いよいよ3度目の出発である。一時帰国は2度目だったのだが、今回も酒で散財したなあ。海外ではケチった生活をしているのに、日本に帰ってくるとどうしてもサラリーマン時代の金銭感覚に戻ってしまうのだ。しかしケチって酒を飲んでも仕方ないので、使うべきときには使うべし、ということにしておこう。
次に日本に帰るのはいつになるかわからないが、今度は一年は帰らないつもりでがんばろう・・・。
14日夕方、ロス行きのマレーシア航空機に乗って成田を後にする。約9時間のフライトだが、隣に座った中国系マレーシア人のお婆ちゃんが強烈だった。ひんぱんにトイレに立つのだが、機内はすでに消灯され、前の席の人はシートをリクライニングして眠っている。すると、お婆ちゃんはすごい剣幕で前の人を叩き起こし、「席を立ちにくい」と、シートを元の位置に戻させるのだ。それで前の人がしぶしぶシートを元に戻そうが、通路側に座る私が席を立って道を譲ろうが、礼は一切なし。スチュワーデスとは機内食のことやアメリカ入国審査用紙のことでモメにモメ、「次は何をやらかしてくれるんだろう」と期待しているうちに、あっという間にロスに着いてしまった。結果的にこのお婆ちゃんの隣で良かった気がする・・・。
ロスに無事到着したものの、次のメキシコシティ行きのフライトまでは約5時間もある。時刻は昼過ぎだが、私の体内時計では深夜〜早朝。おもいっきり眠い。しかし全財産を抱えて空港のベンチで眠るほど私は肝っ玉が大きいわけではないので、コーヒーを飲み、大沢在昌の小説を読みながらがんばって起き続ける。
ようやくボーディングタイムになり、メキシコシティ行きメヒカーナ航空機のシートに身をゆだねた瞬間、意識を失う。機内食が出たのも気付かないほど深い眠りだった。
メキシコシティには現地時間で午後11時過ぎに到着した。税関で緊張する。メキシコの税関には緑と赤の信号機があり、通過する際、下についているスイッチを押さねばならない。緑が点くか赤が点くかはまったくのランダムだそうだが、赤が点いた場合は荷物検査が待っているのだ。
今回、私は「ペンションアミーゴ」の連中に頼まれた大量の日本食材ならびに大量のバイク部品を持っている。法律には引っ掛からないだろうが、調べられると面倒だ・・・。祈るような気持ちでスイッチを押す。緑。無事、通過する。
空港にはタケバ氏、唯土、どいうら氏、赤瀬氏が迎えにきてくれた。タケバ氏のワーゲン号で深夜のメキシコシティを「アミーゴ」に向かう。
4度目の「アミーゴ」到着は夜12時近く。まずは日本から運んできたブツを配布する。浜崎あゆみのベストアルバム、プロレス雑誌、デジカメ、テント、そして大量の日本食、おかし・・・「アミーゴ」に届ける荷物だけで12キロはあった。まるで運び屋である。しかし「アミーゴ」と日本を往復する者は運び屋になる宿命にあるのだ。日本に帰る者あればお土産などを持っていってもらい、日本から来る者あれば何か買ってきてもらう。こりゃ「アミーゴ」だけでなく、長期旅行者の一般常識である。成田の税関で「人から預かったものはありますか?」とよく聞かれるが、「あるに決まってんだろ!」と、つい言いたくなるんだよな・・・。
お気に入りの「アミーゴ」だが、今回は1泊だけしかできない。軽く酒を飲んで寝る。オーナーのパスさんのはからいで、この1泊分はタダということになった・・・グラシアス。
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