旅の日記

メキシコ・ユカタン編その3(2000年3月14〜16日)

2000年3月14日(火) 本土へ戻る(Going back to Yucatan Peninsula)

 本日は晴天なり。晴れればもう一日コスメルにいようかなとも考えたが、よく考えればこれから本土で海洋テーマパークである「シカレ」も行くし、トゥルム遺跡のビーチも行くしでシュノーケリングもできるだろうから、先を急いで本土へ戻ることにした。
 行きと同じようにフェリー出航時間の2時間前に埠頭に行き、積め込みの順番を待つ。コスメルは大型客船の寄港地になっているらしく、まわりは超大型の豪華客船ばかり。リッチそうな人たちが船から続々と降りてきて町へ向かっていた。こんなに大きな客船をまじまじと見たのは初めて。あまりのデカサに、ぜんぜん揺れていない。我々が乗りこむフェリーはグラングランに傾いているのに。生きている間に一度はこんな客船に乗ってみたいなあ。
 コスメルに向かう時と同様、バイクは一番最後、DRをタイダウンで固定すると、すぐにフェリーは出航した。腹が減っていたがレストランはあいかわらずやっていないので、また廊下で寝て帰る。
 ぐっすり寝たから、船旅はあっという間。プエルト・モレーロスの港からプラヤ・デル・カルメンへ戻り、このあいだ泊まったのと同じ「リリー」にチェックインする。フェリーの乗るために早起きしたのがつらかったのか、後はほとんど寝て過ごした。

本日の走行距離    41.4キロ(計19426.4キロ)

出費            170N$ フェリー代
               120N$ 宿代  
                66N$ 昼食(定食)
                55N$ 夕食(スープ)
              14.3N$ 水  
計           425.3N$

宿泊           Posada Lily

「久美子の言わせて!」
 行きのフェリーで予言した通り、帰りのフェリーでも熟睡。あっという間にプエルト・モレーロスに着いちゃった。でも途中カフェテリアのテーブルでうつ伏せ寝をしていたら、カズが急に起こした。もう着いたのかと思って飛び起きたら、おっさんがなんかこっちに向かって(たぶん)「コカ」と叫んでいた。はぁと寝ぼけて見ていたらどっか行っちゃった。カズに「何で起こすの?」というと「だってこっちに向かって言ってたんだもん」。もう、貴重な睡眠時間を〜!と怒って場所を移動し、廊下でふて寝。寝るまでにさっきの出来事を考えてたら、そういえば最近「コラー!」って怒るおやじっているのかなぁ、と急に思った。どこにいるのかな。



2000年3月15日(水) シカレで豪遊(Water theme park "Xcaret")

 今日は私が個人的にずっと待ち望んでいた、海洋テーマパーク「シカレ」に行く日。しかも天気もいい。意気揚揚とプラヤ・デル・カルメンからバイクで走ること20分、シカレに到着。
 シカレは入場料375ペソとディズニーランド並みの金を取るが、きれいなビーチや水族館、民族音楽のショー、そして何より地下の川をシュノーケルで探検できるというのにひかれて行くことにした。それにしてもこの金額、まる一日二人で生活できる金額だ。
 入場してすぐに地下の川探検へ。水着になってシュノーケルセットとライフジャケットをレンタルし、いざ川の入口へ。川は幅2、3メートルと細く、切り立った岩の間を流れている。ときおり地上に顔を出すが、基本は地下、暗いところが多い。深さは深いところで3、4メートルくらい、でもライフジャケット着用が基本なので恐くはない。水は真水、透き通っているが海水より冷たい。魚があまりいないのが残念だが、全長600メートルの川を下るのに川口浩ばりの冒険気分を味わえた。
 その後はビーチでのんびり。風があるので外洋はすごい波だが、ビーチは入り江になっているので穏やかだ。そのかわり水は濁っていて、潜ってもあまり遠くまで見えない。餌付けしているので魚は小さいのから中型のまでたくさんいたが。
 園内のレストランはバカ高いのであまり食べたくなかったが、背に腹は代えられないのでサンドイッチを食べる。でも金額に14パーセントのサービス料が自動的に加算され、精算するのに20分も待たされたのでムカついた。
 食後は水族館へ。おまけ程度のものかと思ったら、大きなフグやサメ、そして裏の池には体長1.5メートルはある海ガメがうようよ泳いでいて凄かった。柵も何もないので、やろうと思えば飛び乗って浦島気分を味わえそうだ。永久に出入り禁止になるだろうが。大きいカメなのでけっこう歳を取っているのかと思ったら、この大きさでまだ6歳だという。まだ若いなあ。
 昼食も消化してきたので、今度はもう一本の地下の川へ。地下の川は実は2コースもあるのだ。しかし、今回のは1回目より変化に乏しく、枯葉がたくさん水に浮いていてあまりきれいじゃなかった。結局、魚がいないから潜っていてもすぐに飽きてしまうのだ。はじめは地下というのに感動したが、暗いからあまり水中の様子も見えないんだよね。
 レンタルのシュノーケルを返すと、もうマヤのボールゲームの始まる時間となった。今まで訪れたマヤ遺跡によくあった「球技場跡」で実際に行われていたマヤ文明の球技が実演されるのだ。園内に設けられた球技場にいくと、客席はほぼ埋まっていた。はじめに神に捧げるためだろう、マヤの衣装に身を包んだ男達が球技場で香をたきながら踊った。そのうちの一人が私にそっくりの顔だちで、自分でも正直ビックリした。
 その後双方のチーム、6人ずつが出揃い、試合開始。ルールはメロン大のボールを腰だけ(足も使わない)で打ち、石の輪にくぐらせるというもの。遺跡にあった説明などでは、勝った方のキャプテンが生贄となる宗教的な意味合いの強い試合だったとか、マヤ全土に広まったというから、さぞかし熱狂的に盛りあがる球技かと思っていたら、実はものすごく地味。だって、腰だけで打つボールなんて速度がないし、地面を転がっているボールを打つのにはすべりこまなくてはならない。石の輪にくぐらせるにはボールを浮かせなくてはならないが、転がっているボールを腰だけで浮かすには二人の選手が何度も何度も打ち合い、バウンドさせて浮かすという地道な作業が必要になるのだ。ひゃ〜、よくこれでマヤ全土に広まったな。テレビで言えば「ザ・スターボウリング」が全国ネットで20パーセントの視聴率を取るようなものだ。興味深かったが、観戦は1度で十分。
 試合が終わると、どこからともなく数人のツアーガイドが現れ、観客をいくつかのグループに分けて園内のツアーに連れて行った。夕暮れの中、園内に点在する遺跡やマヤ時代の音楽や踊りの実演を見せてもらい、なかなか楽しかった。そしてツアーの最後は屋外の劇場にグループが集結、現代メキシコの各地方の民族音楽やダンスのショーとなった。これがなかなかのもので、マリアッチが声を張り上げて歌えば、カウボーイがロープを振りまわし、そしてあの高い柱から4人の男たちが逆さにぶらさがって回りながら降りてくる「ロス・バラドレス」も実演された。こういうショーでは必ずといっていいほど眠気を催す私だが、こればかりは最後まで楽しく見られた。
 ショーが終わるとすっかり夜。園内ですることもないので町へ帰る。高かったが、元は取った気分だ。貧乏旅行者にはちょっと贅沢だが、カンクンに来るフツーの旅行者には2重マルのお勧めです。
 今日は3回目の結婚記念日ということもあって、夕食はレストランで魚を食べると言う贅沢の極みに出た。一日で金をこれだけ使ったのはメキシコで初めてだろう。食後はインターネット屋でLAN接続を試みたが、やってもいいという所が1軒しかなく、そこでも設定がうまくいかなくて接続できなかった。また明日の朝トライするつもりだ。

本日の走行距離    17.8キロ(計19444.2キロ)

出費             56N$ 朝食(卵)
               120N$ 宿代  
               750N$ シカレ入場料
               124N$ シュノーケルレンタル代
               132N$ 昼食(サンドイッチ) 
                10N$ ロッカー使用料
               116N$ 夕食(魚)
                 5N$ ジュース 
計            1313N$

宿泊           Posada Lily

「久美子の言わせて!」
 カズの念願の「シカレ」へ行ってきた。高いだけあって設備がしっかりしている。かなりきれい。地下水道は私もお勧め。カップルで手をつないでいくとさらにグー!。なんか神秘的で良い。魚がいないのがおしい。カズは最近クロールが出来た!と喜んでいるがまったく出来ていない。だって体沈んでるんだもん。それに泳ぎに余裕がない。故意にじゃないけど、私につかまる手に力が入っているから体がぐいっと沈む。なんてやつだ!ほんと一緒に泳いでいると疲れる。こうやって泳ぐの、と教えても全然上達しないし、体を持ってるからといっても、くすぐったくて触らせないし、もー日本帰って厳しい体育会系の先生に教えてもらえー。船で沖まで行って海にどっぼーんだ。スパルタ!スパルタ!



2000年3月16日(木) トゥルム遺跡(The ruins of Tulum)

 今日からベリーズに向けて少しずつ南下する。今日の目的地はプラヤ・デル・カルメンから70キロほど下ったトゥルム遺跡。12世紀に建てられたというこの遺跡のすぐ裏にはビーチがあり、マヤ遺跡とカリブのビーチという異色の組み合わせが楽しめるという。
 まずは朝一番で昨晩行ったインターネットカフェへ行く。パソコンに一番詳しい店員が朝番だというのだ。昨日のとおりに設定して接続したら、一発でうまくいった。昨晩はケーブルをハブから引っ張っていたのでダメだったという。何やよくわからん。
 久々にホームページをアップロードしたあとはホテルを11時にチェックアウト。カンクンから南に伸びる道は観光用によく整備されていて走りやすい。トゥルムまでは小1時間で着いた。さて、トゥルムといっても遺跡と町は2キロほど離れている。まずは町へ行って安宿を探すが、観光地とあって相場が高い。ダメもとで遺跡の方へ行って見ると、高級なホテル(といっても一泊35ドルほど)に並んで映画「バグダッド・カフェ」に出てくる場末のモーテルのような宿があった。まわりはその高級ホテル以外に何も無く、かなりのボロだが、ある意味素朴でいい。で、一泊120ペソだという。即チェックイン。
 さあ、水着に着替えて遺跡へ。ここでは学生証の威力が効き、無料で入れた。本来こうであるべきなのだ。トゥルム遺跡はガイドブックで見てもあまり詳しく載っていないが、どうしてどうして、結構大規模な都市の跡じゃないの。でっかいピラミッドのような目玉は無いが、広い敷地に数多くの建物跡が点在している。
 そして、それらの遺跡のすぐ後ろは崖になっており、その向こうは真っ青なカリブ海。このコントラストが美しい。ところどころ砂浜に降りられるようになっており、泳ぐ事もできるが、今日は風が強くて波が荒く、とてもシュノーケルを楽しむような感じではなかった。他の観光客も波打ち際でチャプチャプ海につかる程度で大人しくしていた。遠浅のいいビーチだが、波を遮る湾も何も無いから、まともに波が押し寄せるのだ。我々もヤシの木の木陰で昼寝をするに留めた。(私は放尿を兼ねて少しだけ海に入った)
 午後3時ごろに引き上げ、町の食堂で昼食。その後はホテルの部屋で洗濯したり、雲を見ながら葉巻を吸ったりとゆっくり過ごした。ホテルの前の庭、というより空き地が広く、宿の子どもが遊んでいたり、ガラクタが転がっていたり、鳥のさえずりを聴きながらそんなのを見ているだけで、とてもゆったりとした気分になれた。このところ観光地の喧騒の中で過ごしていたので、こんな田舎が新鮮だ。
 と思ったら、夜が大変だった。ホテルの目の前の食堂とスーパーは夕方に閉まるし、近くのホテルのレストランはバカ高。町までまたバイクに乗るのは面倒だし、今夜は久美子秘蔵のインスタントおこわを炊いて食べる事にした。田舎すぎるのもちょっと問題だ。

本日の走行距離    76.4キロ(計19520.6キロ)

出費             57N$ 朝食(トルタス)
                24N$ インターネット代  
               120N$ 宿代
                81N$ 昼食(定食チ) 
                25N$ 水、ジュース
計             307N$

宿泊           Hotel Crucero de las ruins de Tulum
インターネットカフェ Supersonicos.com(LAN接続可能、1分70センタボ)

「久美子の言わせて!」
 レストランで昼ご飯を食べていたら、後ろに座っていたドイツ人らしい二人の男性が店のお姉さんにつたないスペイン語で何か言っていた。なになに?といつもの好奇心で聞いていると「どこに、…は、あり、ますか?」と肝心なところが聞き取れない。お姉さんも「はぁ?何?」と聞き返す。「どこに、…はありますか?」の繰り返し。お姉さんがやっと分かったらしく「あ〜あ〜」とうなずいた。彼はトイレに行きたかったみたい。でもちょっと様子が変。男の人も笑っている。どうやら彼は「どこに、子宮はありますか?」と言っていたらしい。誰に教わったかしらんがまぬけだ。トイレと子宮は結びつかんだろー。私も知らずにへんちくりんな言葉を使っていたら…おそろし〜。あやしい言葉は気をつけなきゃだ。