旅の日記

チリ・ビーニャデルマル編その7(2001年4月30日〜5月6日)

2001年4月30日(月) サンチャゴに日帰り(A day ride to Santiago)

 日本から送ってもらっているパソコンはまだ届かないが、そろそろヨーロッパに渡る準備も本格的に始めなくては。というわけで、本日はハーレーの武田さんと2人でサンチャゴへ出かけた。武田さんもこの後ヨーロッパに渡る予定なので、どうせなら一緒にバイクを送ろうということになったのだ。天気もよく、ちょっとしたツーリング気分でサンチャゴまでのハイウェイを飛ばす。

 まず向かった先は、サンチャゴ市内のちょっと手前にある国際空港。そのカーゴ(貨物)専用ターミナルにあるスイスカーゴのオフィスに行き、バイク空輸のダンドリをつけるためだ。
 オフィスは分かりにくいと電話では言われていたが、ターミナルに入ってすぐにみつかった。電話で相談していたのはカルロスという(おそらく)チリ人だが、今日はあいにくと休みで、かわりにその上司のマティアスという白人が対応してくれた。オフィスの一番奥、唯一ある個室に座る彼はこのオフィスで一番偉いのだろう。きっと、スイス本国から派遣された責任者なんだろうなあ。 彼と直接話ができたことが、我々に幸いした。権限ある彼がOKと言ってくれれば、オフィスのほかの誰が何と言おうとOKなのである。

 一時帰国する前にカルロスと電話で話したときには、ヨーロッパの主要都市までバイク一台(実重量300キロまで)、運賃が一定料金670ドル、燃料代1キロあたり10セント、危険物手当て50ドル、手数料30ドルとのことだった。最終目的地はスペインが希望だったのだが、経由地となるスイスとスペインとを結ぶ貨物飛行機が小型でバイクが積めないから、スイスまで送ってそこから自走してスペインまで行こうと考えていた。
 しかし、先日クリスから聞いた話では、スイスカーゴもバイクなどの危険物をチリ国外に持ち出せなくなり、唯一それができるラン・チリ機でアルゼンチンのブエノスアイレスまで運び、そこで飛行機を乗りかえる必要が出てきたという。飛行機を乗り換えるので、バイクを木製のパレットに載せて厳重に梱包しなければならない。その手間と費用が余計にかかるようになったというのだ。その話をきいたとき、だったらブエノスアイレスまで自走して、そこから飛行機に積んだ方が安いのでは、と思ってブエノスアイレスのスイスカーゴのオフィスに電話してみたのだが、提示された金額はチリからの料金より高かった・・・。

 ところがマティアスは、確かにブエノスアイレスまでラン・チリを使わねばならなくなったが、カルロスの提示した金額のまま、木製のパレットも梱包もすべて面倒みてくれるという。さらにさらに!スイスのチューリッヒからスペインのマドリッドまで、トラックで輸送してくれるという。その分の追加料金も一切なしだ。
 おお!なんという好条件。私と武田さんの頭の中で、マティアスコールが沸きあがった。さっそく来週、火曜日の便で発送する予約をし、その前日の月曜日にバイクを預ける約束をしてオフィスを後にする。すんなり決まって本当に良かった。

 バイク空輸のダンドリがついたあとは、我々のチケットだ。武田さんはこのままサンチャゴに留まるというので、バイクが停められる宿にチェックインし、地下鉄で学生専門の旅行会社に行く。不正取得の学生証を提示し、マドリッドまでの一番安い片道チケットの学生料金を教えてもらうと440ドルだという。悪くない。航空会社名を聞くと、私にとっては憎きヴァリグ・ブラジル航空(私はサンパウロ〜日本の往復マイレージ、23000マイルを反故にされた)だった。
  つまりサンパウロでトランジットなのだが、そこで武田さんの目が輝く。ブラジルに行ったことのない武田さんは、これでサンパウロ観光もできて一石二鳥なのだ。しかもストップオーバーの追加料金は無し。私もサンパウロに寄ろうかと一瞬考えたが、わずか数日のためにブラジルのビザを取得するのが面倒なので、やめて直接サンチャゴからマドリッドに飛ぶことにした。
 飛行機はけっこう混んでいて、取れた予約は5月13日サンチャゴ発、14日マドリッド着だった。武田さんは8日にサンチャゴを出て、サンパウロに着く。そこから彼も13日にマドリッドに飛ぶので、サンパウロ〜マドリッド間は同じ飛行機になる。その機内で再会できるわけだ。

 無事、航空チケットも買った我々はすっかりヨーロッパに向けて興奮気味。いよいよ旅の次のステップが見えてきたぞ!
 マクドナルドで軽く食事をした後、武田さんと別れて一人でビーニャデルマルに戻る。武田さんはこの後、サンチャゴでブラジルのビザを取得しなければならない。次に会うのは来週の月曜、スイスカーゴにバイクを預ける時だ。


本日の走行距離       256.9キロ(計39654.9キロ)

出費                  8700P   ガソリン
   1500P  有料道路
   1550P  昼食(ラザニア)
    540P  地下鉄
   850P  マクドナルド
   2210P  ワイン
   700P  夕食(コロッケ)
   440$  マドリッドへの航空券
計       16050P(約3210
       440$(約52800
宿泊         汐見荘


2001年5月1〜3日(火〜木) 税関問題勃発(Trouble at the customs)

 壊れてしまったノートパソコンNV5000用の純正CD-ROM、フロッピードライブと、前に使っていたソニーVAIOがなかなか届かない。日本を先週の月曜日に出たのに、まだ音沙汰がないのだ。1日はメーデーでチリは休日。届くはずもないし、問い合わせてもオフィスが休みだろう。汐見荘名物、32巻全て揃っている漫画「沈黙の艦隊」を読んで過ごす。汐見荘と言えば「沈黙の艦隊」、手を出せばすべて読破しないうちには出られない宿命を背負うのだ。ちなみに「不敵な純子」「やわ肌雀士」「独身アパートどくだみ荘」という古い漫画もあり、これらも超オススメである。
 夕食はイカ飯だった。うまい。このごろずっと中西夫妻がみんなの夕食をつくってくれる。感謝感激、雨あられ。私にできるのは皿を洗うこととビールを買ってくること、そしてプリンをつくることくらい・・・。

 2日の朝、日系の国際宅急便業者OCSのサンチャゴ支店から待望の電話がくる。しかしバッドニュース。南米など高い関税率の国に電気製品を送る際は、その商品の価格を低く申告するのが常識なのだが、今回はドライブとパソコンで250ドルとあまりに安く申告したために、税関で「そりゃいくらなんでも無いだろう」とひっかかってしまったというのだ。税関は「ちゃんとした金額」を記入したインヴォイス(明細書)を、日本側で再度作って送ってもらうよう要求しているという。これらは先週のことなのだが、伝票に書いてあった汐見荘の電話番号の文字が薄くて識別できなく、連絡が今日まで遅れたというのだ。
 何てこった!明細書を作りなおして送ってもらうと言っても、日本は今、ゴールデンウィークのまっただなか。動きはじめるのは来週からだ。それから明細書が届いて税関を通すとなると、5月13日のマドリッド行きのフライトに間に合いそうも無い。せっかく決まった予定が早くも変更か?440ドルの格安チケットじゃ、予約の変更もままならないだろう・・・。
 とにかく事情を説明し、OCSのスタッフに再度税関とかけあってもらうようお願いする。もしそれでもだめなら私が直接税関に赴き、旅行者であることと13日のマドリッド行きのチケットを見せてもいい。パソコンを受け取らないうちにはチリを出られないのだ。

 3日、OCSに電話してみると、パソコンは無事に税関を通過したとのこと。ホッとする。なんでも税関の職員と親しい担当者が行って、クドき落としてくれたらしい。いや〜良かった。一時はどうなるかと思ったぜ。ただチリ側の費用も発送主持ちかどうか指示がなく、その確認が取れるまで荷物は渡せないという。どうせ来週の月曜日にバイクを預けにサンチャゴに行くから、その足でOCSのオフィスまで取りに行く事を約束する。なに、ここまで来れば13日までに受け取れるだけでも良かったとしておこう。
  夜、麻雀をしたら、ハイテイでカンチャンを「ヌッポリ」ツモってアガった。今日はツイている。


3日間の走行距離            0キロ(計39654.9キロ)

出費                  3860P   飲食費
   2350P  インターネット
   1080P  コレクティーボ
   1500P  電話代
   3686P  スーパーで買物
計       12476P(約2500
宿泊         汐見荘
インターネット    Cyber Cafe


2001年5月4〜6日(金〜日) 沈没日記(Doing nothing)

 パソコンが月曜日に来るとなると、あとはもう待つしかない。心おきなく汐見荘でゴロゴロできるわけだ。(もう十分ゴロゴロしているが)
 バイクが日曜日までしか使えないので、それまでにバイクで近郊を散策しようかとも思ったが、この三日間はずっと天気が悪かった。
 結局カフェでインターネットし、飯を食べて、酒飲んで、本を読むことくらいしかやることがない。見事な沈没生活ぶりなのである。汐見荘もこのところ出入りが無く、中西夫妻、川嶋「艦長」、小西さん、加納「隊員」、安部さん、そして私の7人のメンバーに固定された。

 5日の夕食は中西夫妻による手作りカレーだった。ルーが無いのでカレー粉と小麦粉とバターでつくるのだ。ううむ、勉強になるなあ。
 その深夜、安部さんとTVで「サイコ2」を見ていたら、ラストの恐いシーンの最中に汐見荘が激しく揺れだした。なんと地震である。震度は大したことないが、小刻みに激しく揺れので音が大きい。絶妙なタイミングでの地震、一人で見ていたら恐くて心臓が停まるっちゅーに・・・。


3日間の走行距離        20.6キロ(計39675.5キロ)

出費                  2500P   飲食費
   1450P  インターネット
   810P  コレクティーボ
   6046P  スーパーで買物
計       10806P(約2160
宿泊         汐見荘
インターネット    Cyber Cafe