旅の日記

エクアドル・キト編その5(2000年5月23〜27日)

2000年5月23〜25日(火〜木) キトの沈没生活(Days in Quito)

 この3日間は主に日記を書いたり、ホームページを更新したり、後は宿「スクレ」のみんなと楽しく遊んですごした。
 23日はほぼ1日、バーニョスの日記を書いていた。あらためて外務省のホームページの「海外安全情報」を見たら、バーニョス市はトゥングラウア火山が噴火した場合、溶岩流が直撃する可能性が高いので絶対に行かないように、と書いてあった。笑った。我々はわざわざその火山の近くまでタクシーで登ったのだ。

 24日はホームページの更新に新市街へ行ったら、大きなショッピングモール「セーセーイー」の中で、偶然ウメ夫妻と会った。一緒にピザハットでたらふくピザを食べ、ゲームセンターで遊んだ。エクアドルのゲームセンターはコインを使わない。磁気カードを買い、それに好きなだけ現金を払ってクレジットを読みこませ、そのカードをゲーム機に通すのだ。相場は1ゲーム5000スクレ(20円)〜8000スクレ(32円)。他の物価から考えると、少々贅沢な遊びだ。また、この日は1週間ぶりにバイクを動かした。あいかわらずDRは調子がいい。早く本格的に走り出したいが、ペルーの大統領選挙が終わるまでもう少々待たなければ。

 25日は近くの車用品の市へ行った。買ったのは小さな南京錠2つと1トン用の普通のジャッキ(ネジ式の)。南京錠はDRの工具箱用のもので、水や泥が被るものだから、錠前がすぐにだめになる。これで3セット目だ。ジャッキはアメリカで2トン用の油圧のものを買い、チェーンの張りを調整するときなど重いDRの車体を浮かすのに重宝していたが、工具箱の中でずっと横に置いていたものだから、最近中のオイルが漏れてきてしまった。まだ使えるが、作業中にジャッキがスカっと抜けてDRが倒れるのも恐いので、壊れる心配の無いネジ式のを探していたのだ。幸い小型のものを見つけたので、買うことにした。
 夜はみんなで餃子を作った。皮が無いので、小麦粉から練って作った。私の担当したのがこの作業で、小麦粉1キロに少しずつお湯を足し、30分以上もこね回して上等な生地を作った。私の愛情と手垢があますことなく注がれたのである。一生懸命皮を伸ばし、ウメさんの奥さんのKさん特製の具を包む。フライパンでカリっと焼くと、大変おいしい餃子ができた。皮から作ったのは初めてだったが、こんなにうまくいくとは思わなかった。8人分だが、100個以上はゆうにあったと思う。しばらく餃子は見たくないくらい、死ぬほど食べた。
 そろそろ日本に一時帰国した際に何を食べるか、リストを作成しようと思うが、餃子は加えないことにしよう。

三日間の走行距離      16.6キロ(計24060.3キロ)

出費                216000S  食費
                     10000S  トロリーバス
                     45000S  インターネット
                     71000S  シャンプー、歯磨き
                      7600S  トイレットペーパー
                     60000S  宿(バイク用×3日)
                     20000S  ゲームセンター
                     15000S  南京錠
                    200000S  ジャッキ
計           644600S

宿泊         Hostal Sucre
バイクの置き場     Hotel Capitalino
インターネット     The Magic Roundabout Hostal


2000年5月26日(金) 頭を丸める(The Skin-heading)

 今日は日中、「スクレ」のみんなと「泥棒市」に行った。
 中南米では明らかに盗品だろう、と思われる品々を売る怪しい市が立つことがある。キトの旧市街でもそのような市があるというので、行く事にしたのだ。
 向かう途中、スクレのすぐそばの商店の店頭で、ワインの試飲販売が行われていた。ウメさんが「飲んでみ」というので1杯飲むと 、これが世界ヘビー級のマズさ。ウメさんは昨日すでに試飲し、このマズさに感激したらしい。オネーさんは笑顔で販売しているが、お前、飲んだ事あるんかい、とツッこんでみたくなるほど。ワインという飲物からはほど遠く、苦いような、酸っぱいような嫌悪感が喉を通る。しかもそのマズい後味がしつこく残るのだ。ウメさんはこのあまりのマズさに感銘を受け、「ゲテモノ土産」の一環として1パック購入した。

 さて、市へ行くと、けっこう賑わっていた。最初の方は普通の日曜雑貨を売る店ばかりだったが、奥へ行くとカメラや電気製品など、どう考えても普通には入手できない品々を売る店が出てきた。値段を聞くが、結構高い。コンパクトカメラなんかは最初の言い値で100ドルだという。 おそらく命がけで盗んできたのだから、一つ一つを高く売りたいのだろう。しかし、作動する保証の無い機械に大枚をはたく者はさすがにいなく、みんなブラブラと冷やかすだけにとどまった。

 帰りに独立広場を通ったら、昨年のクーデターの際に乗りこんできたと思われる装甲車がそのまんま置いてあった。みんなでキャッキャと写真を撮っていたら、近くにいたおじさんに怒られた。なんだ、ケチ。

 夜は先日、映画「マトリクス」を見に行った際に見つけた中華料理屋にみんなで食べにいった。 7人で行き、焼きそばやスープなどをたらふく食べた。ちゃんとした店構えと味で、それで1人200円強。大満足なのである。
 その晩餐の席で、恐るべき計画の実行が決定した。私の頭を丸めよう、というのである。最近髪が伸び、毛先が痛み、抜け毛が目立つようになった。短く切りたいとは思っていたが、いっそのこと剃ってしまった方が地肌に刺激を与え、しっかりとした毛が生えてくる、とウメさんが半分本気、半分「頭の丸まった青山見たさ」で言うのだ。スキンヘッドには興味が無いわけではないし、日本ではさすがにできないので、思いきって頭を丸めることに決定した。

 スクレに戻ると早速屋上に椅子が置かれ、髪を濡らした私は座らされた。そしてスクレのみんな1人1人がハサミを入れる。力士の断髪式の気分・・・。髪が短く切られると、残りをカミソリでジョリジョリと剃られる。痛くはないが、水か冷たいので寒い寒い。頭にかけられた水が首を伝ってシャツの中に垂れてきて、大変いやな感じ。
 作業は30分ほどで終わった。スクレのみんなは代わる代わる私の頭を剃り、それはそれは満足していた。みんな「カッコいい」と言ってくれるが、顔の筋肉は緩みっぱなしだった。作業後に頭を触ると、1部分だけ髪が丸く残っているではないか!ウメさんいわく「円形発毛症」として、残そうというのだ。おーい、ウケ狙って頭丸めたんじゃないぞ。しかし、ウメさんは片付けに入った。明日の夜までそのままで居て欲しいというのだ。くそー、何かあるかとは思っていたが・・・。

 私の中学は坊主強制では無かったので、頭を丸くするのは人生初経験。これが、寒い!とくに首元がスースーする。頭皮を触ると、プニプニと思ったより柔らかい。スクレの皆様の判断だと、毛は細いものの、毛根の量は多いので、ハゲる心配はまだ無いという。本当か・・・?
 本当はスキンヘッドになった顔を大々的に紹介したいが、円形に残った部分が恥ずかしいので、まだおあずけ。
 またモミアゲがそのまんまなので、まるで「だまし絵」のように 頭はツルっぱげ、ヒゲはボーボーの、無様な顔だ。スキンヘッド経験者ウメさんによると、数日もすれば生え揃ってくると言う。それまで帽子を被って風邪をひかないようにしよう。
 それにしてもウメさん、早く円形に残った部分剃ってよ・・・。


本日の走行距離         0キロ(計24060.3キロ)

出費                 14000S  朝食(卵)
                     30000S  トランプ
                      3000S  ライター
                     53000S  夕食(中華)
                      5000S  トロリー
計            105000S

宿泊         Hostal Sucre
バイクの置き場     Hotel Capitalino

「久美子の言わせて!」
 いよいよ明日はグアダラハラに向かう。でも肝心な友達シカとの連絡がとれない。明日もう一度チャレンジ。 最後の夜ということで、みんなでお別れ会。バラデ・ナビダッドとっても楽しかった。 小さな町だけどまたいつか来るぞー!今度は自分のボードを持って。



2000年5月27日(土) キト動物園へ行く(The Quito Zoo)

 今日はウメさん夫妻とキト動物園に行った。本来なら今日、夫妻はコロンビアに向けて立つ予定だったが、名物ガラパゴス・ゾウガメ見ずしてエクアドルは去るべきではないと昨晩、悪魔の説得をしたのだ。もともと夫妻とは動物園に行こう、という話になっていたので、出発を延期してもらって動物園行きが実現した。

 東京ディズニーランドが浦安にあるように、新東京国際空港が成田にあるように、キト動物園もキト市内にない。実はキトから2、30キロ北上した小さな町にある。
 まずはバスターミナルに行って動物園行きのバスを探すが、バスは別の場所から出るという。トロリーバスに乗って教えられたその場所まで行くが、そこでも動物園行きのバスは無かった。 結局、そこからまた市バスに乗って、あるガソリンスタンドまで行くと、そこに動物園行きのバスが待機していた。こんなの、わかるかい。
 バスに揺られること約40分、ようやく動物園のある町に着いた。しかし、降ろされた場所から動物園までは約3キロもあるという。歩くのも疲れるので、停まっていたピックアップ のタクシーに乗って向かう。
 そして ようやくキト動物園に到着。小ぶりだが新しいらしく、設備が綺麗だ。園内の歩道には熊の足跡がペンキで描かれており、それに従って歩けば効率的に回れるようになっている。
 園内を回りはじめてすぐに目的のガラパゴス・ゾウガメに遭遇!広いオリの中でも陽だまりに固まって、ノソノソと微妙に動いている。甲羅に長さは1メートルはあるだろうか、かなりの迫力だ。こりゃあ甲羅欲しさに捕獲され、絶滅の危機に瀕するわけだ、と妙に納得した。捕まえるのも異常に簡単だし。3人でしばらく首を伸ばしたり縮めたりする様子を見ていた。
 
 キト動物園の見どころは、このゾウガメとライオンらしい。ライオンの近くにはジャガーやピューマなどもいた。パンダやコアラなどの珍獣、ソウやキリンなどの大型動物はいないが、土曜日にもかかわらず空いていて、オリの目の前でゆっくりと見られるのが楽しい。サルなんかは手を伸ばせば触れるほどで、からかうと面白かった。
 園内は1時間半もあればゆっくり見られる大きさだった。売店で ホットドッグを食べ、帰ろうとしたら、ジャガーの子供を抱いた飼育員がいた。小さくてメチャクチャ可愛かった。まだ1ヵ月だというが、すぐに大きくなってしまうんだろうなあ。

 帰りはまた、バスが通る国道までの3キロを戻らなければならないが、ピックアップのタクシーは駐車場にいなかった。 しばらく待つと、1台の、タクシーでも何でも無いピックアップが駐車場から出てきたが、他に待っていた客と一緒に荷台に乗せてもらう。全部で10人ほど、これだけの人数を乗せてくれるとは、いい人だ。
 キトまでのバスは速かった。それでもキトに着いたのは夕方5時ごろだった。ちょっとお腹が空いていたので、ハンバーガーを食べて帰る。

 夕食後は頭に残った「円形発毛症」の丸い部分を剃ってもらい、モミアゲを整えてもらった。これで普通のハゲになった。 あと1ヵ月もすれば、具合のいい坊主頭になるだろう。でも、それまでが恥ずかしいな。


本日の走行距離          0キロ(計24060.3キロ)

出費                 14000S  朝食(卵)
                     15500S  バス
3000S  ピックアップ・タクシー
20000S  動物園入場料 12500S  ホットドッグ 10000S  水
17900S  ハンバーガー
5000S  トロリーバス
15000S  夕食(スクレ食)
計        112900S 宿泊         Hostal Sucre バイクの置き場     Hotel Capitalino