旅の日記

チリ・ビーニャデルマル編その5(2001年4月17〜23日)

2001年4月17日(火) 孤独の汐見荘(Alone in Vina del Mar)

 チリ人はコンプレトという、マヨネーズをベッタリ塗ったホットドッグを朝食によく食べる。朝からそんなまったりしたもん、食えるかい!と思うのだが、朝はそれしか置いていないところが多い。しかたなく、クリスと二人でそのコンプレトを食べる。
 朝食後、再会を約束してクリスと別れる。彼は今夜のフライトでイギリスに一時帰国するのだ。私はバイクを預けてあるビーニャデルマルの汐見荘にバスで向かう。クリスが中古のリアタイヤを持っていたので、別れるときに安く譲ってもらった。オンロード寄りのパターンでけっこう使ってあるのだが、25ドルならもとは取れるだろう。今のリアタイヤはもうほとんど坊主なのだ。

 汐見荘に到着したのは昼過ぎだった。さて、今回はどんなメンツが集まっているのかと思いきや・・・誰もいない。季節を外した汐見荘はガラガラだと聞くが、本当に私一人とは。1ヵ月前はまだ10人ほどいたのに、今回はオーナーの山岸さんさえも仕事でいない。 とっても孤独なのである。
 しかたなしに一人で買いものに行き、一人で食事を作り、一人で食べる。いつもは賑やかな食堂に一人と言うのは、やはり淋しい。おまけにチリはもう秋の気配で、1ヵ月前は夜8時ごろまで明るかったのに、今では6時過ぎには暗くなって、そして夜がけっこう寒いのだ。余計に淋しくなる・・・。
 こりゃ早いとこバイクを送って、これからが良い季節となるヨーロッパを走りださなきゃ。というわけで、明日からその準備にとりかかろう。  


本日の走行距離           0キロ(計39271.4キロ)

出費                   500P   朝食(コンプレト)
   3000P  宿泊費(ヌエボ)
   3000P バスターミナルへのタクシー代
2000P ビーニャ・デル・マルへのバス代
270P コレクティーボ
790P 昼食(ピザ)
9526P 食料買い出し
   25$  中古タイヤ
計        19086P(約3818
        25$(約3000
宿泊         汐見荘


2001年4月18日(水) パソコンが壊れる!(My computer brakes)

 早めにヨーロッパに渡るという計画は、あっけなく崩壊した。なんと提供していただいたばかりのパソコンNV5000が壊れてしまったのだ!
 朝から昼過ぎまで最近の日記を打っていたのだが、パソコンがいきなりフリーズ。そして電源ボタンで強制的に終了させたのを最後に、2度と立ちあがらなくなってしまったのだ。システムリカバリCDや、起動フロッピーを使っても反応してくれない。両方とも純正のドライブじゃないからだろうか?
 ・・・ちょっとパニックである。パソコンが壊れるとHPの更新、メール、原稿書きもできないし、音楽も聞けないのだ。いよいよ孤独感が強まる。(まあ、メールはカフェでもできるが)
 そして朝から打っていた日記や、メキシコで撮った写真なども(おそらく)消えてしまった・・・。

 対応策をいろいろ考えるが、やはり日本からNV5000用の純正ドライブと、念のために前に使っていたソニーVAIO君を送ってもらうしかない。頼れるのは「Paso」編集部の担当者殿だけだ。カフェに行ってSOSのメールを書き、夜、編集部に電話を入れる。日本では朝だが、担当者は外出中。チリ時間の明日の朝、折り返し電話をもらうことにした。パソコンが使えないままでは、ヨーロッパにも渡れないのだ・・・。


本日の走行距離           0キロ(計39271.4キロ)

出費                   540P   コレクティーボ
   550P  インターネット
計        1090P(約220
宿泊         汐見荘
インターネット    Cyber Cafe


2001年4月19〜22日(木〜日) 待機&原稿&読書・・・(Waiting alone for the computer)

 早速、19日の朝一番に「Paso」編集部の担当者から電話をもらった。とりあえず純正ドライブとVAIOを送ってもらうよう依頼する。これが届くまで、私は汐見荘で待機だ・・・。
 午後は再出発後、初めてバイクに乗る。1ヵ月以上も放置していたので最初はかかりにくかったが、エアクリーナーにガソリンを数滴垂らしたら一発でかかった。パソコンのことがあったのでちょっと沈んでいたが、やはり世界最大の単気筒エンジンの鼓動を感じると、旅に対して前向きになれる。とりあえずビーニャデルマル市内を軽く流した後、エアクリーナーエレメント、フロントのブレーキパッド、そしてポジションランプを交換する。いずれも今回、日本で買ってきた部品だ。

 20日は汐見荘から一歩も出ずに、今月分の「Paso」の原稿を手で書く。いつもはパソコンで打っているので調子が出ない。紙に手書きの文字では、どうも文章に説得力が無いような気がしてならないのだ。苦戦する。

 21日は日本語の使えるインターネットカフェへ行って昨日の原稿を打ちこみ、日本へ送る。午後にビーニャデルマル最大のショッピングモールに行き、映画館でブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ共演の「メキシカン」を見る。2大スターに頼りきった感が否めない映画で、可も無く不可も無く、って感じだったが、ジュリア・ロバーツがチャーミングだった。ブラッド・ピットは、もっとワイルドでイカれた役をやっているときの方が好きだ。(「ファイト・クラブ」とか「カリフォルニア」とか)

 ビーニャデルマルには昨年の10月に初めて来て以来、合計で1ヵ月以上はいることになるのだが、22日、初めてまとまった雨が降った。外出もできずにずっと本を読む。日本から持ってきたハードボイルド系の小説はすでに読み尽くしているので、汐見荘にある落合信彦の本や、浅田次郎の「鉄道員」を読む。
 落合信彦を読んではいかに自分がだらしないかを思い知り、浅田次郎の「鉄道員」に収録されている「ラブレター」を読んでは、ポロポロ泣く。やばい。一人で雨の中、本ばかり読んでいては感傷的になってしまう。あー、誰か来ないかなあ・・・。


4日間の走行距離      13.5キロ(計39284.9キロ)

出費                  4360P   ガソリン
   7654P  飲食費
   2800P  インターネット
   700P  南京錠
   2500P  映画
   540P  コレクティーボ
計        18554P(約3710
宿泊         汐見荘
インターネット    Cyber Cafe


2001年4月23日(月) 待望のお客さま(Meeting a Harley Rider)

 23日は天気が好転したので、バイクの修理&整備を本格的に始める。
 まずはオイルが漏れっぱなしのフロントフォークを何とかせねばならない。フォークの分解、シールの交換はやったことがないので、今までもさんざんお世話になった隣街バルパライソのバイク屋、ロペス・モトへ行く。
 店長のフアン親父も息子のマルコも、あいかわらず元気だった。再会を喜び、早速作業にとりかかってもらう。日本から持ってきたシール類を一通りと、スプリングを交換する。作業を隣で見ていると、なるほどよくわかるが、こりゃちゃんとした道具が無きゃやっぱり面倒だわ・・・。

 店に行ったのが昼休み直後の午後4時だったので(ここらの商店は午後2時から4時までが昼休みなのだ!)、作業が終わる頃にはもう夕方になっていた。他にやることはいくらでもあるのだが、今から手をつけては閉店時間までに間に合わないので、とりあえず今日の作業はこれにて終了とする。

 汐見荘に戻ると、駐車場に青いハーレー・スポーツスター1200が停まっているではないか!待望の御客様だ!
 食堂に入ると短い髪に黒メガネ、そしてその奥の瞳がつぶらな人懐っこい笑顔の男性が。アラスカから下ってきた2歳年下だという武田さんである。初対面だが、彼は出発前に私あてに質問のメールを送り、そして返事をもらったことがあるという。私はそんなことさえも忘れておりました。すみません。
 それにしても、とても楽しい人で良かった良かった。誰か来てほしいといっても、誰でもいいって訳じゃ無いからね。やっぱりキツイ人とマンツーマンじゃ、一人の方がいいもの・・・。


本日の走行距離      50.9キロ(計39335.8キロ)

出費                   950P   インターネット
   790P  昼食(ピザ)
   30000P  工賃
   3700P  フォークオイル
   1792P  野菜など買物
計        37232P(約7470
宿泊         汐見荘
インターネット    Cyber Cafe