旅の日記

スペイン・マドリッド編(2001年5月13〜16日)

2001年5月13日(日) さらば南米(Leaving South America)

 今日は南米を発つ日。南米に入ったのが昨年の5月4日だから、丸一年いたことになる。南米に入る前も中米に約半年いるので、いわゆるラテン・アメリカには一年半もいたことになるのだ。(ま、途中2回日本に帰って合計で2ヵ月半横浜で過ごしているけど)
 うーん、色んなことがありすぎて、思い出は東京ドーム数杯分。今はヨーロッパに向けてかなり前向きになっているので悲しくはないが、やっぱりいざ去るとなると淋しい。

 朝9時ごろ、安部さんらに見送られて汐見荘を出発。ビーニャのバスターミナルからバスでサンチャゴに向かい、市内に入る手前で降ろしてもらって空港行きのバスに乗りかえる。空港についたのは11時過ぎ、着いて間もなくビーニャからの直行バス(ラン・チリ利用の客しか乗れない)で来た中西夫妻と再会する。彼らも今日、サンチャゴからイースター島へと飛ぶのだ。
 昼食を一緒に食べながら、中西夫妻の今後のライフプランを聞いた。プライベートなことなのでここで書く訳にはいかないが、すばらしい計画だった。ううーん、ちゃんと考えているなあ。俺も帰ってからのことをそろそろ考えないと・・・。

 私のフライト時間の方が早いので、夫妻に見送られてゲートに向かう。そして午後2時半、ヴァリグ航空機でサンチャゴを飛び立つ。「さらば南米・・・」と窓の外を見ながら数々のエピソードを思い起こすが、たいへんなことに気がついた。私はこれからブラジルのサンパウロで飛行機を乗り換えるのだ。ブラジルだって立派な南米じゃん。南米とのお別れは、まだ数時間先だ。

 昨夜あまり寝ていないので、サンパウロまでの3時間ちょっとは寝通しだった。午後7時すぎ、荒い着陸のショックで目が覚める。すでにサンパウロは暗かった。スペイン行きの次のフライトまで3時間以上あったが、空港で一緒にバイクを送った武田さんと無事に再会できたので、話しているうちにすぐに時間は過ぎた。
 そして午後10時45分、定刻通りマドリッド行きヴァリグ8714便は飛び立った。窓から見えるサンパウロの夜景がきれいだった。今度こそ、南米よさようなら。そして色んな思い出をありがとう。


本日の走行距離             0キロ(計39770キロ)

出費                  2500P   サンチャゴ行きバス
   1000P  空港行きバス
   1600P  昼食(定食)
   1$ サンパウロの空港でビール
計       5100P(約1020
        1$(約120
宿泊         飛行機の中


2001年5月14日(月) ヨーロッパ上陸(Entering Europe)

 スペインまでのフライト時間は約10時間。けっこう眠れたので、空の旅は短く感じられた。スペイン時間で午後2時、マドリッドの国際空港に到着。
 入国審査はまったく問題なし。片道の航空券しかなかったので、問題になればバイクの書類を出そうと用意していたのだが、その必要はなかった。
 空港のインフォーメーションセンターで聞いたら貨物ターミナルまで歩いていけるというので、重い荷物を背負ったまま行って見る。バイクが届いているかどうか見てみるためだ。しかしスイスカーゴの事務所は思ったよりも遠く、しかもようやくたどり着いて聞いて見ると、バイクはマドリッドどころかまだサンチャゴすら出ていないという。なんじゃそりゃ、全然話が違うじゃん!というわけでマドリッド事務所のお姉ちゃんに、至急サンチャゴで何が起きているのかを調べてもらうようお願いする。結果はあとで電話をして聞くことにした。

 さて、空港からマドリッド市内に地下鉄で向かう。緊張する。なっていっても今、西ヨーロッパで一番治安が悪いのがマドリッドだ。ボリビアのおハコ、首締め強盗がマドリッドでも大ブレイク中らしく、あっちでキュ!こっちでキュ!と、日本人旅行者たちが続々と締められているらしい。ヨーロッパから抜けてきた旅行者によると、マドリッドの日本大使館には毎日、パスポート再発行の手続きにくる旅行者たちが列をなしているという・・・。噂というのは得てして話が大きくなるものだが、少なくてもチリよりははるかに危険だろう。高級別荘地のビーニャ・デル・マルですっかり緊張感のない生活をしていたので、地下鉄の車内では気を引き締める。

 無事、マドリッドの一大中心地、そして安宿の集まるソル駅に到着する。空は雲に覆われ、雨が降っていた。地球の歩き方で目星をつけていた宿に行ってみるが、どこも満室。5月中旬でもうハイシーズンなのか?
 1軒だけ空きがあった宿に武田さんとチェックインするが、宿の夫婦は神経質で、シャワーは別料金、しかも15分間だけという厳しいルールつきだった。ま、泊まれるだけいいか。しかしこの宿も含め、ここらの安宿にはバイクをおける場所なんてない。バイクが来たらどうしよう?

 宿には、もう一年もヨーロッパを旅しているという中年の邦人カップルがいた。彼らによると今日明日、ここらは「サン・イシドロ祭」というので盛りあがるらしい。なるほど、それで宿が混んでいるのか。そして宿の近くのマヨール広場に行くと、特設ステージが組まれていて音楽や劇が上演されていた。集まった人たちの中には民族衣装を着た人たちもいて、可愛かった。
 そうこうしているうちにスイスカーゴに電話するのが遅くなり、すでに事務所は閉まっていた。明日は祭りの当日で休日だというし、結果は明後日にならないとわからない。まあ、いずれにしてもバイクはすぐ届きそうにないし(サンチャゴを出てから丸6日はかかるはず)、じたばたしても仕方がない。じっと待つべし。

 宿の近くのインターネット屋でVAIOのLAN接続を試みるが、店の兄ちゃんと私の苦労も空しく、うまくいかなかった。プロクシもないし、設定的には間違いないはずなのだが・・・。まあ、兄ちゃんはグローバルIMEのCDを持ってきてインストールしてもOKだというし、それでもいいか・・・。


本日の走行距離             0キロ(計39770キロ)

出費                   145P   地下鉄
   500P  テレホンカード
   750P  昼食(目玉焼き&ビール)
   900P  食料など買物
   200P  インターネット
計       2495P(1ドル=約180ペセタ、約1670
宿泊         Maria del Mar
インターネット    Plaza Mayor Com


2001年5月15日(火) バールにはまる(The bars of Spain)

 昨日判明したとおり、今日は休日なので何もできず。スイスカーゴもやっていないし、商店も軒並み休みだし、美術館もやってはいるものの、タダではないし(日曜日はタダなのに)、午後2時半に閉まると言うので今日行ってはもったいない。結局、昼間は宿で寝ていた。時差ぼけがまだ直らないのだ。

 夜8時(といってもまだまだ明るいが)に宿で出会った中年カップルに、行きつけだという近くのバール(バー)に連れていってもらう。中世のお城のような重厚な内装のそのバーの名物は、マッシュルームのバター焼きだった。にんにくが効いて、小さなハムものっていて美味い。スペインのオヤジたちは、立ち飲みのカウンターでこういう肴をつまみながらビールを傾けるのだ。まわりを見ても、長居する客はいない。フラっと来て、なじみの店主にヨッ!と挨拶し、マッシュルーム一皿にビールを一杯ひっかけて、また夜の街に消えて行くのだ。スマートである。 結局、生ハムやソーセージまで味わった我々が一番長居していた。
 宿に戻ると、今度は中年カップルの部屋で飲み直し。昨日会ったばかりだが彼らは明日、日本に帰るので今夜がお別れ会だ。とてもいい人たちなのでここで紹介したいのだが、いろいろと事情があるので控えさせていただく。別にそんなに深い理由じゃないけどね。


本日の走行距離             0キロ(計39770キロ)

出費                   575P   昼食(バーガーキング)
   200P  シャワー
計       775P(約520
宿泊         Maria del Mar


2001年5月16日(水) 山本大介さんに会う(Meeting another rider)

 さて、今日は平日なのでいろいろと動こう。
 まずは宿で電話帳を借りて調べものをしようとしたら、なんとDR650Rで世界一周中の山本大介さんがチェックインするところだった。彼も北〜南米と縦断し、ブラジルから先日、スペインに飛んできたのだ。彼はユースホステルに宿泊していたのだが、あまり条件が良くないのと連泊が3日までしかできないので、我々の宿に移ってきたのだ。いや〜、お噂は聞いておりましたが、こんなところでバッタリ出会えるとは。これで、この宿にオートバイ世界一周を(一応)志すライダーが3人集結したことになる。

 とりあえず山本さんと別れ、武田さんと街に出る。まずは公衆電話からスイスカーゴに電話してみると、なんとバイクはもうスイスのチューリッヒに着いており、陸路で向かっている途中だという。なんじゃ、もうすぐ着くじゃん。よかったよかった、と同時にいきなり慌しくなった。
 次に自動車保険を専門に扱っているという保険会社(というより、自賠責保険なので公の機関らしいが)に行くが、この4月から受け付けは全て電話で行っているらしく、守衛さんは頑として誰にも会わせてくれない。スペイン語の電話だとうまく話せないんだよなあ・・・仕方なく電話してみるが、本日の営業は終了していた。
 そこで、次に武田さんのバイクの部品を買いに行ったハーレーダビッドソン・マドリッド支店の店員に、明日の朝、代わりに電話してもらうようお願いする。これで何とかなるだろう。

 マドリッドの食費は高いので、夜は山本さんも一緒に3人で自炊。武田さんが今朝日本に帰った中年カップルからガスコンロを借りたので、部屋で食事を作る事が可能になったのだ(私のガソリンコンロはバイクと一緒に送ってあるのだ)。神経質な宿の夫婦に見つかったら怒られるだろうが・・・。


本日の走行距離             0キロ(計39770キロ)

出費                   760P   地下鉄回数券10枚
   500P  昼食(バーガーキング)
   300P  インターネット
   500P  夕食(野菜、ガスボンベ代)
計       2060P(約1370
宿泊         Maria del Mar
インターネット    Plaza Mayor Com