コラム
バイクツーリングというとキャンプのイメージがありますが、私たちも一応テントは持っているものの、使用したのはアメリカのヨセミテ国立公園で2回だけです(2000年5月26日現在、エクアドルのキトまでで)。普段はテント、銀マットはかさばる荷物としてザックの中で眠っています。 私たちがキャンプをしない理由に、まず面倒くさいということがあります。テントを設営するのはいいとしても、次の日、出発前にたたむのが面倒なのです。出発時はなるべく早く、簡単に走り出したいものです。 また、私たちはモバイル通信をしながら旅をしているので、電源の無いテントでは日記を打ったり、メールを書いたりするのに支障がでます。ここまで細かく日記を書いたり、頻繁にメール送受信をしていると、ほぼ毎日パソコンを開けなければ気が済まなくなります。 治安の問題もあります。テントは鍵がかからないので、荷物を置いたまま食事に行ったりすることに不安を覚えます。また、中南米のような国々では、安全にキャンプする場所を探すのが難しいです。整備されたキャンプ場は少なく、ブッシュキャンプも人目を避けなければ危険を伴います。そもそも、そういった国々では安くて快適な宿が多いので、わざわざキャンプする必要がありません。 結果、キャンプが有効なのは治安が良く、キャンプ場の多い、そして宿代の高い欧米諸国ということになります。しかし、私たちが訪れた秋のカナダ、アメリカの国立公園ではすでに朝晩の冷え込みが激しく、持っていた3シーズン用の寝袋では厳しいものがありました。さらに上記複数の理由から、キャンプはほとんどしなかったという訳です。 今や、テントはほぼ非常用の宿泊手段として考えています。次にキャンプする機会が訪れるのは、おそらくヨーロッパでしょう。
カナダ、アメリカではモーテルをよく利用しました。ガソリンスタンドに行くと、各地のモーテルの割引券が一冊にまとまった無料の冊子が置いてあり、これを利用すると大体20〜40米ドルほどで泊まれます。ユースホステルのドミトリーでも1人10数ドル取るところが多いので、2人分払うのであれば、モーテルの方が安い場合があるのです。 モーテルは大抵の場合、非常に快適です。清潔な部屋に大きなベッド、たっぷりと湯の出るシャワーにケーブル放送の入るテレビ。そしてモバイルユーザーに嬉しいのが電話の存在。モーテルの電話は市内通話なら無料で使い放題の所が多いので、市内にアクセスポイントさえあれば、あとはローミング費用だけでいくらでもインターネットができます。電話ジャックの形式、コンセント形状も日本と一緒(電圧も110Vでほぼ同じ)。モーテルではほぼ毎日、ネット接続を行っていました。 モーテルはその名のとおり、車で旅している人のための宿なので、部屋のすぐ前にバイクを停める事ができます。盗難が心配なのでバイクは部屋に入れた方がよい、という話も聞いた事がありますが、私たちはカナダ、アメリカでは部屋の中にバイクを入れたことはありません。部屋の前に停め、チェーンやU字ロックをかけておけば、まず大丈夫です。ハーレーやBMWで旅しているアメリカ人のライダーでも、そんなに神経質な人はいません。ただ、駐車場が表の通りから見えない、見えにくいモーテルを探すようにはしていました。
メキシコ以南のラテン・アメリカに入ると、ホテルの相場がグッと安くなります。 安さの旧市街を選ぶか、安心の新市街を選ぶかは、その街の雰囲気によります。私たちは節約したいので、基本的に旧市街の安ホテルを選びますが、パナマシティやサンサルバドルなど旧市街の治安の悪さが有名なところは、新市街に泊まるようにしました。また、地方の小さな街や村では新市街というものが無いので、街中の安ホテルに泊まるしかありません。
まず私たちが見るのは、バイクを安全に停められるかどうか。鍵がかかる駐車場があるか、無いなら中庭やフロントのスペースに停めさせてくれるかどうか。バイクが置けなければ、どんなに良いホテルでもあきらめざるを得ません。実はこの条件に当てはまる安ホテルは少なく、探すのに2、3時間も街をさまよったこともありました。 いずれにしても、宿選びは旅の大きなテーマです。成功するか失敗するかで、天と地ほどの差があります。安ホテルの中には宿ぐるみで宿泊客の荷物を狙う「泥棒宿」もあるし、オーナーが女性客を襲うというところもあるそうです。(そういう宿は得てして地元警察と仲が良いので、検挙されないケースが多い) |