旅の日記

メキシコ・ユカタン編(2000年2月28日〜3月3日)

2000年2月28日(月) なぜか北上(Hedding north to the Yucatan)

 朝、パレンケを後にした我々は北を目指した。昨日の昼間までは来た道を戻り、コミタンを経由してすぐグアテマラに下る予定だったが、あの険しい山道を戻るのが嫌なのとチチェン・イツァーなどのマヤ遺跡、カンクンのビーチが呼んでいる気がして、いっそのことユカタン半島をぐるりと回ってしまおうということになった。毒食らわば皿まで、ですな。ユカタン半島からベリーズを経由し、ティカル遺跡の方からグアテマラに入る予定です。
 と言うわけでパレンケを後にすると、北に向かう道はそれまでの山道から、一転してまっすぐの走りやすい道となった。山も無くなり、湿地の平野が続く。まわりの沼では水牛が水浴びしていたりして、テレビで見た東南アジアの風景みたい。120キロ巡航で飛ばし、午後4時半に本日の目的地、カンペチェに到着。
 カンペチェはユカタン半島の西部、カンペチェ州の州都。小さな町だが石畳の道にパステルカラーに塗られた石造りの建物、海に近い事もあって地中海のような感じだ。中心街でホテルを探すが、ここで最近の中でも大ヒットのホテルを見つけた。
 ホテルの名はCastelmar。ホテルの相場が高いこの町で76ペソという宿泊代はとても貴重だが、雰囲気がすごい。シミだらけの壁にボロボロの木の扉、まるで中世のお城の牢獄のようだ。しかも部屋番号は13。ここまでくると、妙に楽しい。良く見れば天井は高いし、電気も明るいしで、結構居心地もいい。バイクも中庭に入れられるし、いうことなし。カンペチェにおける青山家イチオシの宿ですぞ。
 夕方から町を散策するが、どうもこの町は知的なニオイがする。学校や文房具屋、本屋、パソコン屋が多い。本屋へ行ってスペイン語〜英語の辞書を探したら、なんと25ペソで売ってた。即ゲット。
 本屋を出ると、なんとなんと!!青いDR−BIGを発見。私のバイクの少し旧式のモデルだ。アメリカ方面では販売されていないバイクなので、まさか見る事はないと思っていたが、メキシコのこんな田舎町で見るとは。残念ながらオーナーには会えなかったが、色々話をしたかったなあ。地元のナンバーだったので、旅人ではないはずだ。
 インターネットカフェも無事発見。かなり大きな規模のカフェで、ゆったりとした空間の中に木のデスクにのったマシンがズラリと並んでおり、最新の音楽が流れていたりして結構雰囲気がいい。LAN接続しようとしたが、どうもうまくいかない。店のお兄さんを呼んだら、IPアドレスなどを手動で入れるように指示され、いうとおりにしたらメールも問題無くできた。さすがに大規模なカフェで、スピードも速い。こりゃいいわ。ただし料金体系がよく分からんかったが。
 結構、この町が気に入った。中世の砦が市内にあるし、遺跡もいくつか近くにあるし、延泊の可能性かなり高し。

本日の走行距離   367.3キロ(計18489キロ)

出費          35.90N$ 朝食(卵など)
                30N$ 切手代
                50N$ テレカ
                 6N$ ジュース
                68N$ ガス代
                55N$ 高速料金
                76N$ 宿代
               110N$ 夕食(シーフード)
                32N$ インターネット代
                25N$ 辞書
計           487.9N$

宿泊            Hotel Castelmar
インターネットカフェ   En Red Ciber Cafe


「久美子の言わせて!」
 カンペチェ到着!途中高速を使い、とばす。110〜120キロくらいで走っているとジャケットの中を風がよく通るので、昼の暑ーい時間帯でもそんなに暑く感じない。今日は風でジャケットがめちゃくちゃ脹らんだので抑えようと思ってふと裾をみると、テピータ(メキシコシティで買った鍵ホルダー兼ぬいぐるみ)が、はたはたと横飛びをしていた。なんか「あ〜れ〜」って感じでとっても可愛かった。



2000年2月29日(火) メリダ到着(Town of Merida)

 昨日の日記で延泊を示唆したが、やはりカンペチェにいてもすることが無いので先に進む事にした。といっても次の目的地はメリダ、距離にして200キロもない。午前中ゆっくりしてカンペチェを後にしたが、今まで通りよく整備された道路で、2時間ほどでメリダに到着した。
 メリダは人口60万人を誇る、カンクンと並んでユカタン半島でも大きな街だ。中心部はカンペチェの町並みと似ていて、狭い一方通行の道路が碁盤のように走っており、建物もパステルカラー調できれいだ。これは駐車場つきの宿を探すのは難しいと思ったら、一軒目に入った安宿Margaritaが駐車場を完備していた。宿探しがスムーズにいくと嬉しい。
 バイクからカタカタと何かが振動する音が聞こえてきたので、各部の増し締めを行うが、どこも緩んでいなかった。きっと工具箱の中の工具だろう。オイル交換時期をとうに過ぎているので、街に入ってきた時に発見したバイク屋でオイルを買う。今入れているのと同じMOTULの3100を買えた。
 夜はまたインターネット。Internethouse KAPTURAという、かなり大型のキレイなところに入ったのだが、ここがスゴイ。分単位で課金、1時間あたり24ペソというのもお得だが、何しろ速い。LAN接続させてもらったのだが、おそらく日本を含めてこのマシンが経験した最高速度の接続、ホームページもバシバシ表示される。オヤジの応対も丁寧で英語も話せるし、このカフェ、メキシコに入ってから現在までの横綱にランク。ここを超えるところが出てくるだろうか。

本日の走行距離   189.6キロ(計18678.6キロ)

出費             43N$ 朝食(卵など)
                90N$ 宿代
            179.57N$ オイル
                77N$ 夕食(定食)
             24.80N$ インターネット代
                23N$ ビール、水
計          437.37N$

宿泊            Hotel Margarita
インターネットカフェ   Internethouse KAPTURA

「久美子の言わせて!」
 今日はお母さんの誕生日!ほんとは明日だけど日本はもう3月1日になっているから、そういう細かい事にうるさい。いちおうメールでも送ったんだけど、ここ1ヵ月くらい電話してなかったし、可愛い娘としては直接話したほうがうれしいかなぁと思って、久しぶりに電話をした。メキシコから日本ってほんと高い。100ペソ(1000円ちょっと)で話せるのって3分くらい。うーん。誕生日でなかったらEメールで十分だけど、留守番電話にもならず、無事話せたのでお母さんもきっと満足でしょう。でも時間の流れってほんとはやいなぁ。あっというまに過ぎていく。私の友達も私が日本にいない間に、結婚して、子ども産んで、子どもももう歩きはじめました。なんてことになりそう。なんだか置いていかれるみたいで淋しいけど…。今、十分楽しんでいるんだからしょうがないか。まっそういう生き方もいいでしょう。ともかくお母さん誕生日おめでとう!私が帰るまで元気でいること!長生きしてね!今日はエンジェル久美子。



2000年3月1日(水) ウシュマルの遺跡(The ruins of Uxmal)

 本日はメリダ滞在中のメインイベント、ウシュマル遺跡を見に行く事に。ウシュマルはメリダから約80キロ、バイクで飛ばして小1時間で到着。
 ウシュマルはチチェン・イツァーと並ぶ、ユカタン半島のマヤ遺跡の見所。当然観光客も多く、大型の観光バスが駐車場に並ぶ。学生証を見せて入場しようとしたら、なんと割り引きにならず、しかも入場料は一人75ペソだという。念のため、そこら辺にいた白人のおじさんを捕まえて聞いてみたらみんな75ペソ取られているという。どうも、夜のライトアップショーを含めた金額のようだ。そんなのいらんから、安くせえ。
 仕方無しに二人分150ペソの大枚をはたいて入場、まずは正面にそびえる「魔法使いのピラミッド」に登るべしと「地球の歩き方」に載っていたが、なんと修復中で登れない。これは大ショック。たとえるなら、人からディズニーランドの券をもらったけどなぜか使えず、しかなたく自腹を切って入場したらスプラッシュマウンテンが故障中だったようなものだ。
 「魔法使いのピラミッド」はあきらめ、その他の建物を見る。ここは7世紀に最盛期を迎え、河川のない地方なことから、雨乞いの神を祭った飾りが多い。また、ここの球技場には球技に使われた石の輪が残っていた。マヤの遺跡には球技場が多いが、どういう球技かというと、2チームに分かれて生ゴムの球を相手の輪に蹴って通すのだそうだ。そして、勝ったチームのキャプテンが栄誉の生贄(!!)になるという。よくそんなルールで試合がなりたつな。俺だったら思いきり手を抜くか、オウンゴールを狙うね。
 また、「総督の宮殿」と名づけられた長い建物に入ったら、暗くて涼しいが、妙にクサイ。鼻が曲がる、と思ったら、暗い天井の方でキーキー泣き声がした。こりゃコウモリの住み家だ。だとしたら、この床の灰色の砂みたいなのは糞か。どうりでクサイわけだ、退散、退散。
 その他には「鳩の家」などを見る。2時間ほどで見終わったが、パレンケほど蒸し暑くなかった。ジャングルの中、と書いてあったが、ジャングルというよりは茂みだな。パレンケのほうがよほど湿気があって、深い熱帯のジャングルだった。パレンケの方がいかにも秘境に眠る遺跡、といった感じで良かった。チチェン・イツァーは果たしてどうだろうか。
 宿に帰り、昨日買ったオイルを交換する。前回交換したのはグアダラハラ、もう3600キロも走っているのでさすがに汚れてきていた。まあ、本来であればこの位の交換サイクルで十分なのだが。
 オイル交換のあとは街を散策、ソカロ(中央広場)に面した「モンテホの家」を見る。これはユカタンを征服したモンテホというスペイン人の屋敷だった建物だが、正面には征服者が足で原住民の頭を踏んでいる彫刻がある。なんてエゲツない飾りをつけるんだろう。
 夜はまたインターネット。旅をしているというのに、ここ5日間連続でやっている。というのも、甘えん坊久美子がメールを送受信しなければ気が済まないのだ。でも、ここのネット環境は良すぎる。明日はゆっくりインターネットをやる日としよう。

本日の走行距離   162.7キロ(計18841.3キロ、オイル交換8回目)

出費             48N$ 朝食(サンドイッチ、ジュース)
               150N$ ウシュマル入場料
                13N$ ジュース
             24.10N$ ビール
                26N$ インターネット代
                90N$ 宿代 
                35N$ ビール、ハンバーガー
計           386.1N$

宿泊            Hotel Margarita
インターネットカフェ   Internethouse KAPTURA

「久美子の言わせて!」
 ウシュマル遺跡。やられた!ウシュマルって獅子丸(忍者ハットリ君の犬)みたいだねーと行く前から「獅子丸」コールをしていたし、本で「魔法使いのピラミッド」というのがあってそこに登れるので、よし今度はどんなポーズで撮ろうかとわくわくしていたのにぃ。行ってみると入場料は夜のショー代もとられ一人75ペソだし、入ってみたら「魔法使い」は工事中で登れないし、最悪。あまりのショックにしばらくの間ぼうーっとしてしまった。
 カズに「レストランで料理を注文してさぁ、「それないんですけど」って店員に言われてからのくみちゃんて立ち直り遅いよねー」と言われた。だってそれが今一番食べたかったんだもん。食べたいものを食べたいときに食べるのが一番おいしいのだ!それと一緒で行きたいところへ行くのが一番楽しいのだ。それがだめーのときが一番つらい。もーう、登れないんだったら、遊園地みたいに入口に今日はやってませーんとか書いておいてよ。とふてくされ、「魔法使いの前」でダダをこねる久美子であった。なかなか良いダダできました。



2000年3月2日(木) メリダの休日(A day off in Merida)

 最近移動や観光が多かったので、今日は安息日と決め込む。毎日労働にはげんでいる皆様には怒られそうですが。
 午前中いっぱいまで惰眠をむさぼり、「ハバナカフェ」という街でも一、二を争うおしゃれなカフェでリッチな朝食。その後はスーパーへいって冷えたビールを4缶購入、昼間っからグビグビしながらメールを打つ。その後はいつものインターネットカフェへ行ってメールの送受信&ゆっくりネットサーフィン。こんなにゆっくりホームページを見たのはアメリカ以来か。
 交代でパソコンを使うので、手の空いている方は街を散策。すると、街はパレードで賑わっていた。なんでも今週から1週間メリダの街はカーニバルで、今日は子どものパレードの日らしい。主だった道路は通行止めとなり、飾りをつけた車に先導されて子どもたちが踊りながら行進していた。子どもたちは学校のクラスによって分けられているのか、何十ものグループに分かれており、それぞれ流す音楽や衣装、踊りが違う。民族衣装に身を包んだグループもいれば、MCハマーのできそこないのような格好をしたグループもいる。それぞれのグループには担任なのか、大人がついていて、みんな子どもがちゃんと踊るよう一生懸命盛り上げていた。飽き易い子どもをずっと躍らせなければならないんだから、大変だ。
 安い食堂で夕食を食べたあとは、街で発見したビリヤード場へ。昨日1時間18ペソのところをチェックしていたのだが、今日12ペソのところを発見したのだ。12ペソって150円くらい。汚いし、台もボロボロだし、変なオヤジばっかりいて奇声を上げているし、キューなんてバナナのように曲がっているけど、でもこれだけ安いと思う存分できる。メキシコシティも安かったけど、その3分の1くらいだ。8ボールを10回やり、カズヒロの6勝4敗。でも10回やるってつかれた〜。ヘタだからなかなか入らないんだよね。結局2時間もかかったのだった。

本日の走行距離    26.5キロ(計18867.8キロ)

出費             85N$ 朝食(卵、サラダ)
             77.48N$ ビール、荷物用バンジーコード
                90N$ 宿代
                42N$ インターネット代
                54N$ 夕食(鳥、サンドイッチ) 
                24N$ ビリヤード
                 5N$ ジュース
                89N$ ガス代
計          466.48N$

宿泊            Hotel Margarita
インターネットカフェ   Internethouse KAPTURA



2000年3月3日(金) チチェン・イツァー遺跡(Ruins of Chichen Itza)

 今日はユカタン半島でも最大のマヤ遺跡であるチチェン・イツァーを見に行く事に。メリダの町を出発して約2時間ほど東へ向かうと、チチェン・イツァー観光の基地となるピステの町に着いた。小さな町だが、ホテルが何軒かある。完全な観光地なので相場は少々高いが、部屋の目の前にバイクを停められる安宿にチェックイン。
 荷物を置いて、早速2キロ離れたチチェン・イツァーへ。ウシュマルでは学生証の効果が得られなかったが、ここではふたりで50ペソ安くなった。タダにならなかったのが残念だが。
 入場すると、エル・カスティージョという大ピラミッドが見の前に現れた。チチェン・イツァーは7世紀に繁栄を誇ったがいったん衰退し、10世紀になって再び栄えたという都市。遺跡は1回目の繁栄時に造られた建物が中心の旧チチェン・イツァーと、13世紀まで続いた2回目の繁栄時に造られた新チチェン・イツァーとに分かれるが、このピラミッドは後者に属する。高さ25メートル、急な階段を這うようにして登ると、チチェン・イツァー遺跡の全様が見渡せた。まわりは見渡す限りの緑だが、ジャングルというほどでもない。ウシュマルと同じような感じだ。遺跡内はさすがに一大観光地、手の行き届いた芝生に大勢のツアー客、古代のロマンに触れる雰囲気というには賑やかすぎる。このピラミッドもかなり復元されたものだろう。
 下に降りると、このピラミッドの内部に入るための列があった。せっかくなので20分ほど待って内部に潜入。細い通路の先の階段を登ると小さな部屋があり、そこにヒスイの目のジャガー像と、生贄の心臓を置くためのチャック・モール像があったが、写真撮影が一切禁止と言うのが残念だった。この部屋を見るスペースが大人5人もあればいっぱいになるほど狭いので、外で列が出来るのだ。内部は蒸し暑く、たまった湿気が階段を滑りやすくしていた。
 その後は遺跡を反時計まわりに見た。幸い曇りなので、暑くなくていい。遺跡は広い敷地に点在しているので、ピーカン照りだったらつらいところだ。奥の方ではスチームバス(サウナ)の遺跡があった。しゃがまないと入れない小さな入り口をくぐると、暖炉の跡とくつろぐための台があった。ここは目的がはっきりしている数少ない建物の一つだという。
 サウナの後はセノテ(聖なる泉)へ。ユカタン半島には河川が全くと言っていいほど無く、降った雨は石灰質の土壌に吸いこまれ、地下に空洞をつくって貯まる。この空洞の天井が陥没し、地下の貯水池が現れることがあるが、このセノテはユカタンでも最大級のもので、チチェン・イツァーはこの貴重な水源を中心に発展した。直径は3、40メートルはあるだろうか、思ったよりも大きい。水面まで地上から20メートルほどあるが、マヤ人は日照りが続くと生贄をここに投げ込んだ。20世紀になってセノテの内部を調査したところ、40体以上の生贄の遺体と、一緒に投げ込まれた財宝が見つかった。やはり人にとって水って重要なのね。
 そのほかにはマヤ遺跡でも最大という球技場や、1回目の発展時に造られた旧チチェン・イツァーの遺跡を見た。旧チチェン・イツァーの方が荒れていて、その分リアルな感じがして良かった。しかし、全般的にはパレンケの方がいいかな。ここも興味深いところが沢山あるが、少し観光地すぎる。
 入場料には夜のライトアップショーも含まれていると言うので、夕食後に再び遺跡へ向かう。ビールを飲んだのでほろ酔い、しかもノーヘルでバイクを走らす。暴走族か、わしは。「音と光のショー」というので期待したが、光は淡い色の光がぼんやり遺跡にあたるだけ、音はスペイン語のナレーションが中心で、何いっているか全然わからない。しかも結構長いのですぐに退屈し、頭上の星空ばかりを見ていた。こんなのいらないから、入場料をもっと安くしろ(ウシュマルでも同じこと言った気がする)。次はグアテマラのティカル遺跡に期待かな。

本日の走行距離   116.2キロ(計18984キロ)

出費             45N$ 朝食(卵)
               120N$ 宿代
               110N$ 遺跡入場料+駐車場
                 8N$ ジュース代
                92N$ 夕食(焼肉) 
                19N$ ビール
                14N$ 水、カップ麺
計             408N$

宿泊            Posada El Paso