さあ、いよいよ25時間のフライトのはじまりだ。ここからは、乗りこんでからの経過時間に沿って説明しよう。
0時間00分(サンパウロ時間17日午後11時15分)
MD‐11機に乗りこむ。機内は予想以上に混んでいた。チェックインする際に通路側の席をお願いしたが、トイレの前の席しか残っていなかった。しかし、これが幸いした。トイレの前は2人がけになっているのだが、窓際の席は空席で、1人で2人分の席を占領することができたのだ。真ん中の肘掛を上げると、少々せまいが横にも寝られる。これは機内広しと言えど、たぶん私だけの特権だ。
ラッキー!
0時間40分
離陸。サンパウロの夜景は綺麗だった。
1時間0分
軽い機内食。ベークドポテト、まあまあおいしい。水割りをお願いしたら、大変濃かった。
1時間45分
順調に眠くなってきたので、寝る。快適。
4時間15分
のどの渇きで目が覚める。しかし、目の前のトイレの入り口に吸水機がついているので、手を伸ばせばすぐに水が飲める。これもこの席の特権。水を飲んだ後、再び寝る。
9時間15分
目が覚めてビックリ。あれから5時間もぐっすり寝てしまった。何度か姿勢を変えるときに目を覚ましたが、いたって快適だった。トイレも間の前なので、空いた時にすぐに行ける。起きた後はしばらく本を読む。
11時間30分
機内食。ハム&バーコンの朝食。
11時間57分
ブラジル人の乗客に「闘魂」と入ったハチマキを見せられ、読み方、意味を聞かれる。猪木ファンか?
12時間23分
ロス着。前半のフライトは思ったより疲れなかった。給油の間、空港の専用ロビーで待つ。「インターネットスタンド」なるものがあるので見に行くと、ATMみたいな機械で、壁にモニターが埋まっていて下にキーボードがある。クレジットカードを通す所があり、支払いはカードからの引き落としになるが、料金は10分2.5ドル。話のタネにちょっとやろうかと思っていたのだが、失神しそうなほど高いので諦める。
14時間5分
給油休憩終了、再び乗りこむ。ロスで下りた乗客がいるかわりに、新たに乗ってくる客もいる。隣の席が埋まらなければいいが。
14時間25分
恐れていた事態になった。隣の空いている席に、スチュワーデスが前の方から運んできた鞄を置いた。「隣に誰か来るのか」と聞くと、そうだという。ああ、がっくり。しばらくすると、足のちょっと不自由な日本人のおばあさんがスチュワーデスに案内されて、こっちの方にやってきた。この人が隣に座るのか、と思った瞬間、スチュワーデスは「こちらの席も空いておりますが、どちらがよろしいですか?」と、私の右斜め前の席を指して、おばあさんに聞いた。おばあさんは「どちらでもいいんですが・・・」と言って、こちらを見る。目が合う。「こっちにこないで光線」を送る。しかし、決して睨んではいない。本当。しばらくすると、おばあさんは「こっちがいいです」と、斜め前の席に座った。助かった。これであと12時間、また2人分の席を占領できる。「こっちに来ないで光線」が無事届いたのかと思いきや、おばあさんの方を見ると、彼女の隣も空いていた。そりゃ、そっちを選ぶわな。良かった良かった。
14時間55分
離陸。その後は寝る。
16時間5分
機内食。ラビオリが出た。けっこうおいしい。前後して、モニターでは「America's Funniest Video」が始まった。「さんまのからくりTV」みたいな、視聴者から寄せられたハプニング映像を見せる番組だ。面白い。これでしばらく時間がつぶれた。
18時間5分
トイレで歯を磨いて、ふたたび寝に入る。
20時間5分
後ろの席も2人がけだが、ブラジル人のカップルが座っている。他にも仲間がいるらしく、よく他のブラジルが前からやって来て、談笑していた。その声がうるさい。みんな寝ているというのに。振りかえると目が合ったので、そのままそらすものなんなので、注意する。「すみません」と彼らは日本語で返事したが、その後もいっこうにおしゃべりは止まらなかった。だめだこりゃ。その後、映画「The
Staright Story」が始まる。デビットリンチ監督のロードムービー。老人が芝刈り機に乗って旅に出るというもの。
20時間37分
カップラーメンみたいな匂いがしてくると思ったら、本当にカップラーメンが出てきた。スナックとしてらしい。小腹が空いていたので、とてもうれしい。
22時間45分
映画も終わって、いよいよヒマになる。本を読む気もしない。ボーッとして過ごす。
23時間58分
また機内食が出た。オムレツ。「America's Funniest Video」がまた始まった。うれしい。
24時間20分
陸地が見えた!房総半島だ!
24時間31分
成田に着陸。わあ、日本人が働いているぞ。(あたりまえ)
24時間50分(日本時間19日午後12時5分)
飛行機を後にする。思ったより疲れなかった。
税関では予想どおり、大変怪しまれて別室へ。お土産の小さい包み一つ一つを開けられてチェックされる。30分ほどかかって、無事解放。
「ぱそ」編集のサカタさんが向かえに来てくれたので、一緒に車で東京方面へ。はじめのうちは見るもの全て「日本」だったのでニヤついてしまうほど嬉しかったが、すぐに慣れた。旅していると長く感じているけど、結局わずか10ヵ月だから・・・。それにしても暑い。この夜の蒸し暑さは、ブラジルのアマゾンをはるかに凌ぐ。
天王洲で天ぷらをゴチソーになり、帰宅。青山家の目の前の空き地にファミレスが建ったこと以外、大した変化はなかった。部屋は去年出たまんまの状態。まるでこの10ヵ月がウソのようだ。
さあ、9月頭の再出発まで約1ヵ月半。忙しい日々になりそうだ。
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