ハラ家は快適だが、いつまでも新生児のいるお宅におじゃまする訳にもいかない。20日の午後、マルコたちに見送られて出発、ヘルシンキの港を目指す。
フィンランドと、次に走ることになるバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の間にはバルト海がある。これをフェリーで越えるわけだが、昨日調べたところ意外に本数が多く、所要時間も高速艇だと1時間40分。適当な時間に港に着き、適当な便に乗った。
フェリーを降りると、そこはエストニアの首都タリン。
EU諸国内はほとんどフリーパスだったため、パスポートやバイクの書類を提示して入国するのが久しぶりに感じる。イタリアで買った私のグリーンカードは東欧諸国は対象外なため、バルト3国ではいちいち短期間の自動車保険を買わねばならない。しかもエストニアの保険の最低日数は15日・・・そんなにいらないから、もっと安くしてよ。
さて、タリンはバルト3国の首都の中でも美しいとされるが、フィンランド側は快晴だったのに、着いたとたん雨が降ってきた。最近の私は本当に雨に祟られている。
雨の中、宿を探して都会をウロウロしたくはない。タリンに興味がないわけでもないが・・・カッパを着て、そのまま南下することにした。
雨足が強まる中、タリンから130キロ下ったParnuという町に着いた。国道沿いにキャンプ場の標識があったので行って見ると、4人用の暖房つきコテージが130クルーン(約900円)。迷わずチェックインし、びしょ濡れになった衣服をコテージ中に広げて乾かす。
夜はキャンプ場の売店で買った安いウオッカを飲みながら、スカンジナビアの写真を整理した。北欧は素晴らしかったが、物価の安いバルト3国まで下るとやはりホッとする。
翌21日、50キロほど南下して次国ラトビアとの国境に着く。ラトビアの保険の最低日数も15日、しかも8.3ラティ(約1600円)とバカ高い。しかし買わないと入国できないので、仕方なく払った。
さらに200キロほど南下して首都リガに着いた。人口80万人、バルト3国の中でも一番の都市である。その分、風情で他の2首都に劣ると言われるが、インフォメーションセンター周辺の旧市街はなかなか良かった。なんのイベントかは知らないが、広場では民族衣装に身を包んだ少女たちが合唱していた。
インフォメーションセンターで教えてもらったキャンプ場に行くが、なぜか閉まっている。旧市街に戻って安ホテルが集まる鉄道駅周辺を走ってみるが、バイクが停められそうな宿はまるでない。仕方なく、リガも通過する事に。
でも「仕方なく」という表現は間違っているかもしれない。なぜなら、本当にその場所が見たいのなら、もっと徹底的に泊まる場所を探すはずだから。・・・バルト3国に対してあまり興味がないというのが、これでバレてしまうだろう。
次のリトアニアまで向かう途中にキャンプ場でもあるかと思っていたが、何もないまま、国境に到着してしまう。今日2回目の国境越え、リトアニアの保険は最低日数が3日で、料金も10リタス(約300円)と良心的だった。
時刻は午後7時、そろそろ宿を確保したいが、国境にあったホテルは30ドルと高い。すると一人のお兄さんが話しかけてきて、この先のPasvalys(パスバリス)という村にもっと安いホテルがあると教えてくれた・・・このお兄さんの一言が、私の運命を変えることになる。
国境から30キロほど走って、何にもない田舎の村、パスバリスに到着。おまわりさんを捕まえてホテルの場所を聞いたら、そこまで案内してくれたばかりか、ホテルにバイクが置けないので警察署に停めることを許可してくれた。
ホテルは一泊10ドル、何の変哲もないビジネスホテル調の古い部屋。しかしここに泊まったことが、さらなる旅の発展へと繋がったのだ・・・。
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