2000年5月21日(日) 温泉地バーニョス(The hot springs of Banos)
今日は私の体調不良で延期になっていたバーニョス行きを実行する日。早朝は激しい雨が降っていたが、午前10時前には小降りになった。何とか出発できそうだ。1泊分の荷物をまとめ、あとはスクレに置いたまま、ウメさん夫妻と3人でバスターミナルに向かう。 キトのバスターミナルはスクレから近く、歩いて5分ほどで着いた。バスの時間を見てから朝食を食べようかと思ったが、バーニョス行きのバスはまもなく発車するという。仕方なく空腹をかかえて出発する。 バーニョスまでは約3時間半のバス旅。なれないバスは客が座りきれないほど混んでいて、その上に気が遠くなるほど空腹で大変疲れた。キトからアンデスをぬって南下する国道は景色の美しさで有名だが、山々は深い雲で覆われ、ずっと冷たい雨が降っていた。ところどころ道は未舗装で、そしてそんなところは決まって雨水が川のように流れていた。バイクで来たら大変だった。 誰も時計を持っていかなかったので何時にバーニョスに着いたか分からなかったが、3人とも失神寸前に腹が減っていた。まずはバスを降りてすぐ前にあったレストランで昼食を食べる。すると、ようやく生きた心地がしてきた。 バーニョスはその名の通り、温泉で知られる小さな街。四方を囲むアンデスの山々は険しい。街のすぐ近くには昨年大噴火したトゥングラウア火山がそびえ、外務省は今でもこの周辺に危険度3の「渡航延期勧告」を発令しているが、街に緊張感は一切なし。ささやかなメインストリートには旅行会社が並び、ここを拠点としたトレッキングツアーやラフティング、ジャングルツアーなどを提供している。思ったよりも観光地だ。 街の中心近くに宿を取る。バイクの置き場も含め、同時に3軒のホテルを押さえているのは今回が最初で最後だろう。これもエクアドルでなければできない事だ。 チェックインした後は早速温泉に。街の外れに滝があり、そこの近くに何軒か温泉があったが、行ったのが午後4時半ごろで、もう閉まる直前だった。1軒だけ午後6時から「夜の部」が開くと言う温泉があったので、近くの喫茶店でそれまで時間をつぶし、いざ突入。 海外の温泉と言うとプール形式が多いが、ここも水着は着用するもののプールよりは小さく、大浴場といった感じだった。直径5、6メートルの浴槽にはられた湯は茶色く濁っていて、けっこう熱い。しかし浴槽を覆う屋根は無く、外に出ると雨が冷たい。湯に入ったり出たりを繰り返す。 1時間ほどいただろうか、時間が経つにつれて混んで来たので、上がる事にする。最後にシャワーを浴びるが、お湯にふやかされて出るわ出るわ、旅の垢が。シャワーだけだと、やはり洗い切れないもんだなあ。 お風呂でよい気分になった後は、街のピザ屋でうまいピザを食べてすっかり贅沢気分に浸る。やっぱり温泉はいいな〜。 |
本日の走行距離 0キロ(計24043.7キロ) 出費 100000S 宿代(バイク用×5日分) 40000S バーニョス行きバス代 15000S 昼食(定食) 40000S 宿代(バーニョス) 10000S 温泉入場料 80000S 夕食(ピザ) 23000S お菓子、ジュース 計 308000S 宿泊 Hostal Casa Blanca 荷物の置き場 Hostal Sucre バイクの置き場 Hotel Capitalino |
「久美子の言わせて!」 地元のサッカーチームが大会で優勝したらしく、メキシコ人が集団で夜遅くまで騒いでいた。バーへ行こうと 思って道を歩いていたら「一緒に飲もう。今日はビールタダ、タダ」とおっさんに声をかけられる。 次から次へとビールが出てきた。もう帰るといってもあと一杯だけといってなかなか帰してもらえない。 もう寝るよ。といってやっと解放される。メキシコ人はいいんだか悪いんだか。私はあんまりよく考えないメキシコ人好き。タダ酒大いに結構! |
今朝はもう1回温泉へ行ってキトへ帰ろうと思っていたのだが、昨日の温泉でまあまあ満足したし、もう1回体を濡らすのが面倒だったので、やめにした。代わりに何をしようかウメさんらと考えていたが、せっかくなのでトゥングラウア火山を見に行く事にした。火山は街のすぐ裏にそびえているが、その前の険しい断崖に隠れているのだ。タクシーを拾い、火山が見えるところまで連れていってもらう。 タクシーは街の裏の山をグイグイと登り始めた。途中で舗装は無くなり、かなりの凸凹道となった。途中トラックが横転していた。何でこんなこところで横転するほど飛ばすんじゃい。峠にさしかかったところで運転手はタクシーを止めた。そこからトゥングラウア火山は目の前なのだが、深い雲に隠れて見えなかった。運転手によると火山活動は夜が中心で、この時は何も聞こえなかった。 仕方ないので山を下り始める。運転手が滝を見たいか、というので、連れて行ってもらうことにした。タクシーは山を下りきると、街とは反対方向に進んだ。道は雨季で増水したパスタサ川に沿っているが、いきなり巨大なダムが現れた。茶色い濁流がすごい勢いでダムから滑り落ちている。このあたりはもうアマゾン川流域で、おそらくこの水も大アマゾンに注ぎ込まれるのだろう。 しばらく進むと道は未舗装路となり、すぐ横は谷底の、細く険しい道になった。運転手は1軒の小屋の前でタクシーを止めた。小屋は絶壁の上に建てられており、見ると川を挟んだ対岸まで小さなロープウェーが走っている。ゴンドラは1.5畳くらいの大きさ、5人も乗ればいっぱいだ。支えているのは細いワイヤー2本、動力は小さなガソリンエンジン。お兄ちゃんが1人で、手動でアクセルとブレーキを操作している。いかにも村人たちが手作りで作ったマイ・ロープウェーだ。色んな意味でスリル満点。 対岸までの往復で1人1ドルだという。ちょっと高いが、これは乗らないわけにはいかない。ウメさんの奥さんのKさんは大変恐がっていたが、無理やり引っ張りこんでいざ出発。ゴンドラが小屋を離れると、すぐに下は高さ100メートルはあるかという谷になった。下に流れているのはパスタサ川の濁流。落ちたらまず助かりません。 ゴンドラは腰の高さほどの囲いしかなくて恐いが、その分景色は良く見える。長さ300メートルほどのロープウェーの中間あたりでゴンドラはしばらく止まり、景色を見る時間をくれる。険しいアンデスの山々と、それを削って流れるパスタサ川が良く見え、大変美しい眺めだった。 対岸には特に何もないので、すぐに引き返す。このスリルと眺めで1ドルなら安いが、高所恐怖症の人にはつらいかも。また、このロープウェーがどういう安全基準で運行され、どういう点検を受けているのかは誰も分かりません。このページを見て乗って落ちても、私のせいにしないでね。 ロープウェーの後、タクシーはさらに奥へと進んだ。道は小さい村に入り、その外れの駐車場でタクシーは止まった。ここから約10分ほど歩くという。 山道を下って谷へ降りて行くと、ベルデ川が滝となってパスタサ川と合流しているところに出た。滝は2段で高さは合計100メートルほどだが、その勢いがすさまじい。滝壷から舞いあがった水飛沫であたり一辺はどしゃ降りのような雨。滝壷は飛沫に隠れてほとんど見えなく、かわりに虹が出ていた。展望台から5分ほど見ている間に3人ともびしょ濡れになってしまった。 今度は少し離れた吊り橋から滝を見る。滝となっているベルデ川も、流れ込む先のパスタサ川も、雨季ですごい水量だ。この迫力は今ならではだろう。エクアドルは雨が多くて嘆いていたが、ようやく得をした。 滝の後、タクシーはバーニョスの街へ戻った。乗る前の交渉では、火山を見て帰るだけで6ドルだった。他にも滝やロープウェーなどに寄ったから15ドル位は言って来るだろうと考えていたが、何と運転手は30ドルを要求してきた。「4時間もかかった」と言われて、はじめてそんなに時間が経っていたことに気付いたが、それでも30ドルは高すぎる。ウメさんがうまく交渉して、15ドルに収めた。運転手は渋い顔をしていたが、それでも大収入だろう。 街で昼食を食べた後、キト行きのバスをつかまえて帰る。帰りも約3時間半、キトに着いたのは夜だった。バスの中ではほとんど寝ていたが、行きと同様かなり混んでいた。 おそらくスクレで夕食は待っていないので、バスターミナル内の食堂で夕食を食べて帰る。疲れたけど、久しぶりの観光は楽しかった。 |
本日の走行距離 0キロ(計24043.7キロ) 出費 9000S 朝食(パン、ジュース) 5$ タクシー 1$ ロープウェー 31000S 昼食(魚、ビール) 40000S キト行きバス代 15000S 夕食(定食) 計 95000S 6US$ 宿泊 Hostal Sucre バイクの置き場 Hotel Capitalino |
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