旅の日記

カナダ・バンクーバー編(1999年9月4日〜10日)

1999年9月4日(土) 祝!バンクーバー着 (Arriving Vancouver)

 いよいよ出発の日がやってきた。
 長い準備の末の出発、きっと感慨深いモノがあるハズ、と思っていたら、成田に到着しても実感がわかない。親戚、会社の先輩や後輩、友人たちが大勢見送りに来てくれ、涙モノの出発かと思いきや、「では、いってきま〜す」てな明るいノリで、湿っぽくなくて良かった。妻は出発の当日の朝4時まで飲んでいたらしく、二日酔いでの出発。誰かこいつを何とかしてくれ。
 離陸の瞬間も、きっとそれまであった色んなことが走馬灯のように頭を巡るのでは、と予想していたが、2人とも爆睡していて、気づいたら飛んでいた。

 バンクーバーまでは約16時間。ロスまでマレーシア航空で、そこからバンクーバーまではアラスカ航空だ。
 ロスの入国審査が異常〜に混んでいて、一時間半も並ばされた。私たちの前に2人組みの日本人学生(♂)が並んでいて、彼らとその前にわすかな隙間ができた瞬間、中東っぽい顔つきのオヤジが割り込んできた。学生たちは何も言わなかったが、私は頭に来て注意してやった。ところが、まったく無視しやがるので、「エコエコアザラク」と呪文を唱えたら隣の列の進みが速いのに気がついた。学生たちとそっちに移ったら、オヤジよりも早く入国審査を受けることが出来た。正義は勝つのだ。

 現地時間で9月4日19時、バンクーバー着。思ったよりも涼しくない。タクシーを捕まえ、メールで予約してあったGeorgia Houseというゲストハウスに着く。ダブルの部屋(トイレ、シャワー共同)が一週間で395カナダ$(3万円ちょっと)。まずまず、ってとこですか。
 共同の電話が市内通話なら使い放題なので、早速PCをつないで市内のアクセスポイントにダイヤルインしたら、いとも簡単に接続できた。うれしい限り。
 とりあえず本日は疲れたので、早めに寝ます。

本日の走行距離       0キロ

出費              30$ 空港〜市内タクシー代
                395$ 一週間の宿代
               9.78$ パン、ジュース、スナック等
計           434.78$

宿泊       Georgia House  


1999年9月5日(日) インディーカーレースを見る(Watching Indy Car Race)

 朝から雨が降っていた。
 宿の管理人から、今日はインディーカーレース(通称CART)の決勝が行われると聞いたので、早速見に行った。入場料一人44.75カナダドルというのは正直迷ったが、その価値はあった。生のレースを見に行くのは初めてだったが、目の前をレースカーが鬼のような速さで駆け抜ける迫力に感動してしまった。
 途中から晴れたが、それでも路面はウエット。しかも駐車場や公道を仕切っての市街地レースなだけにクラッシュ続出。服部尚輝という日本人レーサーが決勝に進出していたが、私たちの目の前をスピンしながらシケインに突っ込んで行った。そのあと、彼の姿を見ることはなかった。
 レースの後、ハーバーセンタータワーという展望台に登る。バカと煙は高いところが好きなのだ。バンクーバーの街を一望できて満足。
 宿に午後5時半ごろに戻り、一服したら夕食へ、と考えていたら夜12時まで爆睡してしまった。時差ボケおそるべし。
 いよいよ明日からバイクの引き取り作業、と思っていたら、なんと明日は「労働者の日」とかで、休日らしい。マジかよ。一応会社へは電話してみようっと。だめなら、スタンレーパークでサイクリングだな。

本日の走行距離       0キロ

出費           89.5$ レース入場料
               7.5$ 昼飯代(ホットドッグ)
                16$ タワー入場料  
計             113$

宿泊       Georgia House


1999年9月6日(月) スタンレーパーク&中華街(Stanley Park&Chinatown)

 朝、蛾が部屋で飛びまわっている音で目がさめた。目を開けた瞬間、こっちに一直線に飛んできたのでビビった。ビビるあまり、布団を被ってのけぞったら、妻に「白魚の踊り食いのようにのたうちまわっていた」と言われた。たまに面白い表現を使うヤツだ。
 休日だが、一応通関の会社へ電話してみる。すると、むなしく「本日は休業です」という留守電が流れていた。仕方ない、今日も観光だ。
 バスに乗り、スタンレーパークへ。観光スポットの中でも人気が高い、周囲約10キロの公園だ。最初は自転車を借りて回ろうと思ったが、レンタル自転車屋を探して歩いているうちに結構奥地まで来てしまったので、そのまま歩くことにした。公園の北側に出たら、ライオンズゲートブリッジという大きなつり橋が見えた(左)。早くバイクを受け取り、あの橋を渡ってロッキー方面へ行きたい。
 帰りもバスに乗り、中華街へ。繁盛してそうな食堂を探し、焼きそばと餃子を食べた。考えてみたら、カナダに来て初めてのまともな食事だ。うまい。また来ようっと。勢いあまってエッグタルトも買ってしまった。
 午後4時に宿に戻り、少し昼寝、と思ったら、目が覚めたら夜11時半だった。俺たちは何しに来てるんだ?

本日の走行距離       0キロ

出費              7$ バス代
               2.8$ 公園で飲んだホットチョコレート
             12.78$ 昼食+おやつ
              2.28$ 洗濯ロープ
              2.78$ インスタントラーメン、おかし
               0.4$ パスポートコピー代
計           28.04$

宿泊       Georgia House


1999年9月7日(火) 祝!久美子、誕生日を迎えるが・・・(Kumiko's Birthday)

 今日、久美子が27回目の誕生日を迎えた。本人が「まだまだ十代」と言っているのは、きっと精神年齢のことだろう。
 夕食で盛大に祝うとして、朝は中華街へ。久美子はワンタン麺、私は牛肉入りの粥を食べた。うまかったが、熱くて舌をやけどした。レストランの鏡で自分の顔を見ながら「俺、自分の眉毛は気に入ってないんだよね」と言ったら、妻がびっくりしていた。何でびっくりしたのかというと、「眉毛は」の「は」のことらしい。「『も』でしょう、『眉毛も』。あんた、他の部分はそれで満足してるの?」だって。何て失敬な。
 バイク引取りのため、指定された会社へ営業開始の8時半を待って電話する。すると、「うちでは個人の荷物は扱っていないから、何かの間違いだろう。日本の業者へ確認してくれ」と、取り合ってくれない。どう考えても私が間違っているとは思えないので、とにかく書類だけでも見てもらおうと思って再度電話すると、今度は別の部署へ電話が回された。そこで応対してくれたローズさんという女性が事情を把握しており、一安心。とにかく会社へ一度来なさい、というのでカルネ手帳などの書類を持って宿を後にする。
 ローズさんのオフィスは、5日に登ったあの展望台のある、ハーバーセンタービルの26階にあった。ローズさんはバイク引き取りのための手続きをていねいに教えてくれ、まず最初に行かねばならないカナダ税関のビルを窓から指差した。バイクは8月の下旬には届いており、私がいつまでたっても現れないので心配していたらしい。検疫の費用や倉庫の保管料などの費用約420ドルをローズさんに支払い、カナダ税関へ。
 カナダ税関でも手続きはいたってスムーズだった。カルネ手帳とローズさんから手渡された検疫関係の書類を提出すると、ものの10分ほどで「手続きは終了」とのこと。あとはバイクを保管している倉庫へ税関から連絡が行き、私が取りに行けば良いだけだ。倉庫へ受け取りに行く段取りはローズさんがセッティングしてくれるので、明日11時に電話してくれとのこと。本日の作業はここまでで終了。
 その後はバンクーバーの目抜き通り、ロブソンストリートあたりをブラブラする。観光客向けのレストランやみやげ屋が軒を連ね、目当の「ツナミ寿司」も見つけた。夜はここへ食べに来よう。それにしてもこの界隈はにぎやかで日本人観光客が多く、街並みもこざっぱりとしている。ここら辺で宿泊し、このあたりしか見なかったら、何てバンクーバーはきれいな所だと思うだろう。それに比べて、私たちの宿泊している中華街のはずれの、アル中やホームレス、ジャンキーたちの集う光景ときたら。どこの街も表と裏があるもんだ。
 夕方に宿へ戻り、近くのコインランドリーで洗濯をする。さあ寿司を食いに、と思ったら久美子が具合が悪いという。熱は無いが、風邪をひいたらしい。仕方なく、寿司はおあずけ。本日も早くから爆睡タイムとあいなりました。

本日の走行距離   いまだ0キロ

出費            7.5$ 朝食代
               7.6$ 切手×8枚
             10.38$ スターバックスコ−ヒーでお茶+パン(久美子)
            420.57$ バイク倉庫保管料、検疫費用(カード)
              3.95$ アイスクリーム(久美子)
              4.51$ カナダ、アメリカ西部の地図
              32.5$ 保温シャツ(久美子)
              5.11$ ホワイトガソリン
                 1$ コインランドリー代
              6.38$ ジュース、サラミ 
計           499.5$

宿泊       Georgia House



1999年9月8日(水) 久美子グロッキー(Kumiko catches a cold)

 久美子が風邪でダウン。まるで力石徹のクロスカンウンターを受けた矢吹丈のようにグロッキーだ。ローズさんのオフィスに電話してみたが、倉庫の準備が出来ていないのでピックアップは明日以降になるだろう、とのこと。今日は安息日と決め込む。
 あまりにもヒマなので、宿に置いてあった犯罪モノのペーパーバックなんぞを読みふける。久美子が抗生物質を飲みたいというので、「抗生物質はいざという時のために取っておいた方が」と意見したら、「今がいざという時じゃあ」とキレられた。怖い怖い。明日は元気になってほしい。

本日の走行距離   しつこく0キロ

出費              4$ 昼食代(ラーメン)
               0.8$ りんご
             10.43$ 夕食代(やきそば、鳥飯)
              2.59$ ミネラルウォーター
計           17.82$

宿泊       Georgia House



1999年9月9日(木) バイクをゲット!しかし・・・(Recieving the bike)

 昨日あれだけ寝たので、久美子も幾分回復したようだ。午前中にローズさんから電話があり、バイクの準備ができたので倉庫に取りにいくよう言われる。待ってました!!
 早速地図を広げ倉庫の場所を確認するが、ゲッ、マジ遠いじゃん。バンクーバーはバンクーバーでも思いっきり外れ、ダウンタウンから30キロはある。倉庫に電話して交通手段を聞くが、バスは1日4本で、しかもそのうち午後は1本だけとのこと。仕方ないので最寄の駅まで電車で行き、そこからタクシーに乗る。
 着いたところはコンテナが山のように積まれた、刑事ドラマで犯人が取り引きに使うような場所だ。確かに街外れにあるわけです。早速書類を提出し、ジェット機の格納庫のようにだだっ広い倉庫の中の、バイクが置いてある所に案内される。「ここから乗っていくので、外に出して」とお願いし、フォークリフトで倉庫の裏に運んでもらう。外に張っていたビニールとタイダウンを外し、バイクをパレットから下ろす。力作業を覚悟していたが、写真に写っている屈強のカナダ人が手伝ってくれたので、楽勝だ。
 さあ、先日買った白ガスをタンクに入れ、セルを回す。あれ?何かセルが弱々しい。燃料がキャブに行くまで時間がかかるとは言われていたが、それにしてもかからない。あれ?もしかしたら白ガスってだめなの?ガソリンから精製してるから同じじゃないの?とか何とかやっているうちに、倉庫中のカナダ人が入れ替わり立ち代わり様子を見に来た。
 仕方ないので白ガスを抜き、倉庫のカナダ人が持ってきてくれたガソリンを入れる。それでもかからない。すでに30分は経過していた。バッテリーもあがり気味になってきたので、フォークリフトのバッテリーからブーストさせてもらう。いい加減プラグもかぶったか?と思ったら、カナダ人がエアクリーナーにガソリンを少したらし、それで回せという。オッ、今度は少しボボッって音がしたぞ!いけ、いけ、カモン、カモン、ってな具合でカナダ人たちと盛り上がる中、世界最大の単気筒エンジンは雄叫びをあげた。Yeah!って感じで、まるで自分のことのように喜んでくれるカナダ人にカズヒロ感激。
 倉庫の方たちのおかげで無事走り出すことができた私たちは、宿を目指してダウンタウン方面へ。やっぱカナダの道は違うわ。道は広いし、渋滞は無いしって・・・おい、渋滞してんじゃん、思いっきり。エンジンをかけるのに手間取ったおかげで、ラッシュアワーにぶつかってしまった。くそ、進まん、しかもエンデューロジャケット着てるから暑い!しかも後ろの久美子は熟睡していて重い!結局宿までの34キロで、たっぷり一時間半もかかった。日本と変わらないじゃないの。
 疲れて宿に帰り、お決まりの中華街で夕食。一部の方のメールに中華以外何も食ってないじゃん、というのがありましたが、正解です。明日こそは寿司で、遅れ馳せながら久美子の誕生日を祝います。

本日の走行距離   33.9キロ

出費            4.5$ 電車代
                30$ タクシー代
             10.59$ ガソリン代(カード)
               9.5$ 夕食代(中華)
計           54.59$

宿泊       Georgia House




1999年9月10日(金) 保険に加入(Buying Insurance)

 考えてみれば、倉庫から宿まで走った34キロは全くの無保険だった。税関で保険について聞いた時に教えてもらったICBC(Insurance Corporation of British Colombia)のオフィスへ行って、保険加入の手続きをする。
 オフィスはダウンタウンからシーバスという船にのって約10分、対岸のノースバンクーバーのターミナル前にあった。事情を説明するとすぐ理解してくれ、外国人向けの自動車保険の手続きをしてくれた。15日間で75カナダドル、この保険でアメリカまでカバーできるらしい。90日分、450ドルで加入する。
 ダウンタウンへ取って返し、ギャスタウンのOld Spaghetti Factoryでスパゲッティーの昼食。何か贅沢している感じ。
 午後はコインランドリーへ行き洗濯をしたあと、待望の寿司を食いにロブソンストリートへ。同じゲストハウスに宿泊していた韓国人女性から教えてもらった日本人料理屋が見付からず、近くにあった「栄寿司」なる寿司屋へ乱入。
 まずはビールで乾杯。うーん、これですよ、我々の旅に欠けていたものは。酒ですよ、ルービーですよ。五臓六腑に染み渡りますがな。それで上寿司が来るまでほうれん草のごま和えなんぞをつまんで、まさに極楽。寿司も寿司で、まるでネタが舌の上でとろけるよう。さすがバンクーバー名物ですな。唯一の失敗は写真を撮ろうとしてデジカメを持っていったのに、スマートメディアが入ってなくて撮れなかったことかな。なんか、ロクにバイクにも乗らずにすっかり贅沢三昧な私たちでした。
 明日はいよいよ、1週間滞在したバンクーバーを後にします。

本日の走行距離    0キロ(計33.9キロ)

出費             12$ 電車、バス、シーバス一日券
               450$ 自動車保険(90日間、カード)
                23$ 昼食(スパゲッティ)
              2.32$ キットカット、のど飴
              6.83$ 化粧落とし(久美子)
             12.63$ 本(久美子)
                70$ 夕食(寿司)
計          576.78$

宿泊       Georgia House