旅の日記

コロンビア・カルタヘナ編(2000年6月21〜24日)

2000年6月21、22日(水、木) ひたすら北上(Hedding north)

 21日朝、「達磨」を後にした我々はカルタヘナを目指して北上を開始した。
 しかし、2日で着けると考えていたものの、地図で確認するとカリからは1100キロもあった。21日は2回に渡る道路の通行止め(それぞれ1時間以上待たされた)や険しい山道、数回の検問で距離がなかなか稼げず、12時間かけてメデジンの30キロ手前までしかいけなかった。道路沿いに適当なホテルがあったので、その日はそこにチェックイン。

 22日も早起きし、ウメさんと交代交代でひたすら北を目指す。午前中は山道が続いたが、 午後から牧草地帯を走るまっすぐな道となり、快調に飛ばせた。はるかパタゴニアから続いているアンデス山脈の北端を越えたのだ。しかし、22日も12時間近く走ったにもかかわらずカルタヘナまで届かず、約180キロ手前のシンセレホで泊まることになった。カルタヘナは明日の午前中に持ち越し。
 安宿を探すが、街の中心はガラが悪く、街外れのホテルにしたが結構高かった。まわりの食堂の相場も高く、北上するにつれて物価が確実に上がっている。ベネズエラはもっと高いだろう。先が思いやられる。

  コロンビアを走っていると、実に多くの検問に出くわす。特にカリ〜メデジン間は数十キロおきにあり、ゲリラや麻薬犯罪に頭を悩ませている様子がよく分かる。普通は運転手のパスポートや免許証、車のペルミソを見せると終わるが、しつこい係官だと全員分のパスポートや、車の保険のことを聞いてくる。我々は義務付けられているコロンビアの自動車保険に加入していないので、海外旅行保険の証書などを見せて切りぬけるが、納得させるのに5分はかかる。しかし荷物検査まで行ったことはまだ無いので、まだましな方か。コロンビアの警官の印象は非常に良く、難癖をつける様子などは全く無い。初めは見るからに怪しい我らが牛次郎に疑惑の目を向けるが、旅行のことやエクアドルで車を買ったことを話すうちに表情が和らぎ、最後はたいてい笑顔で見送ってくれるのだ。
 またコロンビアは緑豊かな、非常に美しい国であることを知った。今まで通ってきた山岳地帯は眩しい緑に覆われ、道の脇には名も無い滝があったりする。ゲリラや麻薬のことばかり話題になる国だが、普通に旅行している分には不安はあまり感じず、訪れた旅行者が口をそろえて勧めるのがよく分かる(キトの旧市街の夜の方が格段に恐かった)。
 これから訪れる港町カルタヘナは、そんなコロンビアの中でも最も美しい街だという。明日が楽しみだ。


出費                 51000P  達磨精算(宿泊費、ビール代など)
            6000P  21日ホテル代
            5400P  食費
            7500P  22日ホテル代
計        69900P 宿泊         Hospedaje Jarron(21日)
           Hotel Paris(22日)

久美子の言わせて!
 「アミーゴ」ってほんと恐ろしい!だってあっという間に6月末。 毎日何しているの?と聞かないでー。瞬き一つで一週間!それがアミーゴ。 人生の中でそんな贅沢な時を過ごしてもいいでしょう。今までお仕事がんばったんだから。
  そんなアミーゴに大事件発生!アミーゴはもともと安全な場所に建てられていない。 といっても気をつけていれば、ほとんど危険はない。たまーに運が悪いとスリや 首締め強盗にでくわす人がいる。そういう人は何回か怖い目にある。アミーゴでそういう人を カリスマ被害者と呼んでいる。
  今日はアメリカで車を買ってアミーゴ達とアラスカを旅しようとしているセニョールTさんのお話。 セニョールTは車を買いメキシコアミーゴに戻ってきた。アラスカ旅行はアミーゴで仲良くなった何名かで一緒に行く、俗に言う「ハッピーバス」なんだけど、車を購入したセニョールTと竹葉さんはアメリカ 入国がかなりやばいらしい。一緒に行く「火吹き芸人の」堀口さんはちょっぴり不安そう。そんなわけでセニョールTはいちどエルサルバトルの知り合いのおばさんちへ出国したのだ。 もちろん車はアミーゴに置いていった。アミーゴの駐車場は狭く天井も低いので大きなセニョールTのバンは入らなかったので、前の歩道に止めて いった。みんなであぶないあぶない、と思っていたのだが、何事もなく2、3日が過ぎた日、 めずらしく竹葉さんが朝からあわてていた。どうやら窓を開けられてラジオカセットを盗まれてしまった。 みんなで「やっぱり、やっぱり」とうなずいていた。 しかし、事件は続いたのだ!
  6/21の夜、アミーゴはいつものように食堂では食後の宴会をしていて、隣の本&ビデオ部屋では 堀口さんが買ってきたサント(ルチャドール)のビデオで盛り上がっていた。ビデオ上映会が終了し 竹葉さんが歩道に止めてある車を動かそうと車に行った。 時刻は12時過ぎ。宴もたけなわ、そろそろ「おねむー」という時に大事件発生!! ルチャドール酒井くんが帰ってきて「竹ちゃんがどろぼうつかまえたでぇ」と一言。私とゆいと と吉冨さんと「なんや、なんや」と見に行くと車の近くにはオーナーのパスさん、竹葉さん、あやしい くりくりパーマの男。一目で犯人はこいつかーと分かる。
  ―――それまでのいきさつ――― まず竹葉さんが車を動かそうと鍵を開ける。ガサッと中で音がしたので、よーくみたら見知らぬ男が中に乗っていて、車の三角の窓が割られていた。 竹葉さんは男を車から引きずり下ろしたら、男は「変な奴らに追われていて車が開いていたから中に 隠れた」男は自称アフリカ人。肌の色が黒く、くりくりパーマ。 そして次から次へと日本人が出てくるもんだから男はびびったらしく「友達はねちゃったかも しれないなぁー(友達というのは共犯者にちがいない)」とあほないいわけをしながら、そろりそろりと 離れようとしたので、すかさず吉冨さんが、がしっと男の腕をつかんで締め上げた。 そしてボディチェックをしたら男は「やめてくれー。なにもしてないよー」と さすがにこの状況はやばいと思い始めたようだ。パスさんに「警察呼んだ?」と聞くと、「うん」と 言ったのでリュータさんと私はパトカーを呼びに大通りの方へ歩いて行った。そのとき急に男の周りから人が少なくなったので、男が逃げようと暴れた。吉冨さんが男にちょっとダメージをくらい男から離れたところに、すかさずゆいとともう一人のチャリダーで男の両腕を掴んだ。が、男は長身、チャリダー 二人は小柄だったので、「小」の字のようになっていた。
  その頃、私はパトカーに走って乗りこみ、現場に移動!とっても満足!大興奮!初のメキシコパトカー乗車。 だってこういう時じゃないと怖くてメキシコのパトカーになんか乗れないもん。あぶないあぶない。 「そこ左、そしてまた左」と指示しアミーゴ到着。降りようとしたらドアが開かない。あっそうかドアは 内側から開かないのねん!と気づく。取っ手があるのにドアが開かないのって不思議な感覚。 ともかく、めちゃくちゃ貴重な体験が出来た。 そして男はあえなく警察(パトカー4台)にご用となった。どろぼうは警察署で「たくさんの中国人に 刃物と拳銃を突きつけられた」と言ったそうだ。でもあれだけ次から次へと日本人(東洋人)が出てきたら 怖いと思う。やっぱり集団の力ってすごい! アミーゴ長期滞在組の団結力は強かった。見事に一人一人が自分のキャラを生かした演出でどろぼうを 捕まえたのである。 アミーゴ暇だから、たまにはこういうことがないとね。たまっていたストレスを発散しみんな、なんだか 興奮して眠れなくなってまた宴会が始まった。

アミーゴへ 裏どろぼう劇



2000年6月23日(金) カルタヘナ到着(The town of Cartagena)

 シンセレホを午前9時に出て、カルタヘナまでの残り180キロを飛ばす。途中検問が4箇所ほどあったが、うち3箇所は素通りできた。あたりまえのように堂々と通ると、逆に止められないものだということが分かってきた。あるいは、カルタヘナ周辺はそれほど緊張感が無いのかもしれない。

 午後1時ごろ、目的地カルタヘナ到着。ここまで来ると標高はゼロで、さすがに暑い。おまけにひどい雨が降ってきたので窓を閉めて市内を走ると、車内はエンジンの熱気でサウナのよう。汗だくになりながら旧市街の安宿を探す。
 カルタヘナの旧市街は、スペイン統治時代に海賊から守るために造られた長さ4キロもの城壁に囲まれており、内部は細い路地が古いコロニアル調の建物を縫うように縦横に走っている。治安やガラの悪さで問題はあるものの、コロニアル都市で風情ある旧市街に泊まるのは、結構楽しいものだ。
 安宿街に牛次郎を停め、ホテルを探しに行ったウメさんの帰りを待っていると、早速一人の黒人がカラんできた。マリファナの臭いがプンプンし、目は正常さを失っている。「ハッパを買わないか」「水をくれよ」などと、無視しているにもかかわらず話しかけてくる。目を合わすのもイヤなのでそっぽを向くと、そのスキにそいつは窓から手を入れてダッシュボードの上に置いてあったウメさんのデジカメを盗ろうとした。Kさんが気付いて彼の手からカメラを奪い返したが、油断もスキも無いヤツだ。ウメさんが見つけてきた「ホテル・ホリデー」の前まで車を移動して荷物を運んでいる間も、さっきの黒人はついて来て遠くからジーッと見ていた。この街、単独行動は避けた方が良いかもしれない。

 何はともあれ牛次郎を近くの駐車場に預け、部屋に荷物を置き、早速観光に出かける。旧市街の古い建物はパステルカラーに塗られおり、2階から上は路地に張り出すようにバルコニーがある。ディズニーランドの「カリブの海賊」の舞台そのもの、といった感じだ。「コロンビアで最も美しい」と言われるのが分かるほど、風情のある街で気に入った。さっきの黒人の一件では嫌いになりかけたが。
 旧市街を取り囲む城壁が見えてきたので登ると、上には古い大砲が並んでいた。壁の向こうはカリブ海。海を見るのはパナマ以来だ。そういえば、ここはすでにパナマシティより北になる。

 大きな見所の要塞は明日に回すとして、今日は「宗教裁判所跡」を見に行く。スペイン統治時代に異教徒や悪魔崇拝者などの烙印を押された人たちが裁かれ、証言を得るためには拷問もされたという場所だ。ヨーロッパなどではよく聞くが、やはり植民地でも宗教裁判は行われていたのだ。
 旧市街の中心にある裁判所跡に行くと、建物は修復中で、中の展示もそんなに豊富ではなかった。しかし実際に使われたと見られるギロチン台や、手足をロープで引っ張る拷問道具が置いてあった。無邪気に上に乗って写真を撮ったりしていたが、実際この上で多くの人が苦しみ、死んだかもしれないと思うと、ちょっと寒気を感じた。写真にヘンなモノが映ってなくて良かった・・・。

 雨はホテルに着いた時点で止んでいたが、夕方から再び激しく降り始めた。雷鳴は真上でとどろき、ゴロゴロというよりは「ピシャッ!」という、空が割れるような音が続いた。雨は文字通り風呂桶をひっくり返したような激しさで、熱帯に来たということが実感できた。こんな激しいスコールも、パナマ以来か。
 雨が止むのを待って夕食を食べに出かけるが、夜の街では「チノ、チノ」と、ドラッグの売人や売春婦たちが声をかけてきた。一人じゃなくて本当に良かった。でも言っておくけど、ガラは少々悪いけど、カルタヘナは本当に良いところです。


出費                 1100P  コーラ、スナック
            3000P  昼食(魚)
            2000P  宗教裁判所跡入場料
            2000P  夕食(肉)
            900P  ビール  
計        9000P 宿泊         Hotel Holiday


2000年6月24日(土) カルタヘナの1日(A day in Cartagena)

 今日は午前中、インターネットをやりに昨日から目をつけていたカフェへ行った。しかし、こともあろうに置いてあったマシンは全てウィンドウズではなくLinuxマシンだった。IBMやNASAも採用したという、あのウワサのOSである。LANの設定さえ分かればLinuxのネットワークにも入れるはずなのだが、肝心のIPアドレスやTCP/IPの数値がLinux上でどうすれば見られるのか分からない。カフェのオヤジも知らないというので、とりあえず接続は午後に持ち越す。

 その後はカルタヘナ市内にデーンとそびえるサン・フェリペ城塞を見に行く。16世紀に、やはり海賊の襲撃に備えて築かれたこの要塞は、南米でも最も堅牢であるという。約3ドルという入場料は高いが、カルタヘナ観光でもハイライトなので我慢する。
 城塞に登るとカルタヘナの街が一望できた。今では展望台として人気が高いそうだが、実はこの城塞が凄いのは内部の通路なのだ。兵隊を城塞内の拠点から拠点へと速やかに移動させるため、内部には迷路のような細い通路が縦横にめぐらされている。ロールプレイングゲームのダンジョンさながらだ。何ヵ所もある出入口を一つ一つ試し、暗い通路を歩きまわった。

 城塞を見た後は、旧市街のインターネットカフェを回って接続できる所を探す。しかし、どういうわけかLinuxマシンしか置いていない店が多い。コロンビアではLinuxがブームなのか、Linuxが好きな同じシステムエンジニアがカルタヘナ中のカフェを組み上げたのか・・・。やっと一軒だけウィンドウズのカフェを見つけるが、大元の回線がインターネットに繋がらないらしい。店員によると、昨日の大雨の影響とか。しばらく待ったが繋がりそうに無いので、後でまた来ると言ってカフェを出る。

 その後は堤防で釣りをした。ウメさん夫婦は何でも持ちながら旅をしており、2人合わせて60キロ近い荷物の中には釣り道具も入っているのだ。投げ網で漁をしていたおじさんから魚を買い、それを細かくしてエサにする。ウキをつけない投げ釣りだが、これが結構釣れる。海にエサを投げると、すぐにアタリが来るのだ。体長10〜15センチほどの小さな魚だが、私は4匹釣った。久しぶりの釣りは楽しく、3時間はたっぷりとやった。途中地元のおじさんが加わったが、太い糸にデカイ針を付けただけの仕掛けで、何ともグロテスクなウツボを釣り上げていた。彼は食べないというので、今夜のオカズにといただいた。

 帰りにさっきのインターネトカフェへ寄ったら、今度はちゃんと回線が繋がっていた。LAN接続させてもらい、カリ以来のアップロード&メール送受信を行う。カルタヘナではここまで来るのに思ったよりも苦労した。今度接続するのはベネズエラか。どんなトラブルが待っていることやら。

 夜はみんなで釣った魚やもらったウツボを竜田揚げにして食べた。自炊すると、やっぱりおいしい。見た目が悪いからといってウツボを食べないとは、おじさん、何ともったいない・・・。
 こうしてカルタヘナの夜は更けて行った。明日は早くも出発、コロンビアに入国したのがついこの間なのに、もう出国が迫ってきた。沈没常習者たちが集まっているというのに、驚異的なペースなのである。


出費                 2000P  朝食(卵)
            6000P  サン・フェリペ城塞入場料
            3600P  インターネット
            900P  ビール  
計        12500P 宿泊         Hotel Holiday
インターネット    Ketty Net