今日はベネズエラに入国する日。あれほど心配し、わざわざパナマからエクアドルまでバイクを飛ばしたと言うのに、コロンビアという国は、幸運なのか、まったく問題なかった。それどころか、大きな見どころは無いものの何気ない風景の一つ一つが美しく、人もやさしいコロンビアは私のお気に入りの国となった。わずか12日間、急ぎ足だったが良い思い出ばかりだ。
朝、リオアチャの街を出て約100キロ先の国境を目指す。麻薬の問題から、コロンビアを出国する際には厳しい検問や荷物検査があると聞いていたが、コロンビア側では面倒なことは一切なく、国境に到着。パスポートに出国のスタンプをもらい、牛次郎のペルミソ(一時輸入許可証)にキャンセルのスタンプを押してもらって手続きは終了。いたってスムーズだった。わずかに残ったコロンビア・ペソで缶詰やお米などの食料を買い、ベネズエラ側へ。
ベネズエラ側の手続きも簡単で、パスポートにスタンプをもらい、ツーリストカードを発行してもらって人間の手続きは終了。牛次郎のペルミソも、税関で簡単に発行してくれた。税関の職員の対応もとてもよく、古いパソコン(ウィンドウズ3.1)のワードで、書類を作ってプリントアウトしてくれた。Tシャツとジーズン姿のラフな格好の職員だったが、英語も話せて、非常に印象が良かった。人間、牛次郎の手続きとも手数料、税金など無し。
ただ、問題は国境を後にしてからだった。国境から最初の大きな街、マラカイボまで200キロほどあるのだが、この間、いったい何回あったのか数え切れないほど検問が多かった。しかも、警官にあからさまに「金をくれよ」と言われたのが2回、罰金欲しさにブレーキランプが付いていないと難癖を付けられたのが1回。ワイロの要求はスペイン語がわからないフリをして切りぬけ(実際、あんまり分からないけど)、ブレーキランプはその場で直した。一時は20キロおきにある町ごとに検問があり、
その度に書類やパスポートの提示を求められた。難癖をつけられなくても、書類チェックの後には必ず「日本では何やってた」「どれだけ旅しているのか」などと、雑談を振ってくる。警官なのでそう邪険にもできないし、本当に面倒くさい。
午後遅く、ようやくマラカイボに到着。南米最大の湖、マラカイボ湖に面した近代的な大きな街だが、我々には用は無い。銀行で金を降ろし、すぐに立ち去る。マラカイボから東に向かうと、湾を越える長い吊り橋を渡る。この橋が長さ10キロほどもあり、とても気持ち良かった。瀬戸大橋の次に長いんじゃないかな。
その後はひたすら東に走る。コロンビアと違い、ゲリラの心配が無いので夜も問題なく走れるのが良い。産油国なのでガソリンが安く、リッター15円程度。燃費など気にせずに飛ばせるのだ。ただし、ガソリン以外の物価は高いけど。
夜10時ごろまで走り、道路脇のガソリンスタンドで夕食を作って食べる。今夜のメニューは野菜炒めだ。外食が続くと、体が野菜を欲するのだ。
食後、尚も走る。ここでウメさんの奥さんのKさんが運転に初挑戦。その昔マニュアルのミニクーパーに乗っていただけあって、初めてなのに全く問題なし。深夜12時ごろまで運転してもらい、私と交代。朝4時まで闇の中の一本道を飛ばし、耐えられないほど眠くなったので、ガソリンスタンドに牛次郎を停めて就寝。ベネズエラは昼間暑いものの、夜は涼しくなって心地よい。
|