣の狩野さんと全く同じ姿勢で寝ていた。日本で5キロ太ってパワーアップした分、いびきもパワーアップ。まるでジャングルに轟くゴリラの遠吠だ。
 それを聞いていた某ともみちゃん曰く、「これ、わざとじゃないですよね?」

 翌3日、システムを入れ直し、今度は例のCD-Rからソフトをインストールせずにインターネット屋へ。そしてインターネットエクスプローラー6.0とウィルスバスター2001体験版を再度ダウンロード。
 すると、今度はウィルスバスターもウィルスを検出しない。念のため全システムにスキャンをかけるが、やはり「シロ」と判定が出た。やっぱりあのCD-Rが汚染されていたのだ!

 ・・・闘いは終わった。1週間に渡ったウィルス騒動、ここに終結。
 しかし、完全に元の状態に戻ったわけではない。ここ一ヶ月の写真やメールはあの汚染されたCD-Rの中で、それを使うことはできない。その対処方法は日本に帰ってから考えよう。

 そして、インターネットエクスプローラー6.0にくっついてきたアウトルックエクスプレス6がうまく動かない。ホットメールアカウントからのメッセージをダウンロードしようとするとエラーが出て中止されるし、「メッセージの削除」さえもエラーで中止される。ほんと、訳わからん。
 ダウンロードしなおしても一緒だし、いっそのことバージョンを5に戻そうとしても、「最新のバージョンが入っているので、バージョン5はダウンロードできません」と断られてしまった。
 マイクロソフトのオンラインサービスもまだバージョン6には対応していなく、今回の「ニムダ」騒ぎで見切りリリースをしたかのような不完全さを感じる。今後、改善されることを切に願う。
 (大体、マイクロソフトは欠陥商品を見切り販売/リリースする傾向がある。そして、問題が起きたときの言い訳だけは得意だ)

 月曜日に壊れたコンパクトカメラは、修理をしてくれるというカメラ屋がみつかったので預けることにした。もともと保証期間も過ぎているし、ここハンガリーで直ればめっけもんだ。


2日間の走行距離          0キロ(計66129.3キロ)

出費                 3235Ft   インターネット
     3568Ft 飲食費
     900Ft 温泉
     1000Ft ポジフィルム現像費
     800Ft テレホンカード
計     9503Ft
(約4070円) 宿泊         テレザハウス
インターネット    Cyber Bridge Internet cafe


2001年10月4〜5日(木、金) ニュー前歯をゲット!(A new teeth)

 4日、新しい前歯が完成した。日本じゃ保険の効かないセラミック製のピカピカのさし歯で、費用は合計で約15000円。美人の先生は何度も噛み合わせをチェックしてくれ、不具合を直してくれた。これでブダペストでの目的を一つ、果たしたことになる。

 その午後、ごり君とラーメン屋「ももたろうラーメン」に行ってみた。日本人経営のラーメン屋と思いきや、台湾系の店で、ラーメンも白湯のさっぱりした中華麺だった。日本のラーメンではないが、とても美味い。そして前歯があるから食べやすい。今までは麺を食べると歯の無いところに麺が逃げて、非常に食べにくかったのだ。

 その後もごり君とできたばかりの大型ショッピングセンターへ行き、ウインドーショッピングを楽しんだ。よく晴れた午後、ノリノリのデート気分だった。
 夜は必死に日記打ち。パソコンが使えなかった間、日記がたまりにたまっていたのだ。

 5日はごり君、市川君と別の台湾料理屋でビビンバを食べてから、英雄広場の近くのセーチェニ温泉に行ってみた。
 ここも同性愛者とは縁のない、ノーマルな温泉。というより、屋内の浴槽と屋外の温水プールの両方があるのだが、いずれも水着着用の男女混浴。温泉というより健康ランドに近い。

 内部へのカメラ持ちこみが禁止なのが残念だが、宮殿のような重厚なつくりの建物の中央には大きな中庭があり、そこには大小の温水プールがあった。のぼせない程度の水温なので、青空の下、のんびりと浸かることができる。
 プールの真中には直径10メートルほどの丸い壁で囲まれた部分があり、これは何じゃい?と思っていると、壁の内側に設けられたノズルから一定方向に水が噴き出し、壁に囲まれた円の部分の水がグルグル回りはじめた。ちょっとした「流れるプール」、ハンガリーの人たちと一緒に「あーれー」と流れに身を任せると、とても楽しかった。
 屋内の浴槽や数種類のサウナも楽しみ、2時間ほどで出た。ここは時間制で、2時間を超えると追加料金がかかるのだ。

 そして今日、コニカ・ビッグミニの修理が無事に終わった。ちょっとしたモーターの不具合だったみたいだ。しかし、時によってフィルムの表面にひっかき傷のようなものが残るのは、改善されないまま。どこかがフィルムに触れているのだろう。これは以前から続いている問題なのだ。


2日間の走行距離          0キロ(計66129.3キロ)

出費                  490Ft   インターネット
     4562Ft 飲食費
     300Ft 地下鉄、トロリー
     6400Ft カメラ修理代
計     11752Ft
(約5040円) 宿泊         テレザハウス
インターネット    Cyber Bridge Internet cafe