旅の日記

チリ・アタカマ砂漠編(2001年1月13〜15日)

2001年1月13日(土) そして次の出会い(The next meeting)

 予想以上に早く目が覚めたので、日記を打ってカフェでホームページを更新してから出発することにした。こういうとき、中南米のホテルのチェックアウト時間は遅いので嬉しい。普通でも午後12時、遅いと午後2時のところもある。サンペドロの宿は12時だったが、それでも十分時間はあった。昨日と同じカフェに行って「サンペドロ編その3」をアップロードする。
 町を出るとき、道でバッタリ昨日の柴田さんと出会った。お互いの旅の安全を祈って別れる。またどこかで会えるだろう。

 そしてその2時間後、早くも次の出会いがあった。やはり、私は人と巡り合う運が強い気がする。

 サンペドロから約100キロ先のカラマの街で給油し、南へ向かってパンアメリカン・ハイウェイを走っていると、はるか先に一台のバイクが見えた。追いつこうと飛ばすが、なかなか近づかない。これは地元民の乗る小さなバイクの速度じゃないだろう。時速130キロまで加速して近づくと、先行するバイクの両サイドにアルミ製のボックスがついているのが確認できた。間違いない、彼も旅人だ。
 隣に並び、クラクションとハンドサインで合図して路肩に止まる。旅人のバイクはBMW−GSでナンバープレートはワシントン、アメリカからだ。ヘルメットを脱いでお互い自己紹介すると、彼の名前はクリスだという。おお、クリスといえばイギリス人で同じBMWに乗っていたのがいたっけ!!(彼は今ごろクスコのはずだ)。しかしながら、このクリスはもう片方のクリスは知らないらしい。

 アメリカ人のクリスは39歳、もう5年も前からバイクの旅と一時帰国を繰り返しているらしい。道路脇でしばらく立話をしたが尽きないので、次の街アントファガスタまで一緒に走ることになった。
  30分ほどで到着し、クリスが知っているという宿にチェックインした。一部屋ずつ使うと高いので、二つベッドのある部屋をシェアすることにする。アントファガスタは海に面した暑い街、さっそく二人でビールを飲みに出る。

 レストランに入って生ビールを飲むとすっかり良い気分になり、また久々に英語で話せるのがなぜか嬉しくて、色んな話しで盛りあがった。彼は自分で機械製造業の会社を経営していたが、離婚がきっかけで会社を売却し、今は旅人の身分なのだという。やっぱり類は友を呼ぶなあ・・・。
 魚が食べたいという彼に付き合って、夕食は魚介レストランに場を移した。しかしこれが大変よろしい金額のする所で、どちらかというとあまり金に困っていない私でもチトつらい金額だった。でも美味かったからたまにはいいか。

 夜も公園で夕涼みしながら色々と話した。彼は自分のペースを守って走りたいタイプなので、明日は別々に出ることにした。しかし目的地は同じパタゴニア、いずれまた路上で会うだろう。


本日の走行距離        324キロ(計30458.3キロ)

出費                  6000P   サンペドロの宿代
   1500P  インターネット
   7200P  ガソリン
   490P  昼食(ホットドッグ)
   1000P  生ビール
   8000P  夕食(魚介スープ)
   550P  水
計       24740P(約4860

宿泊         Hotel Riojanita
インターネット ETNICO


2001年1月14日(日) 孫悟空の気分を味わう(Riding though Atacama Desert)

 今日は遅めに出発するというクリスに見送られて、アントファガスタの宿を出発する。電子メールが大嫌いだという彼だが、別れ際、アドレスを紙に書いてくれた。でも、これを使わないでもまた会える気がする。

 ふたたびパンアメリカン・ハイウェイを南下する。
 相変らずアタカマ砂漠の中の一本道。考えて見ればチリに入国してから約1500キロ、ほとんど景色が変わっていない。なんか変わった事はないか、と思って先を見ると・・・あった、道路脇に。ただし大きな手のモニュメント、まるで孫悟空が飛び回っていたのはお釈迦様の手の平の上だったというあのエピソードのようだ。あれだけ一生懸命走ったのに、「はい、まだまだですよ」と言われているみたいで空しい。実際、次の目的地ビーニャ・デル・マルまでもう1500キロはあるのだ。

 それでもめげずに走ると、クリスが教えてくれたパン・デ・アスーカルという国立公園の近くまで来た。ここでは野性のペンギンなんかが浜で見えるらしい。どうせビーニャまで3日間に刻んで走ろうと決めたところなので、ちょっと寄ってみることにする。
 公園の入場料3500ペソは高いが、「ペンギン、ペンギン」を口ずさんで公園内のダートを走る。入場ゲートの感じのいいおじさんは、9キロ先に色んな施設があると教えてくれたのだ。
 やがて白い砂浜と海の家らしき建物群が見えてきた。ここらへんか、と思って駐車場にバイクを停めようとすると、たいへん嫌な感じのオヤジが近づいてきて「あそこに停めろ」とか「いやここだ」とかうるさい。バイクを下りれば頼んでもいないのにペンギンツアーのガイドを引っ張ってきて、申し込めなどという。だいたい公園の職員なのか海の家の人なのかもよくわからない(格好は汚い)。まわりにいた水着の観光客もガラが悪く、珍しい日本人をニヤニヤと好奇の目で見ている。ちょっとイヤな気がした。
 ツアーに参加するかしないかはわからないので、とりあえず周辺を散歩する事にする。そして10分後、バイクに戻るとシートが砂まみれだった。きっと、砂のついた水着のまま誰かがまたがったのだろう。そしてハンドルには濡れたシュノーケルが干してあった。近くにいたあのオヤジは「何か文句があるのか」みたいな目で見ていた・・・。
 頭に来た。どうせペンギンは南に下れば見られるのだ。こんな公園、ちっとも居たくない。入園して30分もたたぬまま、写真の1枚も撮らぬまま、すぐに出る。そしてまた南下をはじめた。

 30分後、やはりクリスが教えてくれた「フラメンコ海水浴場」に到着した。まだ日は高いが、ここなら雰囲気も良さそうだ。キャンプ場があったのでそこにテントを張り、海を見に行く。
 青く澄んだ水だが風が冷たい。海に入る事はせず、岩からただボケーっと波の行き来を見ていた。

 午後9時ごろ、ようやく暗くなったのでレストランで夕食を食べ、テントに帰って寝る仕度を始める。星がきれいだった。潮騒を聞きながらのキャンプもいいが、1人だと夜やることがなくてちょっとヒマだ。


本日の走行距離      510.1キロ(計30968.4キロ)

出費                  4000P   アントファガスタの宿代
   1200P  朝食(卵とトースト)
   10700P  ガソリン(給油2回)
   1000P  昼食(魚)
   3500P  国立公園入場料
   1000P  キャンプ場
   390P  缶ビール
   2500P  夕食(魚スープ)
計       24290P(約4770

宿泊         フラメンコ海水浴場のキャンプ場


2001年1月15日(月) ピスコ工場を見学する(A factory of PISCO)

 砂に張ったテントの寝心地は良かったが、夜、まわりがうるさくてよく眠れなかった。なにせ午前4時ごろまでみんなラジカセをガンガンかけて酒盛りをしているのだ。夏季のチリ人の時間感覚はやはりよく分からない。
 よく眠れないまま朝7時ごろ、まだ薄暗い中に仕度をして出発する。広い海水浴場はまるで起きているのは自分だけかと思うくらい静かだった。

 早く出発したおかげで、今日の目的地ラ・セレナには昼過ぎに到着した。ここも海に面した都市で今はリゾート客で混雑しているが、もともとはピスコ(ブドウの蒸留酒)の産地として有名なところだ。というわけでホテルにチェックイン後、早速市内にある「ピスコ・コントロール社」の工場に見学に行く。

 見学ツアーの時間は決まっているものかと思ったが、行ったら受け付けのお姉さんがその場で案内してくれた。ただし思いっきり早口のスペイン語なので、言ってることの4分の1くらいしか分からない。 工場は意外と小さく、日本で言うと造り酒屋みたいな規模だ。
  ブドウをつぶして巨大な銅釜に入れ、沸騰したアルコール分だけを集めてつくられた酒は無色透明で度数は30〜50度ほど。そのまま飲むとちょっときついが、これに砂糖とレモン汁、卵白を加えた「ピスコ・サワー」は飲みやすい。
 見学の最後には試飲コーナーもあり、お姉さんから2杯ほどもらった。記念にこの工場で作られたピスコの小瓶を買っていく。

 夕方は街で見つけたバイク部品屋でチェーンルーブを買い、そしてインターネットカフェをみつけてメールのチェックをする。インフォメーションセンターで教えてもらって最初に入ったカフェは自分のPCはダメだとか、フロッピーを使うなら追加料金だとか(基本料金も高い)うるさいのでやめたが、自分で見つけた小さなところは安くて良心的だった。

 さて、明日はいよいよ懐かしいビーニャ・デル・マルの「汐見荘」だ。出会い、再会の予感がすごいする。


本日の走行距離      473.9キロ(計31442.3キロ)

出費                  8450P   ガソリン
   1700P  朝食(卵とパン、コーヒー)
   2800P  チェーンルーブ
   1600P  昼食(ハンバーガー)
   1180P  果物、水など買物
   400P  インターネット
   800P  ピスコの小瓶
計       16930P(約3330

宿泊         Residencial Los Carrera
インターネット Grafcom