旅の日記

エクアドル・キト編その6(2000年5月28日〜6月2日)

2000年5月28、29日(日、月) マジック・バスツアー計画(The Magic Bus Tour Project)

 28日はペルー大統領選挙の決戦投票日だ。インターネットカフェへ行って速報を調べるが、たいした情報は得られなかった。フジモリはクリントン米大統領からの投票日延期要請を無視し、28日に投票を強行した。対抗馬のトレド氏は宣言どおり選挙をボイコット、有権者に無効票を投じるよう呼びかけたが、この無効票が予想以上に多いらしい。とりあえず明日にならなければ投票の結果も、ペルーの状況も正確にはわからない。
 インターネットをやったあとは、キセントロという大きなショッピングモールに初めて行った。今まで行っていたキトのどのモールよりもモダンで大きかった。スクレの仲間とブラブラとウインドーショッピングをして過ごす。

 29日はみんなでエル・ハルディンというショッピングモールに昼食を食べに行く。ここのモールのフードコートは充実していて、中でもステーキが絶品だというので300グラムのTボーンステーキを食べる。少々贅沢だが、それでも250円ほど。プラスチックのナイフとフォークが食べづらかったが、十分おいしかった。
 食後は雨が止むまでモールの中の本屋で時間をつぶす。ここの本屋はアメリカ式で、ゆっくり本を読めるように椅子が置いてあったり、無料のコーヒーが用意されている。スクレのみんなは誰も本を買わず、長時間雑誌や本を 読み漁り、コーヒーを飲んだ。いい客だ。
 雨が小雨になったのでバスでインターネットカフェへ。すると、ペルーの状況が思ったよりも良くない。フジモリは国民を味方につけ、圧倒的勝利をもって国内外に選挙の正当性を示そうとしたが、フタを開ければ得票数は前回とあまりかわらず、かろうじて過半数を取ったにとどまった。対抗馬のトレド氏の有効得票数と、彼が有権者に求めた無効票を会わせると全投票数の50%弱に登り、国内は真っ二つに分かれた状況。フジモリは勝利宣言を行ったが、トレド支持派はペルー各地で抗議デモを行い、タイヤを燃やしたり、警官隊と衝突したりとエキサイト。リマでは催涙弾が飛び交ったという。
 フジモリはキャンペーンで自らの愛称「チノ」(中国人のこと。フジモリは日系人だが、 日系人も他のアジア人も、ひっくるめてチノと呼ばれる事が多い)を全面に押し出したが、トレド支持派は逆に「チノは出て行け」をスローガンにし、日系人、日本人への風当たりを強くした。リマでは行きすぎた取材を行った日本のテレビ局のレポーターが暴行を受けたそうだし、罵声を浴びせられたり、嫌がらせも受けた邦人もいるらしい。何しろ国民の約半分が反フジモリなのだから、日本人にとっては厳しい状況だ。

 夜になって、スクレのみんなと相談した。私以外にもこれからペルーを目指そうとする人が多いが、みな今の状況では難しいと判断した。大きな危険は無いだろうが、イヤな目に会う可能性が強い。マチュピチュやナスカの地上絵を見ても、現地の人との軋轢があれば、いい思い出にはならないだろう。ほとぼりが冷め、国民の感情が落ち着くまで待ちたいが、大統領就任式は7月下旬。このころにフジモリの誕生日もあり、これらが無事に済むまでは紆余曲折があるかもしれない。そんなころまでキトで待ちたくないし、第一、7月中旬には一時帰国せねばならない。
 みんな今後をどうするか思案していたが、いきなりすごい話が出た。みんなで大型の車を買い、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル、パラグアイ、ボリビア、そしてほとぼりが冷めるのを見計らってペルーへ行こうというのだ。題してマジック・バスツアー計画。みんなそれまでペルーの状況に沈んでいたが、この話が出て、いきなり盛りあがった。宿の従業員カルロスに相談すると、バイクは彼の家で預かってくれるという。最初は冗談半分の話だったが、だんだん現実味を帯びてきた。そして明日から早速、車探しを行うことが決定した。
 何か、すごいことになってきたぞ・・・。


二日間の走行距離        0キロ(計24060.3キロ)

出費                147900S  食費
                     15000S  バス
5000S  トロリー
42000S  インターネット
80000S  宿×4(バイク用)
計        289900S 宿泊         Hostal Sucre バイクの置き場     Hotel Capitalino インターネット    Net Place(28日)            The Magic Roundabout Hostal(29日)



2000年5月30、31日(火、水) 車を探す(Look for a car)

 この二日間は足を棒にしてキト市内の中古車屋を回った。
 探し始めて分かったことは、エクアドルでは車は大変な貴重品で、中古車の相場が高いと言う事。 2、3千ドルも出せば程度のいいバンか何かが買えると思っていたが、甘かった。その金額だと、70年代のポンコツ車しか買えない。まともな8人乗りのバンだと100万円近くする。これは思ったよりも難航しそうだぞ。ちなみに写真の赤い車はアメリカGMCの古い型だが、これで4000ドル。燃費悪そ〜。
  バスに乗っているときは車屋がいっぱいあるように見えたが、降りて歩きながら回ると1軒1軒の間の距離が遠く、大変疲れた。特に30日は10キロは歩き、十数軒の車屋を見たが、あまりめぼしいのは無かった。 しかし、週末に中古車の市がたつという情報を入手した。 今週の平日は中古車屋を見てまわり、週末はその市に行こう。

 31日、いつも行っているショッピングモール「CCI」の向かいの車屋で、18人乗りのスクールバスを見つける。バスといってもバンに毛の生えた大きさで、十分運転できる。中は大変広く、8人なら問題なく寝泊りできる。天井も立って歩けるほどの高さだ。 使い古された感はあるが、エンジンをかけてもらうと、状態はまあまあのようだった。価格は税込み5800ドル。他の車と比べると割安感がある。そして何よりも、これなら「マジック・バスツアー」の名に恥じない楽しさがある。いらない椅子を取っ払って、じゅうたんを敷いて、などど考えるだけで楽しい。大変夢のふくらむバスだ。今日はもう遅いので、明日、試乗させてもらう約束をして宿に帰る。

 夜はみんなで購入資金の出資比率や旅のルートなど、現実に近づきつつある計画について話した。エクアドルから南米の北半分を一周するとなると4、5ヵ月はかかるだろう。私はどこまで同行できるかわからないが、ブラジルあたりから日本に一時帰国するだろう。しかし、ブラジルのアマゾン地帯を走ることになるが、スクールバスなどで走破できるだろうか・・・。


二日間の走行距離        0キロ(計24060.3キロ)

出費                131000S  食費
                     12000S  バス
5000S  トロリー
45000S  インターネット
計        193000S 宿泊         Hostal Sucre バイクの置き場     Hotel Capitalino インターネット    Digitar Com(30日)            Net Place(31日)



2000年6月1日(木) 焼肉パーティー(BBQ Party)

 昼間はみんなで昨日のスクールバスに試乗にいく。しかし、昨日は一発でエンジンがかかったのに、今日はかからない。ガソリンを入れたり、色々試して分かったことは、二つあるガソリンタンクのうちの一つがイカれており、そっちからガソリンを吸おうとすると止まってしまうのだ。これは直さないと、問題あるぞ・・・。
 エンジンがかかると、早速試乗に出る。はじめは車屋のオヤジが運転していたが、交通量の少ない道路でウメさんと私が交代して運転してみた。ハンドルはパワステで思ったより軽いが、ブレーキの効きが大変弱い。ちょっと減速するのでも、かなり踏み込まないと効いてくれないのだ。 サイドブレーキに至っては、引いたまんま走っても気付かないほど弱かった。ワイヤーが伸びているのだろう。
 しかし乗り心地や、エンジンは良かった。この大きさで3500CC、加速は鈍いが、一度スピードに乗れば大変安定していて気持ちいい。広い道を巡航するのは問題ないだろう。
 車屋には事情を説明し、週末の車市を見てからまた来る、と言って後にする。

 宿に帰って従業員カルロスに話をすると、そのバスは燃費が悪く、割高なので止めたほうがいいという。カルロスのお父さんと奥さんは整備士で、彼自身も車には詳しいという。週末の車市では86、87年式あたりのトヨタ・ハイエースが3500ドル近辺で出るから、それを買えというのだ。カルロスによれば、市には600台もの車が出るという。これは期待できそうだぞ。

 夜はみんなで焼肉をする。タン塩が食べたかったが、タンはまるごとでしか売っていなかった。 仕方ないのでまるごとを4ドル弱で買い、下ごしらえのために皮を取ろうとするが、全然むけない。四苦八苦していると、カルロスが少しゆでれば簡単にはがれると教えてくれた。おお、カルロス27歳、頼りになるヤツだ。普段は変な日本語ばっかり覚えて「ウソツキ」「チョーアホタレ」「ウンコデマシタカ?」などど言っているけど。
 肉の準備ができると、屋上に小さなバーベキュー台を持っていって炭に火をつける。しかし、エクアドルの炭は安いがパサパサで、すぐ燃え尽きてしまう。常にタッパーのフタであおぎながら肉を焼いて食べた。おいしかったが、食べる人数を読み間違えてしまい、大量の肉が余った。これは明日のオカズにしよう。
 


本日の走行距離         0キロ(計24060.3キロ)

出費                 60000S  宿×3(バイク用)
                     28000S  昼食(中華やきそば)
5000S  トロリー
12000S  コーヒー
18000S  インターネット
25000S  ラム酒
97000S  夕食(焼肉)
計        245000S 宿泊         Hostal Sucre バイクの置き場     Hotel Capitalino インターネット    Net Place



2000年6月2日(金) 日記を打つ(Writing Diaries)

 キト中心部のめぼしい車屋はほとんど回ったし、個人売買の車市は明日からだし、今日はゆっくりとたまっていた日記を書く。久々に久美子からメールで「久美子に言わせて!」がきたので、それも追加する。
 外出したのは新市街のインターネットカフェに行ったくらい。 あとはスクレで過ごした。


本日の走行距離         0キロ(計24060.3キロ)

出費                 14000S  朝食(卵)
                      2500S  トロリー
3000S  バス
15000S  インターネット
3000S  夕食(スクレ食)
計        37500S 宿泊         Hostal Sucre バイクの置き場     Hotel Capitalino インターネット    The Magic Roundabout Hostal